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約束
夢小説設定
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「あのっ」
背後から花之が思いきって声をかけると、シノは静かに振り向いた。虫かごの蓋は開いている。
「シノ……だよね。久しぶり」
「……ああ」
話したことはほぼないが、見覚えのある女子だった。額あてをしている。忍だ。
「アカデミーで一緒だった、んだけど」
「ああ」
「虫、採ってるの?」
花之は遠くから覗き込むようにして尋ねた。
シノが視線を虫かごに戻すと、たった今見つけたばかりの昆虫はいなくなっていた。
「……何だ」
仏頂面でシノが用件を聞くと、花之は唾を飲んだ。少し黙ったかと思うと、ややはっきりとこう言った。
「私も虫を逃がしたい」
シノは黙って言葉の意味を確かめる。
「……」
「シノみたいに!」
「オレは今、虫を逃がしたかったわけではない」
「……昔みたいに」
昔。アカデミーの頃のことを言っている。シノがそう思った時、花之は数歩近づいてきていた。
「またここに来る?」
「……ああ」
「見てほしいものがあるの。いつ来る?」
「明日の昼だ」
「わかった。またねっ」
花之はそう答えると、すぐに背を向けて走っていった。
シノはしばらくそれを見ていたが、虫かごに視線を戻した。
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