第一幕
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一階の位置関係の把握を終えて、二階に行こうとしていたが、セバスは螺旋階段前のモニュメントを触っている。角度がズレているのだろうか?
このモニュメントは上下左右対称で、例え正面を向いていなくても、角度や位置を直す必要ないのだ。
それなのにセバスがそのモニュメントを触っているという事は、何か仕掛けがあるのではないだろうか。それに、時折カチッと何か音が聞こえるのは気のせいじゃないと思う。
もしかして……いや、まさかそんな。
お宝探しの冒険であったり、やんごとなきお姫様の屋敷にある様な隠し部屋なんてモノが、この家にもあるのだろうか?
「もしかして、隠し部屋のスイッチ……?」
ワクワクドキドキしながら聞いてみれば、セバスはニッコリとこちらを見て微笑む。やっぱりあるのか…!?と、思わずゴクリと息をのむ。
「正確には隠し部屋のスイッチの一つ です」
やっぱりあるのかと、わぁ…と目を輝かせて喜んだのも束の間。セバスの言葉が引っ掛かった。
「……スイッチの一つ?」
「ええ、屋敷内の数ヶ所にございますよ」
勿論。運良く見付けたとしてもダミーだったり、順序が違えば扉は開きませんのでご安心下さい。と付け足されたが、全然ご安心出来ない。
一つでさえ覚えられるか不安なのに、どうして数ヶ所もある上にダミーまであるのか。
そんな事を思っていると、ガコンッと大きな音がしてモニュメントが左右に動き、扉が現れた。
「エヴァンズ家には門外不出の物が沢山あるそうなので、数ヶ所に隠し部屋があるそうですよ」
顔に出ていたのか私がセバスに問う前に答えが返ってきた。
「それにこのスイッチは、錬金術師ではない皆様がお使いになられていると聞いております」
錬金術師じゃない人が使うスイッチ…?という事は、錬金術師なら使わないって事だろうか。
つまり、錬成陣描いて強制的に扉をこじ開けられると言ってる様なモノである。
それはそれでセキュリティー的にどうなのか、ツッコミたい部分ではあるが、この際そこは気にしない事にしよう。
「錬金術師は覚えなくてもいいの……?」
「そうですね…ある日突然錬金術を使えなくなるという事はございませんので、錬金術師の方々で覚える方は殆どいらっしゃいませんね」
心理と取引きをして錬成術が使えなくなる事はあるにしても、それ以外である日突然使えなくなるという事はないはずだ。
しかし〝フラスコの中の小人 〟が強制的に錬金術を使えなくしていた事を考えると、錬金術と練丹術の両方を取得した方が良さそうではある。
両方って取得出来るだろうか?もしかしたら、そのヒントが隠し部屋に眠っているかもしれない。
その為には、早く隠し部屋の中を見てみたい。
「大旦那様から許可がないと入れませんので、今回は見られませんよ」
まるで私の心の内を覗いたかの様に、セバスは私が問う前に言った。
「なんで分かったの…?」
「ハルお嬢様の顔に書いてありましたので」
そんなに顔に出ていたのだろうか、と思わず自分の頬に手をやってムニムニと触っていた。
子供の身体になってしまったから、上手く表情のコントロールが上手くいかないのかもしれない。
「では、こちらはここまでにして二階へ参りましょうか」
セバスが私にそう提案した時には、隠し部屋の扉は元のモニュメントに戻っていた。一体いつ元に戻したのだろうか。
