第一幕
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
セバスから今の身体では到底出来なさそうな、というより祖父母から許可が貰えない絶望的な話を聞いてしょぼくれながら、お菓子を食べていた。
好き嫌いせずにバランスの良い食事を摂るのは勿論だが、運動も必要だ。
今までは外で好き勝手に走り回れていたのが、今後一切外で走り回れなくなる。
もしかしてこれって結構な痛手だったのではないだろうか。
祖父に外で遊べなくなるという言葉に、簡単に頷いた事を今更後悔した。
「……今から体力付けるにはどうすればいい?」
「基礎体力の前にハルお嬢様は〝表と裏〟の顔を使い分けなければなりません」
それは表と裏の顔を自由に使い分けられなければ、教えられないと言われたようなものだった。
……となれば、だ。
勝手に基礎体力を上げる遊びを部屋の中でしてしまえばいいのではなかろうか?
部屋の中で体力を付ける遊び…尚且つ、体力を付けていると思われない遊び……
ダメだ。筋トレしか思い浮かばない。そもそも遊びですらない。
テーブルに置かれたお菓子をモグモグと食べながら考えていたが、一向にいい案が思い浮かばない。
「ハルお嬢様、気分転換に窓をお開けしましょうか?外の風が入ってきて心地いいですよ」
「うん。開けて……」
そこまで言いかけて、私は言葉を止めた。
そうだ、気分転換 !何も部屋の中だけにこだわる事はなかったんだ。
「セバス!」
ぴょん、と勢い良くソファーから降りて、セバスを見た。
「如何なされましたか?ハルお嬢様」
「ハルも気分転換する!」
「ですが、外には行けませんよ?」
「分かってる!だから、屋敷の中をお散歩するの」
屋敷の中は結構広いから毎日グルっと一周するだけでも充分この身体なら疲れるだろう。慣れてきたら二周三周と増やせばいい。
それに、この身体では大きい扉も自分で開ければ腕の筋肉も付くし、一石二鳥だ。
意外と簡単に体力付けられるじゃんと思わず、得意げな顔をして扉に向かって歩く。
しかし、ヒョイっとセバスに持ち上げられてしまい、扉も開けられて廊下に出てしまった。
違う違う。そうじゃない。そんな事したら、セバスの体力が付くだけだ。そもそもこんなんじゃ付かないだろうけど
「では、参りましょうか」
ニッコリと笑顔でそう言うセバスに少し、ほんの少しだけ殺意が芽生えた。
しかし、本人には悪気がない。寧ろ執事としての仕事を従順にこなしているだけなので、怒るに怒れない。
「……」
「まずはどちらに……ハルお嬢様?」
ようやく私の異変に気が付いたセバスが顔を見る。
今の私の顔は、両頬をプックリと膨らませて仏頂面になっているだろう。
「これじゃ気分転換にならないから降ろして〜!」
「しかし、ハルお嬢様の身体では歩くのが大変ですので…」
「いいの!自分で歩くし、扉も開けるの!」
そう言ってジタバタと暴れれば、困った顔をしながらセバスは降ろしてくれた。
正直、中身の年齢が27歳なので、恥ずかしいと言えば物凄く恥ずかしいのだが、子供っぽさも出さないといけない。
子供ってこんな感じだったかなぁ…?と、試行錯誤しながら喋ったりしているが、時々子供っぽくない仕草が出てしまう時があって誤魔化すのが大変だ。
「では、どちらへ行きますか?」
「じーちゃん達がいる部屋は今行けないからぁ…」
この部屋から一番遠い部屋はどこだったか…そもそも私の部屋は二階の一番奥の角部屋に位置している。
この際、屋敷の間取りを全て把握する事からやっていくとしよう。
「家の部屋全部見る!」
「全て、ですか?」
「うん!」
どうにもセバスの歯切れが悪い上に何か考え込んでいる様子だった。確かに屋敷の中は広いが、今日中に回り切れる数のはずだ。
客室 2、寝室 4、応接室 、広間 、居間 、食堂 、厨房 、洗濯室 、書斎 、浴室 、トイレが数ヶ所、後は屋敷とは別に建てられている使用人専用の家がある。
一体どこの貴族の豪邸ですか?って感じで、前世では絶対に拝めなかった間取りだったはずだが、そんなに考え込む程だろうか。
「セバス、どーしたの?」
燕尾服のテール部分をクイッと何度か引っ張り、未だ考え込んでいるセバスの意識を引き戻す。
「失礼致しました。全てご案内させていただきます」
「はーい!」
現在、祖父母それから執事長のドルクスがいる部屋は、一階にある居間 。それ以外を探検していこうと思う。
「ではまず、一階からご説明させていただきますね」
「うん!」
こうして、出だしは順調に進んでいった。
一階は入口の広間 から始まり、目の前には二階に続く螺旋階段。そして、左右に部屋がある。
まず左側には居間 と食堂 。
食堂 の奥には、厨房 その隣には洗濯室 。そして使用人達が出入りする裏口がある。
その裏口を抜けると、洗濯を干す場所があって、別館の様に使用人達の家がある。菜園もあるそうだ。
右側には入口入ってすぐ脇にトイレがある。そしてその隣に応接室 。奥には喫煙室
応接室 と廊下を挟んだ向かい側に客室 が2つ。客室 には浴室トイレが完備されていた。
正直、一階だけでも住める。というか完全に住めてしまう。改めて祖父母の家が豪邸である事を思い知らされた。
「……以上で一階の説明でございましたが、やはり本日はここまでにされますか?」
正直、子供には一気に覚えられる量ではないとセバスは思っていたのだろう。心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫…!次は二階!」
「左様でございますか。では、疲れたりしたらすぐ仰って下さいね」
「うん!ありがとーセバス!」
この時、呑気にお礼を言っていた自分を殴ってやりたくなる事が起きるだなんてこの時の私は知る由もなかった。
好き嫌いせずにバランスの良い食事を摂るのは勿論だが、運動も必要だ。
今までは外で好き勝手に走り回れていたのが、今後一切外で走り回れなくなる。
もしかしてこれって結構な痛手だったのではないだろうか。
祖父に外で遊べなくなるという言葉に、簡単に頷いた事を今更後悔した。
「……今から体力付けるにはどうすればいい?」
「基礎体力の前にハルお嬢様は〝表と裏〟の顔を使い分けなければなりません」
それは表と裏の顔を自由に使い分けられなければ、教えられないと言われたようなものだった。
……となれば、だ。
勝手に基礎体力を上げる遊びを部屋の中でしてしまえばいいのではなかろうか?
