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note/米森
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記事一覧
▽ 2016 12.09
20161209(金)00:00ぐるぐる。環の中をぐるぐる歩き続ける。既視感に目眩。足だけは前に進み続けていて、上っているのか下っているのか、なんていつからか分からなくなって。ぐるぐる。変わらず、変われず、終われずに。果たして環の切れ目はどこだろう。切れ目なんてあるのかな。ぐるぐる、ぐるぐる。▽ 2016 11.27
20161127(日)00:00ダイヤモンドの指輪。貴方と永遠を誓った冬の教会。ようやく愛を手に入れられると思っていたのに。割れた窓。落ちた照明。散乱する食卓。もうたくさんだ。愛のない永遠など。トランクを抱え、誰を迎え入れるわけでもなかったドアを開ける。月明かりを受けて、指輪だけが輝いていた。▽ 2016 11.26
20161126(土)00:00かじかみ、ひび割れた指先から零れた赤い血が、差出人の名前を滲ませる。一年ぶりの雪が、待ちわびた手紙を運んできた。夏の海を背にした君の弾ける笑顔が、どんよりと重い僕の心を照らす。雪が溶ければ、春が来る。──そう願いつつ、遠くで軋む雪の音に耳を澄ませ、曇った窓に君と僕の名を書いた。▽ 2016 11.25
20161125(金)00:00鶴を折る。わたしの願いは誰かの祈り、誰かの想いはわたしの心。叶わなくても、叶えたいことがなかったとしても、手は止めない。色とりどり大小さまざま、積み上がったそれらがいつか羽ばたいてくれればいいな。わたしのためでも、まだ見ぬ誰かのためでもいい。心のままに鶴を折る。▽ 2016 11.23
20161123(水)00:00楽しくないお酒でも笑って飲むようになった。自分のせいじゃなくても謝ることを知った。つらくても朝決まった時間に起きるようになった。「社会人」は想像より「諦めること」を覚えた人なのだ。だからこそ、私を私たらしめるものを大事に抱えていたい。諦めないものを、ひとつでも。▽ 2016 11.22
20161122(火)00:00いい夫婦ってなんだろう。おしどり夫婦といったって離婚することもある。よその家庭のことは外野が囃し立てるものじゃないよ、きっとね。というか、そっとしといてほしい。あったかいご飯とあったかいお家。自分とあなたが毎日楽しければ全ていいのだ。「そうじゃないかね」「ねー」▽ 2016 11.20
20161120(日)00:00床に散乱したチョコレート。拾おうともがく女を僕は突き倒して、手を踏みつける。
「好きです」
「悪趣味だ」
「それでも好きです」
涙流して煩わしいことこの上なく、僕は足に一層力を込める。だらしなく腹を見せ、化粧もぐしゃぐしゃにして。嗚呼、何たる無様さを晒していやがるのか。しかし、好きだ、と女は血の滲む唇で呪詛のように言葉を吐き出す。
「他の人と違うところが好きです。今こうされているのも私は嬉しくて、ますます惚れてしまいます」
「異常だ」
「異常者同士、気が合うとも考えられませんか?」
「煩い。死ね」
「好きです。こうしてお話が出来たから、ますますあなたのことが諦められなくなりました」
女は頬を染める。
「好きです」
「あんたは狂っている」
「狂ってしまうほどあなたが好きなんです」
「元からなのでは?」
「いいえ、あなたに恋してからです。三年前の四月二十七日からです」
「おかしいよ」
「恋は人を狂わせるって知ってますか? あれは本当のことですよ」
「ああそう」
これっぽっちも分からない。女も、耳を傾けてしまっている僕自身も。
分からなくて、腹が立って、吐き気がする。
「なら教えてみろよ。僕に。その『恋』とやらを」
――これは僕の気紛れだ。有り難く思え。
チョコレートをひとつ拾い上げ、女の口にねじ込んだ。▽ 2016 11.18
20161118(金)00:00眼窩に輝く瞳は、まるでサファイアとターコイズ。目尻に浮かぶ涙を舐めとれば、私の心は益々昂るばかり。「綺麗だ」吐息ごと唇を塞ぎ、寝台に縺れ。「死ね」睨む二色の眼が。絹地のような肌が。絡みつく鎖に苦悶する肢体が。「綺麗だ」どうか君は私の腕の中で、穢れを知らぬままで。▽ 2016 11.13
20161113(日)00:00欠けたることのなしと思えば、と君は昔の唄を口ずさむ。僕も君も、初めて手にした甘美な幸福に酔いしれていた。煌々とした光に照らされる。…怖い。ふと考える。今宵の満月のように、後は闇に奪われるのなら、いっそ奪われぬよう僕の手で。銃口を向け空砲を撃って。僕は満月を穿つ。▽ 2016 11.12
20161112(土)00:00私は人魚。数年前に人魚になってからは、王子の姫君として生きている。毎夜触れるだけの口づけがくすぐったくて、じれったくて、彼の首に腕を回して愛を囁く。足首を返して。人に戻して。…そう思えど、私は彼を少しばかり愛しすぎているから。彼は悪い魔法使いで王子様。私は人魚。