⑫恋人たちのココロ ~彼は憧れであって……「わたしは…。」
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「どう?眠れたかい?」
「は、はい!!」
「よかったよ。朝ごはん丁度出来たとこなんだ!たくさん食べてね。」
「ありがとうございます。」
起きて来た時には、親子三人そろってテーブルを囲んでいた。
「泊まらせて頂いてる上に、朝食まですみません!」
「気にしないでよ!みんなで食べた方がおいしいし、楽しいだろ?」
「すみません。お手伝いもせずに……。」
「大丈夫ですよ飛鳳さん!母さんが作っておいてくれたのを温め直しただけですから!!」
「そうそう!……ねえねえ飛鳳さん、ヴェールとお兄ちゃんの間に座って座って~」
「ええッ!!……飛鳳さんがぼくの…と、隣にす、座るなんて!!」
ガタッ!と椅子の音を立てて立ち上がったシルク君は、なぜか頬を赤らめている。
その様子を横から笑いながら見ているヴェールちゃんは、「お兄ちゃんってほんと、めんえきりょくないんだから~」と言いつつ、綺麗に包まれたオムレツを頬張っていた。
「今日は特別賑やかなんだよ。」
わたしが聞く前にトランクスさんがうれしそうに答えた。
「前にそっちに行ったことがあっただろ?あれから思い出す度に言ってるんだ。飛鳳ちゃんたちのこと。」
「そうなんですか!」
「『会いに行きたい』って駄々こねてたこともあったんだよ。」
「フフッ!」
「駄々こね始めると収めるのが大変なんだよ……とくにヴェールはね。『お兄ちゃんパパとデートする』って言ってきかないんだ。俺もトランクスなのにね。」
「フフッ!立つ瀬なしですね。」
「ちょっとまってパパ!ヴェールは、パパとママのためにきをきかせてるんですからね!!」
「そうだったね。」
人差し指を左右に可愛く振って、反論するヴェールちゃん。
それに優しく答えるトランクスさんは、ちょっとだけたじろいでる様に見えた。
「飛鳳さん!」
「ん?なあに、シルク君。」
「飛鳳さんは、そのッ……ど、どうしてお医者さんになろうって思ったんですか?」
相変わらず頬は赤らんだままで、どこか緊張した状態で聞いてくるシルク君。
一生懸命で真面目なところは、トランクスさんにそっくりで、まだ幼くて可愛い。
「きっかけはね、人造人間がたくさんの人たちを殺したり、傷つけたことがあったからなの。わたしはまだ小さくて戦うこともできなかったから、
戦わなくても誰かのためにできることがしたかったんだと思う。それが、わたしにとっては医者になることだったの。」
こんな風に、医者になりたい理由を話すことってあまりなかったな…。
たぶん、トランクスさん、お兄ちゃんとお母さん……あと、ブルマさん位にしか話してなかったかもしれない。
「飛鳳さんは……すごいですね。」
「…え?」
「その…辛いことがあったら、自分を大事にしたくなって、それだけで精一杯になってしまうじゃないですか…飛鳳さんは、力だけで戦おうとしなかったんですね!!
『その時に、自分で出来ることを精一杯やる』……小さい頃にそう思えてやり続けることは、なかなかできる様でできないから、だから……」
「そうだね。だから、飛鳳ちゃんも飛鳳…お母さんも、すごいんだよな?シルクは、本当にお母さんを尊敬してるんだな。」
顔を赤くしながら、彼なりに一生懸命言った言葉に、トランクスさんは愛おしそうにその頭を撫でて、彼の言葉を繋いだ。
「でも!ぼくは父さんのことも尊敬してるし、大好きだよ!!大きくなったら、父さんみたいに強くてかっこいい男になりた……あッ!!」
椅子から勢いよく立ち上がって力強く宣言してたかと思ったら、わたしやヴェールちゃんと目が合った途端、顔から火を噴いてそのまま静かに椅子に座ってしまった。
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