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note/米森

記事一覧

  • ▽ 2016 02.05

    20160205(金)00:00
    #46novels 仰いだ空は赤色、蝉の声が変わるころ。小川に草木、わたしの足先、全てがきらめく帰り道。スカートが翻るのも汗をかくのも気にしないでひたすら駆ける。ここならいつか、素敵な人に会える気がするの。でも、せっかくならこんな夕陽の下がいいなって。染めた頬に気づかれないから。
  • ▽ 2016 02.04

    20160204(木)00:00
    広すぎるベッド。減らないインスタントコーヒー。多すぎる食器。趣味でない雑誌。電源の入らないラジオ。作りかけの機関車。中身の足りない写真立て。枯れたサボテン。くすんだ革靴。安い電気代。何もかもが移りゆく世に。この部屋だけだ。取り残されたのは。彼の影を今日もなぞる。
  • ▽ 2016 02.03

    20160203(水)00:00
    安っぽい甘さに咽せる。君がよく舐めていたこの飴。この部屋で遊ぶときはいつも、袋いっぱいに詰めてきてさ。顔をしかめた私に、舐めれば分かるさと君は頬を膨らませた。がらんどうになった部屋に唯一残った君のもの。君を思い出しながら噛み砕けば、破片に引っかかりまた咽せた。
    @odaiyahonpo 様:鋭利ないちご味
  • ▽ 2016 02.01

    20160201(月)00:00
    愛はお金で買えない。しかし、値段は正直ともいう。一年に一度のことだ、財布が寂しくなろうとも奮発しよう。いや、でも待って。上手くいくとして、デートに着ていく服が去年のしかないよね。どうしよう。そもそも気に入ってくれるかな。ショーケースに並ぶチョコに唸ること数十分。
  • ▽ 2016 01.30

    20160130(土)00:00
    カーテンを滑らせる。ベッドに丸まった主人は未だ開ききらぬ目を僕に向けた。「遅刻してしまいますよ」「起きるところだった」むくれる主人。微かに残るあどけなさ。白磁のような肌を汚したい。そう思い続け幾多の朝を迎えた。「ご自分で起きましょう」どうか、僕が過ちを犯す前に。
  • ▽ 2016 01.29

    20160129(金)00:00
    視界がぐるんぐるん。耳がぐわんぐわん。くまをぎゅっと抱きしめる。昔はこんな風に熱を出すたびに、溶けて消えちゃうのかなって怖かった。現在進行形でも心配だけど…ほら、階段を上がる音が聞こえてきた。もう大丈夫。お母さんのはちみつレモンを飲んだら、明日は元気になれるよ。
  • ▽ 2016 01.27

    20160127(水)00:00
    白い薔薇を散らす。棘に触れた指から血が滴り落ちて、灰色の十字架に染みを付ける。思い残すことなどない。男は墓標に優しく笑いかけた。空間を裂いて現れた女の細腕。男の頬を撫でる。本当にいいのね。ああ。ともに時を歩んでいこう。二つの魂は砂塵と消えた。めでたし、めでたし。
  • ▽ 2016 01.26

    20160126(火)00:00
    死ぬのによい日だ。西の空、光は赤く潰れて淡く消えゆく。街に来たころは全てが輝いていた。綺麗だった。夢があった。消えかけのネオン。ヒビの入った階段をゆっくり降りていく。そうだ。髪を切ろう。安っぽくなった金髪を。ドレスも宝石も売ってさ。嗚呼、よい日だ。死んで、生まれ変わる。よい日だ。
  • ▽ 2016 01.25

    20160125(月)00:00
    こんこんと降る雪。ぱちぱちと燃える暖炉。編み物の手を止め、ほっと息を吐く。ゆらりと揺れた木馬。小さな本棚から手に取った絵本。今夜はこれにしましょう。風が頬を撫でる。小さき翼のものたちが姿を現し、籐椅子の私を取り囲んだ。ずっと昔のことです。きらきらと輝く目。こうして夜は更けていく。
  • ▽ 2016 01.24

    20160124(日)00:00
    赤いの青いの、甘いの苦いの酸っぱいの、大きいの小さいの。飴玉が瓶いっぱいに詰められている。子どものころは甘いのばっかり口に含んでにこにこ。いつしか背が伸び声が変わって、瓶の底に残ったのは苦いのばっかり。仕方がないから、今日も苦いのを舐める。甘い甘いと言いながら。