20. Pensieri 12 anni
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光が増した世界。
見える、赤い色が、そのホールの空間を覆い尽くした。
「何……っ」
セナが踏みつけ抑えていたフェリチータの足を、身の危険を感じて引いたので解放する。
それはすごく大きな力だった。
ホールの端で倒れ込んでいたユエの元にも光は届き、彼女を照らす。
―――……あったかい…。
そして懐かしい気持ち。
この感覚は幼馴染たちと教会裏の庭でお昼寝をしている時のようだった。
懐かしさ、優しさ、そして温かさ。
全てが入り混じって、ユエは涙が出そうになり、今までいた絶望の淵から呼び起こされる。
「フェル……」
見えた視界の真ん中で、彼女が祈るように光を放っていた。
その横には驚いて引き下がるセナと、更に奥ではロベルトやファミリーの姿も見える…。
「これが……フェルの、能力……」
ただの読心術ではない。
彼女が望めば、そして願い、絆を深めることで、出来ることは更に増える…。
それがリ・アマンティ…。
「……ありがとう…」
声に出していたつもりだったが、自分の唇が動いた感覚はなかった。
気付けば、視界は見えているものの瞳を開いている感覚もない。
現実ではあるが、自分が目覚めている気配がなかった。
「アルカナ能力……」
幻覚のような世界で、ユエは自分の腹部に手をあてて笑った…。
「行こう」
20. Pensieri 12 anni
信じられないという顔で、セナがロベルトの下まで引き下がる。
ロベルトも、フェリチータの能力…“読心術”自体はジョーリィから奪ったサファイアの箱の資料で確認していたが、更に広がった可能性に目を輝かせた…。
「リ・アマンティ……。素晴らしい……」
光が止むと、フェリチータが一瞬苦しむような顔を見せてよろよろと立ち上がった。
「ユエ……」
「お嬢……っ」
片目を抑えたリベルタが、フェリチータに寄り添う。
ダンテは倒れていたノヴァを抱えて、その戦いに参戦の意志を見せた。
「セナ」
「はい」
再びキマイラの姿に変身しようとしたセナに、フェリチータとリベルタが一瞬顔を向け焦りを見せた。
紫の光が始まれば、また苦戦するキマイラが……―――。
「ッ!!」
だが彼女は動きを止め、ロベルトの前へ腕を広げて引き下がる。
光の構成を阻止するような大量の稲妻が現れたからだ。
「……」
今度は本気だろうということがわかった。
だからこ、何も言わず、セナがフェリチータ達の更に奥で立ち上がった者を見つめる。
「遊びは終わり?私を殺す気になったかな?」
笑ってみてやれば、立ち上がったユエが手構え一直線に見詰めていた…。
「続き……するんでしょ?」
ユエがセナに言い放つ。
セナが紫の光…変身を止めた。
「そうね……この12年越しの大げんか……」
「そろそろ決着つけよう」
ユエが手を下ろし、鎖鎌を持つ。
セナは光を止めて、腰に刺さっていた剣を握った。
お互い、生身で、力でやり合うという覚悟が見える……―――。
「裏切り者に負ける……この私じゃない!!!」
駆けだしたセナ。
同時に地面を蹴りあげたユエ。
リベルタがふと、先程ユエに言われた、要するに“近くにいるな”を思い出してフェリチータの腕を引いてダンテとノヴァの下へ行く。
着くと同じに、鎖と刃がぶつかり合った。
「ユエ……っ」
ぼろぼろになりつつ、彼女を助けたフェリチータがユエの戦いを見守る。
誰にも手出しはさせないというオーラを全開に、小細工なしにぶつかり合うユエとセナ。
それを黙って見つめていたロベルトが、鼻にかけて笑い、同時に姿を消した。
それに気付いたのはリベルタ。
「っ!」
