第一幕
名前変更
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「……転生チートで最強夢主爆誕……」
目を覚まして開口一番に、到底子供とは思えない欲に塗れた顔で少女は小さくそう呟いた。
それは遡る事、数日前の出来事だ。少女は遊んでいた時に盛大に頭部をぶつけ昏睡状態に陥っていた。
「……じーちゃん ばーちゃん どこー?」
キョロキョロと辺りを見回すが、そこは真っ白な空間そして少女の背後に大きな扉があった。
その場所には、どうしてだか見覚えがあった。知らない場所のはずなのにどうしてだろう……?
『本当に変わってるね』
女性、あるいは少女ともとれる声が不意に聞こえた。声の先には白い透明な、人の輪郭をした存在がいた。
「……だぁれ?」
『私はあなた達が〝世界〟と呼ぶ存在 あるいは〝宇宙〟あるいは〝神〟あるいは〝真理〟』
その声を聞いていると不思議な感覚に陥った。何故だか彼女ないしは彼の言葉の続きが解 るのだ。
あるいは〝全〟あるいは〝一 〟そして……
『「あなたは私 」』
同時に発せられた言葉を聞いた人の輪郭をした存在は、にっこりと笑った。
「そうだ、そうだよ。私は……ハルだ」
少女は、そう言って突然涙をボロボロと零した。
私の名前はハル。27歳で漫画やアニメ、ゲームが大好きで、よくイベントにコスプレイヤーとして参加していた社会人だった。
どうやって死んでしまったのかは分からないけれど、今は7歳の少女に生まれ変わった。名前も以前と同じハルのまま
「……なんで忘れてたんだろ」
『あぁ残念 なんの対価もなしに自分で解っちゃった』
クスクス、と意地が悪そうに笑う真理を見やりつつ、ハルは頭をフル回転させていた。
私が死んでしまったという事は、もう覆りようがない事実だとして諦めたとして……
ここって、あの錬金術師の世界だよね?更に言えばここは人体錬成しようとしない限り入れない場所のはずだ。
……何故こんな所に居るのだろう?よく思い出せ。
今のハルは、まだ4歳。私の両親がイシュヴァール内乱に出征する事になって、祖父母に預けられた。
未だ両親から手紙はちゃんと届くので健在している。
そして、外で一人遊びをしていて盛大にすっ転び後頭部を強打した。我ながら盛大にすっ転んだと思う。
そうしていくら考えても覚えがない。だって、すっ転んで気絶した人間がどうやったって人体錬成なんて出来るワケがないのだから。
「……で?なんでここにいるの?」
『あぁ、それは私が連れてきたの』
しれっと悪びれる様子もなく言ってのける真理
「え、どうやって連れて……」
そこまで言いかけて私は気がつく。
そうだ真理は全事象みたいなものだから、気絶してる私なら簡単に連れてこれるだろう。
『あら、つまらない。また解っちゃった』
何がなんでも対価で何か持っていこうとするじゃん。めっちゃ怖いんですけど……。
『もしかして見たいの?扉の中』
「いえ、大丈夫です。全力で拒否します」
ブンブン、と凄い勢いで首を左右に振った。だって、これ下手したら全部持っていかれるじゃん。怖すぎて首を縦になんて振れませんよ、普通。
『冗談よ、それにあなたは見なくても扉の中を全て理解してるみたいだし』
シレッと爆弾発言しないで?
え、て事は手を合わせるだけで錬金術出来ちゃう?なんの代償も要らずに??
「……チートじゃん。最強チートすぎるじゃん、私」
『まぁ、錬金術勉強しないと出来ないと思うけれどね』
「それでも凄いじゃん!えぇ、天才少女爆誕する展開とかオイシイ……」
そこまで言い終えて、私は固まる。
「てことは、原作改変待ったなし……!?」
一番悲しすぎて漫画も新旧アニメも涙なしじゃ絶対に見られない私の推しであるグリードの死を無理やり生存ルートに改変出来ちゃうのでは!?
「つまり、今から剣術体術鍛え直しつつ、錬金術も学べば最強夢主爆誕!!!」
うっひょー!と思わず言ってしまいそうなぐらいのテンションで、ハルは妄想する。
『……そう言えば、あなたそんな性格だったね』
真理の呆れたような憐れむような声など、今のハルには聞こえていないようだ。
剣術と体術は、コスプレをするに当たり、キャラになりきるには全部習得するっきゃないだろ!って阿保の子満載な考えに至って、実は前世で習得してたんだけど……
いやぁ、人間なんでも挑戦してみるもんだね!基礎中の基礎なら頭に入ってるから、後は血反吐はくくらいまで実践演習をするのみ!