「ハルお嬢様?」
「あ、うん。二階行こっか!」
ついつい自分の世界に入ってしまい、セバスに心配されてしまった。
そして屋敷の間取り把握を再開する為に二階に上がる。階を上がってすぐに、一階よりも広めの広間 がある。
ここのスペースだけでも、学生の時にあった林間学校での雑魚寝が出来てしまう位の広い場所だ。
本来であれば階段を上がって来た状態。つまり、階段を背にした状態で間取りを言った方がいいのかもしれない。
だが、今回は階段を正面にした状態にした方が、一階と同じ向きの図面になるので、その方が説明しやすいし分かりやすいだろう。
という事でここからが二階の間取り説明だ。階段のすぐ右隣の部屋。ここは祖父の寝室 。廊下を挟んで反対側にある部屋は祖母の寝室 だ。
その二つの部屋の間、右端の窓側に祖父の小さめの書斎 がある。小さめと言っても、三人がけのソファーが置ける位の余裕はある広さはある。
祖母の寝室 左横の部屋。つまり階段の真正面。中央にある部屋は、私の両親の寝室 。
そして、その隣の一番左端の部屋。ここが私の寝室 だ。
私の寝室 の左端の窓側には大きめの物置きがある。どうやら二階は、ほぼ左右対称に造られているらしい。
ほぼ、と言ったのには理由がある。通路を挟んだ向かい側はの部屋は水周りスペースになっていた。
流石にここまで対称になっていたら、一つ一つが広過ぎて、スペースの無駄遣いになってしまうからだろう。水周りは他の部屋に比べていくらか小さめに造られていた。
まず、水周りスペースの階段側近くにあるのはトイレだ。そしてトイレの左隣には洗濯室 。そこの洗濯室 では、その場で洗濯物を洗うのではなく、二階から服などを落とすランドリーシュートとなっている。
そして、トイレの奥には浴室 がある。
因みに二階にも隠し部屋があるらしく、探してみたら、なんと洗濯室 の奥にあった。
ここの隠し部屋のスイッチは、壁のレンガを順番にノックしていくという、あの有名な魔法使い映画で主人公が一番最初の買い物に行く時のシーンを彷彿とさせる様な感じだった。
あのシーンみたいに、ガチャガチャとレンガが一個ずつ動いて門になるという様な大掛かりな仕掛けではなく、扉部分のレンガを押して開くタイプのドアだった。
子供の私にはまだまだ扉を押して開けるのも難しい重量の扉だった。
この扉を腕の筋力付けるのに使うの良いかもしれないな……、なんて少し考えてしまった。
「これで終わり?」
「ええ、これで二階のご説明も終わりでございます」
意外と多い様で少ない。いや、全然少なくなんてないのだが、思った以上に少なかったというべきだろうか。
隠し部屋も数ヶ所って言うから期待したけれど、結局二ヶ所だけだった。
もしかして、私が色々と期待し過ぎただけなのかもしれない。少し残念な気持ちを抑えつつ、私は部屋に戻った。
このモニュメントは上下左右対称で、例え正面を向いていなくても、角度や位置を直す必要ないのだ。
それなのにセバスがそのモニュメントを触っているという事は、何か仕掛けがあるのではないだろうか。それに、時折カチッと何か音が聞こえるのは気のせいじゃないと思う。
もしかして……いや、まさかそんな。
お宝探しの冒険であったり、やんごとなきお姫様の屋敷にある様な隠し部屋なんてモノが、この家にもあるのだろうか?