部屋の中で体力を付ける遊び…尚且つ、体力を付けていると思われない遊び……
ダメだ。筋トレしか思い浮かばない。そもそも遊びですらない。
テーブルに置かれたお菓子をモグモグと食べながら考えていたが、一向にいい案が思い浮かばない。
「ハルお嬢様、気分転換に窓をお開けしましょうか?外の風が入ってきて心地いいですよ」
「うん。開けて……」
そこまで言いかけて、私は言葉を止めた。
そうだ、
「セバス!」
ぴょん、と勢い良くソファーから降りて、セバスを見た。
「如何なされましたか?ハルお嬢様」
「ハルも気分転換する!」
「ですが、外には行けませんよ?」
「分かってる!だから、屋敷の中をお散歩するの」
屋敷の中は結構広いから毎日グルっと一周するだけでも充分この身体なら疲れるだろう。慣れてきたら二周三周と増やせばいい。
それに、この身体では大きい扉も自分で開ければ腕の筋肉も付くし、一石二鳥だ。
意外と簡単に体力付けられるじゃんと思わず、得意げな顔をして扉に向かって歩く。
しかし、ヒョイっとセバスに持ち上げられてしまい、扉も開けられて廊下に出てしまった。
違う違う。そうじゃない。そんな事したら、セバスの体力が付くだけだ。そもそもこんなんじゃ付かないだろうけど
「では、参りましょうか」
ニッコリと笑顔でそう言うセバスに少し、ほんの少しだけ殺意が芽生えた。
しかし、本人には悪気がない。寧ろ執事としての仕事を従順にこなしているだけなので、怒るに怒れない。
「……」
「まずはどちらに……ハルお嬢様?」
ようやく私の異変に気が付いたセバスが顔を見る。
今の私の顔は、両頬をプックリと膨らませて仏頂面になっているだろう。
「これじゃ気分転換にならないから降ろして〜!」
「しかし、ハルお嬢様の身体では歩くのが大変ですので…」
「いいの!自分で歩くし、扉も開けるの!」
そう言ってジタバタと暴れれば、困った顔をしながらセバスは降ろしてくれた。
正直、中身の年齢が27歳なので、恥ずかしいと言えば物凄く恥ずかしいのだが、子供っぽさも出さないといけない。
子供ってこんな感じだったかなぁ…?と、試行錯誤しながら喋ったりしているが、時々子供っぽくない仕草が出てしまう時があって誤魔化すのが大変だ。
「では、どちらへ行きますか?」
「じーちゃん達がいる部屋は今行けないからぁ…」
この部屋から一番遠い部屋はどこだったか…そもそも私の部屋は二階の一番奥の角部屋に位置している。
この際、屋敷の間取りを全て把握する事からやっていくとしよう。
「家の部屋全部見る!」
「全て、ですか?」
「うん!」
どうにもセバスの歯切れが悪い上に何か考え込んでいる様子だった。確かに屋敷の中は広いが、今日中に回り切れる数のはずだ。
一体どこの貴族の豪邸ですか?って感じで、前世では絶対に拝めなかった間取りだったはずだが、そんなに考え込む程だろうか。
「セバス、どーしたの?」
燕尾服のテール部分をクイッと何度か引っ張り、未だ考え込んでいるセバスの意識を引き戻す。
「失礼致しました。全てご案内させていただきます」
「はーい!」
現在、祖父母それから執事長のドルクスがいる部屋は、一階にある
「ではまず、一階からご説明させていただきますね」
「うん!」
こうして、出だしは順調に進んでいった。
一階は入口の
まず左側には
その裏口を抜けると、洗濯を干す場所があって、別館の様に使用人達の家がある。菜園もあるそうだ。
右側には入口入ってすぐ脇にトイレがある。そしてその隣に
正直、一階だけでも住める。というか完全に住めてしまう。改めて祖父母の家が豪邸である事を思い知らされた。
「……以上で一階の説明でございましたが、やはり本日はここまでにされますか?」
正直、子供には一気に覚えられる量ではないとセバスは思っていたのだろう。心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫…!次は二階!」
「左様でございますか。では、疲れたりしたらすぐ仰って下さいね」
「うん!ありがとーセバス!」
この時、呑気にお礼を言っていた自分を殴ってやりたくなる事が起きるだなんてこの時の私は知る由もなかった。
6/6ページ