それをしてくれそうな人が近くにいるってのもまた最高だよね。
起きたらじーちゃんとばーちゃんに聞こう。
軍人と国家錬金術師を輩出してた有名な家で良かったよね、本当に。
運命の悪戯ってあるんだなぁ、と本当に感謝してもしきれない。
本当にチートで最強夢主生み出してくれって言ってるような家だよ、ありがとう!
『……ハル ちょっと妄想から帰ってきてくれる?』
「はっ!しまったオタクの血が騒いでしまった!!」
妄想に明け暮れるあまり、ヨダレも垂れてた。危ない危ない。
『素直に帰ってきてくれて良かった』
「それで、どうしたの?」
『改変するのは別にいいけど、それを他の人に言わないでね?』
「そりゃ、勿論言わないよ?痛い子だって思われたくないし」
そう言えば、真理はフルフルと首を横に振る
『違う。未来が変わるからとかでもなく、代償を払う事になるよ』
「そこでも等価交換!?」
『過去なら話しても平気だけれど、未来は絶対に駄目だからね?じゃないと……』
そこまで言って真理は口を噤んだ。
「途中で言わなくなる方が怖いんですけど!?」
『とにかく誰にも言わないで、絶対だよ』
既に泣きそうな顔のハルは無言で何度も頷いた。
『じゃあ、そろそろお別れの時間ね。さよなら、ハル』
そうして私の視界は暗転し、目を覚ませばベッドの上という現在に至る。
「あぁ……!神様!!」
「ハル!!良かった……!本当に良かった!!」
涙でぐしゃぐしゃした祖父母の顔を見て、本当にこの家に生まれて良かったと思わせてくれる。
「じーちゃ、ばーちゃ……くるし……」
二人の熱い抱擁から無事に解放されると、事の顛末を教えてもらった。
外傷もないし、軽い脳震盪だろうから、すぐに目を覚ますだろうという医者の言葉とは裏腹に、一日、二日と私が目を覚ます様子はなかったそうだ。
愛娘や婿だけでなく、孫娘まで失ってしまうのかと恐れていたそんな時に、孫娘が目を覚ましたのだから、喜ばずにはいられなかったのだ。
だから、孫娘が開口一番に呟いた言葉なんて祖父母の耳には聞こえていなかったようで、安心した。
目を覚まして開口一番に、到底子供とは思えない欲に塗れた顔で少女は小さくそう呟いた。
それは遡る事、数日前の出来事だ。少女は遊んでいた時に盛大に頭部をぶつけ昏睡状態に陥っていた。
「……じーちゃん ばーちゃん どこー?」
キョロキョロと辺りを見回すが、そこは真っ白な空間そして少女の背後に大きな扉があった。
その場所には、どうしてだか見覚えがあった。知らない場所のはずなのにどうしてだろう……?
『本当に変わってるね』
女性、あるいは少女ともとれる声が不意に聞こえた。声の先には白い透明な、人の輪郭をした存在がいた。
「……だぁれ?」
『私はあなた達が〝世界〟と呼ぶ存在 あるいは〝宇宙〟あるいは〝神〟あるいは〝真理〟』
その声を聞いていると不思議な感覚に陥った。何故だか彼女ないしは彼の言葉の続きが
あるいは〝全〟あるいは〝
『「
同時に発せられた言葉を聞いた人の輪郭をした存在は、にっこりと笑った。
「そうだ、そうだよ。私は……ハルだ」
少女は、そう言って突然涙をボロボロと零した。
私の名前はハル。27歳で漫画やアニメ、ゲームが大好きで、よくイベントにコスプレイヤーとして参加していた社会人だった。
どうやって死んでしまったのかは分からないけれど、今は7歳の少女に生まれ変わった。名前も以前と同じハルのまま
「……なんで忘れてたんだろ」
『あぁ残念 なんの対価もなしに自分で解っちゃった』
クスクス、と意地が悪そうに笑う真理を見やりつつ、ハルは頭をフル回転させていた。
私が死んでしまったという事は、もう覆りようがない事実だとして諦めたとして……
ここって、あの錬金術師の世界だよね?更に言えばここは人体錬成しようとしない限り入れない場所のはずだ。
……何故こんな所に居るのだろう?よく思い出せ。
今のハルは、まだ4歳。私の両親がイシュヴァール内乱に出征する事になって、祖父母に預けられた。
未だ両親から手紙はちゃんと届くので健在している。
そして、外で一人遊びをしていて盛大にすっ転び後頭部を強打した。我ながら盛大にすっ転んだと思う。
そうしていくら考えても覚えがない。だって、すっ転んで気絶した人間がどうやったって人体錬成なんて出来るワケがないのだから。
「……で?なんでここにいるの?」
『あぁ、それは私が連れてきたの』
しれっと悪びれる様子もなく言ってのける真理
「え、どうやって連れて……」
そこまで言いかけて私は気がつく。
そうだ真理は全事象みたいなものだから、気絶してる私なら簡単に連れてこれるだろう。
『あら、つまらない。また解っちゃった』
何がなんでも対価で何か持っていこうとするじゃん。めっちゃ怖いんですけど……。
『もしかして見たいの?扉の中』
「いえ、大丈夫です。全力で拒否します」
ブンブン、と凄い勢いで首を左右に振った。だって、これ下手したら全部持っていかれるじゃん。怖すぎて首を縦になんて振れませんよ、普通。
『冗談よ、それにあなたは見なくても扉の中を全て理解してるみたいだし』
シレッと爆弾発言しないで?