背後に感じた不穏な気配に、スペランツァを大きく振りかざした。
キィーンと音を立てて、その白刃がぶつかる。
「よく見破ったな、ガキ」
「デビトの力をコピーしたんだろッ」
馬力に負けるか!というように、リベルタがロベルトを押し返す。
アルカナ能力が効かないとしても、自分の剣さばきは別物。
絶対に屈することの出来ない相手ではない。
「リベルタ!!」
「ダンテ、俺に任せろ!!」
「く……っ」
「ノヴァとお嬢を頼む!!」
同時にロベルトが口にしたのは……
「ポルチトゥット・トゥラバッサーレ」
「今度はパーチェの……!」
フェリチータの言葉に、リベルタが振るわれた剣を避けた。
受ければ恐らく腕か、スペランツァが折れていただろう。
「ラ・フォルツァ……っ」
「そう……力と契約をしているということは…」
振りかざした剣が、床に突き刺さる。
同時に床に亀裂が入り足場が悪くなった。
「な……ッ」
「リベルタ!!」
「残念だったなガキ」
よろついた瞬間をついて、ロベルトがリベルタの腹部を“力”のまま蹴りあげた。
「ぐは…ッ」
「リベルタ!!」
ダンテがバズーカを構え、放ったがそれはやはりロベルトの前で消滅してしまう。
「俺の攻撃は完全に効かないのか……ッ」
ダンテが悔しそうに呟いた。
どうにかする方法があるはずだ。
コピーは本当に無条件にできるのか。
だが、フェリチータの胸の奥で引っ掛かっていたのはロベルトの言葉。
「“悪魔と契約”……」
同じホールで戦っているユエとセナは力を使わなければ、互角だった。
「ぐっ…」
鎖を鍔の部分に引っ掛け、ユエがセナの剣を取り払おうとするが“キマイラの馬力”には敵わず何度も鎖を巻きなおす。
「ユエ……ッ、甘い!!!」
「!?」
鎖を逆に引かれ、ユエがそのまま引っ張られる。
更にセナがグッ……と腕を引けば反動で体が宙に浮いた。
「わ……っ」
「前見なッ!!」
空中で追い詰められたユエ。
地面を蹴りあげ、追いついたセナが脚を回してユエをブッ飛ばす。
叩きつけられた場所は、再びルカ、パーチェ、デビトのいる結界の前。
「ぐ……ッ」
「ユエッ」
よろけている暇などない。
体を起こした瞬時に飛んできた拳を避けた。
合わせて蹴り、そして刃が自分を追ってくる。
「遅い!!」
宙から飛ぶ形で剣を振り下ろしたセナ。
防戦一方になってたまるかとユエが横に転げこんで、避けた。
当たらなかった剣は3人を捕えていた結界に直撃し、同時にヒビが入る音がした。
「逃げるなァァァ!!!」
もう一度そのまま振り返り際にセナが剣を回したので、ユエがしゃがみ込む。
剣で捕えられなかったユエが、そのままセナの足を引っ掛けバランスを崩させた。
「……ッ」
「はぁっ!!」
まるでフェリチータの足技と同じようだった。
次々に繰り出されるキックを今度はセナが防戦になる。
「グッ……このッ!!」
お互いがやられっぱなしは許さなかった。
セナがユエの脚を掴んで、もう1度結界にぶつけようと投げ込んだが
「らぁぁぁああ!!!」
「!?」
鎖を回し込み、セナの右側の手足を巻き込んで自分を中心にユエがセナを結界にぶつける形になった。
今のは生身のセナには効いたようで、結界に寄りかかる形で止まる。
動かないように、ユエがそこから追いつき、ユエの左手がセナの左脇腹に。
ユエの右手はセナの右首に宛がわれた。
「終わりだ」
ユエが所々に生傷をつくりながら紅色でセナを睨み上げた。
「“終わり”?」
「……」
「ふざけないで……そんな一言で、私とアンタの因縁が……」
セナがガッ!!とユエの首を絞め、位置を逆転させるように回る。
結界にユエの背を叩きつければ、その力に耐えられず、結界が割れた。
そのまま後ろに倒れ込む形でユエが倒れ、馬乗りになるようにセナが首を絞め続ける。
「ユエ!!」