「もしかして、隠し部屋のスイッチ……?」
ワクワクドキドキしながら聞いてみれば、セバスはニッコリとこちらを見て微笑む。やっぱりあるのか…!?と、思わずゴクリと息をのむ。
「正確には
やっぱりあるのかと、わぁ…と目を輝かせて喜んだのも束の間。セバスの言葉が引っ掛かった。
「……スイッチの一つ?」
「ええ、屋敷内の数ヶ所にございますよ」
勿論。運良く見付けたとしてもダミーだったり、順序が違えば扉は開きませんのでご安心下さい。と付け足されたが、全然ご安心出来ない。
一つでさえ覚えられるか不安なのに、どうして数ヶ所もある上にダミーまであるのか。
そんな事を思っていると、ガコンッと大きな音がしてモニュメントが左右に動き、扉が現れた。
「エヴァンズ家には門外不出の物が沢山あるそうなので、数ヶ所に隠し部屋があるそうですよ」
顔に出ていたのか私がセバスに問う前に答えが返ってきた。
「それにこのスイッチは、錬金術師ではない皆様がお使いになられていると聞いております」
錬金術師じゃない人が使うスイッチ…?という事は、錬金術師なら使わないって事だろうか。
つまり、錬成陣描いて強制的に扉をこじ開けられると言ってる様なモノである。
それはそれでセキュリティー的にどうなのか、ツッコミたい部分ではあるが、この際そこは気にしない事にしよう。
「錬金術師は覚えなくてもいいの……?」
「そうですね…ある日突然錬金術を使えなくなるという事はございませんので、錬金術師の方々で覚える方は殆どいらっしゃいませんね」
心理と取引きをして錬成術が使えなくなる事はあるにしても、それ以外である日突然使えなくなるという事はないはずだ。
しかし〝
両方って取得出来るだろうか?もしかしたら、そのヒントが隠し部屋に眠っているかもしれない。
その為には、早く隠し部屋の中を見てみたい。
「大旦那様から許可がないと入れませんので、今回は見られませんよ」
まるで私の心の内を覗いたかの様に、セバスは私が問う前に言った。
「なんで分かったの…?」
「ハルお嬢様の顔に書いてありましたので」
そんなに顔に出ていたのだろうか、と思わず自分の頬に手をやってムニムニと触っていた。
子供の身体になってしまったから、上手く表情のコントロールが上手くいかないのかもしれない。
「では、こちらはここまでにして二階へ参りましょうか」
セバスが私にそう提案した時には、隠し部屋の扉は元のモニュメントに戻っていた。一体いつ元に戻したのだろうか。
「ハルお嬢様?」
「あ、うん。二階行こっか!」
ついつい自分の世界に入ってしまい、セバスに心配されてしまった。
そして屋敷の間取り把握を再開する為に二階に上がる。階を上がってすぐに、一階よりも広めの
ここのスペースだけでも、学生の時にあった林間学校での雑魚寝が出来てしまう位の広い場所だ。
本来であれば階段を上がって来た状態。つまり、階段を背にした状態で間取りを言った方がいいのかもしれない。
だが、今回は階段を正面にした状態にした方が、一階と同じ向きの図面になるので、その方が説明しやすいし分かりやすいだろう。
という事でここからが二階の間取り説明だ。階段のすぐ右隣の部屋。ここは祖父の
その二つの部屋の間、右端の窓側に祖父の小さめの
祖母の
そして、その隣の一番左端の部屋。ここが私の
私の
ほぼ、と言ったのには理由がある。通路を挟んだ向かい側はの部屋は水周りスペースになっていた。
流石にここまで対称になっていたら、一つ一つが広過ぎて、スペースの無駄遣いになってしまうからだろう。水周りは他の部屋に比べていくらか小さめに造られていた。
まず、水周りスペースの階段側近くにあるのはトイレだ。そしてトイレの左隣には
そして、トイレの奥には
因みに二階にも隠し部屋があるらしく、探してみたら、なんと
ここの隠し部屋のスイッチは、壁のレンガを順番にノックしていくという、あの有名な魔法使い映画で主人公が一番最初の買い物に行く時のシーンを彷彿とさせる様な感じだった。
あのシーンみたいに、ガチャガチャとレンガが一個ずつ動いて門になるという様な大掛かりな仕掛けではなく、扉部分のレンガを押して開くタイプのドアだった。
子供の私にはまだまだ扉を押して開けるのも難しい重量の扉だった。
この扉を腕の筋力付けるのに使うの良いかもしれないな……、なんて少し考えてしまった。
「これで終わり?」
「ええ、これで二階のご説明も終わりでございます」
意外と多い様で少ない。いや、全然少なくなんてないのだが、思った以上に少なかったというべきだろうか。
隠し部屋も数ヶ所って言うから期待したけれど、結局二ヶ所だけだった。
もしかして、私が色々と期待し過ぎただけなのかもしれない。少し残念な気持ちを抑えつつ、私は部屋に戻った。