え、て事は手を合わせるだけで錬金術出来ちゃう?なんの代償も要らずに??
「……チートじゃん。最強チートすぎるじゃん、私」
『まぁ、錬金術勉強しないと出来ないと思うけれどね』
「それでも凄いじゃん!えぇ、天才少女爆誕する展開とかオイシイ……」
そこまで言い終えて、私は固まる。
「てことは、原作改変待ったなし……!?」
一番悲しすぎて漫画も新旧アニメも涙なしじゃ絶対に見られない私の推しであるグリードの死を無理やり生存ルートに改変出来ちゃうのでは!?
「つまり、今から剣術体術鍛え直しつつ、錬金術も学べば最強夢主爆誕!!!」
うっひょー!と思わず言ってしまいそうなぐらいのテンションで、ハルは妄想する。
『……そう言えば、あなたそんな性格だったね』
真理の呆れたような憐れむような声など、今のハルには聞こえていないようだ。
剣術と体術は、コスプレをするに当たり、キャラになりきるには全部習得するっきゃないだろ!って阿保の子満載な考えに至って、実は前世で習得してたんだけど……
いやぁ、人間なんでも挑戦してみるもんだね!基礎中の基礎なら頭に入ってるから、後は血反吐はくくらいまで実践演習をするのみ!
それをしてくれそうな人が近くにいるってのもまた最高だよね。
起きたらじーちゃんとばーちゃんに聞こう。
軍人と国家錬金術師を輩出してた有名な家で良かったよね、本当に。
運命の悪戯ってあるんだなぁ、と本当に感謝してもしきれない。
本当にチートで最強夢主生み出してくれって言ってるような家だよ、ありがとう!
『……ハル ちょっと妄想から帰ってきてくれる?』
「はっ!しまったオタクの血が騒いでしまった!!」
妄想に明け暮れるあまり、ヨダレも垂れてた。危ない危ない。
『素直に帰ってきてくれて良かった』
「それで、どうしたの?」
『改変するのは別にいいけど、それを他の人に言わないでね?』
「そりゃ、勿論言わないよ?痛い子だって思われたくないし」
そう言えば、真理はフルフルと首を横に振る
『違う。未来が変わるからとかでもなく、代償を払う事になるよ』
「そこでも等価交換!?」
『過去なら話しても平気だけれど、未来は絶対に駄目だからね?じゃないと……』
そこまで言って真理は口を噤んだ。
「途中で言わなくなる方が怖いんですけど!?」
『とにかく誰にも言わないで、絶対だよ』
既に泣きそうな顔のハルは無言で何度も頷いた。
『じゃあ、そろそろお別れの時間ね。さよなら、ハル』
そうして私の視界は暗転し、目を覚ませばベッドの上という現在に至る。
「あぁ……!神様!!」
「ハル!!良かった……!本当に良かった!!」
涙でぐしゃぐしゃした祖父母の顔を見て、本当にこの家に生まれて良かったと思わせてくれる。
「じーちゃ、ばーちゃ……くるし……」
二人の熱い抱擁から無事に解放されると、事の顛末を教えてもらった。
外傷もないし、軽い脳震盪だろうから、すぐに目を覚ますだろうという医者の言葉とは裏腹に、一日、二日と私が目を覚ます様子はなかったそうだ。
愛娘や婿だけでなく、孫娘まで失ってしまうのかと恐れていたそんな時に、孫娘が目を覚ましたのだから、喜ばずにはいられなかったのだ。
だから、孫娘が開口一番に呟いた言葉なんて祖父母の耳には聞こえていなかったようで、安心した。