1 暇を持て余したアシエン

  • 不滅なるもの、アシエンたちにとある事件が迫っていた

  • オリジナルアシエンのグループ
  • ラハブレア

    聞こえるか……

  • エリディブス

    その呼びかけ、魂に語りかけるときと同じだな、ラハブレア。

  • エリディブス

    この通信機能は、確認を取らなくても心配は要らない。

  • エリディブス

    いつもの会議のように話し始めて構わない。

  • エリディブス

    何があった?

  • ラハブレア

    次のアーダーまでに要する時の長さ――認識しているか?

  • エメトセルク

    このまま、次のアーダー予定たる三百年後まで眠り直したいところだ。

  • エリディブス

    エメトセルクの言う通りだ。既に三百年後と算出されている。

  • ラハブレア

    問題がある

  • ラハブレア

    転生組が、些末な作業をいつの間にか完了させていた。結果として、次のアーダーまで我らに為すべきことが無い、という事実が判明したのだ。

  • エリディブス

    つまり……

  • エリディブス

    待機、ということか?

  • エメトセルク

    ああよかった

  • エメトセルク

    まさか、私の言った、このまま眠ることが叶うとは!

  • エメトセルク

    冗談じゃないぞ

  • エメトセルク

    部下が有能すぎるのも考えものだ

  • ラハブレア

    話は終わりではない
    エメトセルク

  • エメトセルク

    あ〜やっぱり眠らせてくれ

  • エメトセルク

    嫌な予感がする

  • ラハブレア

    転生組には任せられぬことが一つある

  • ラハブレア

    それを片付けてから余暇を過ごすとしよう

  • エメトセルク

    それ、三百年以内に終わるんだろうな?

  • ラハブレア

    どういった規模のものかは未知数だ

  • ラハブレア

    私たちで調査に向かうとしよう

  • エリディブス

    「向かう」とは、どこかで起きている事象なのだな

  • ラハブレア

    ああ

  • ラハブレア

    場所はモードゥナ銀泪湖

  • ラハブレア
  • ラハブレア

    先に到着し待つとしよう

  • こうして、オリジナルアシエンたち三人は銀涙湖へ向かった。

  • エメトセルク

    着いたぞ

  • エリディブス

    エメトセルクはいつも早いな

  • エメトセルク

    ……さっさと終わらせるためだ

  • ラハブレア

    ちょ、まてくれ

  • エメトセルク

    どうした?

  • エメトセルク

    爺さんいやに焦ってるな

  • エリディブス

    どうしたラハブレア

  • エリディブス

    銀泪湖に来たがラハブレアはどこにいる?

  • エリディブス

    エメトセルクもいない

  • ラハブレア

    すまない

  • ラハブレア

    状況把握のために時間を要した

  • ラハブレアが異変を察知する頃、エメトセルクもまた何かに巻き込まれたのか、焦った様子で連絡する。

  • エメトセルク

    エリディブス

  • エメトセルク

    地図の峠には行くな

  • ラハブレア

    調査を行い結果が出なくては分からないが

  • ラハブレア

    鏡像世界とも異なる世界に来ている

  • エメトセルク

    ああ、そのようだ

  • エメトセルク

    戻ろうとしても帰り道を辿れないようになっている

  • エリディブス

    どうやら遅かったみたいだ

  • エメトセルク

    ……まさか

  • エリディブス

    君の後ろだ

  • 「遅かったか……」

    エメトセルクがトームストーンを顔から離し、エリディブスを確認する。彼と目を合わせて肩をすくてみせた。

  • 「ラハブレアも来ているのか?」

    エリディブスは周りを見渡す。
    石でできた柱に道、そこに絡みつく黒い線。空は青いままだが、光の強さや湿気のまとわりつき方は銀泪湖の比ではない。

  • 「爺さんは先に調査に出たらしい」

    エメトセルクも周囲を眺める。石の道には意味ありげな模様が走り、脇には人家らしき建物が並ぶ。黒光りする瓦は、東方でよく見る建材だった。

  • 「ラハブレアの報告を待とう」

    エリディブスは近辺を観察しながらエメトセルクに提案した。

    そのつもりであったエメトセルクは鼻を鳴らし、腕を組んだ。

    「そうだな。とりあえず待つとしよう。どうせまた語りは長いだろうが」

  • ラハブレア

    ある程度の調査が完了した

  • ラハブレア

    嘆かわしい

  • ラハブレア

    二人も気付いているだろう

  • ラハブレア

    ここではエーテル操作がわずかしか発動できない

  • エメトセルク

    私も試してみたが

  • エメトセルク

    出たのはモーグリ族の爪先ほどの火花だ

  • エメトセルク

    まったく冗談じゃない

  • エリディブス

    ここはいったいどこだろうか

  • ラハブレア

    その辺を歩いていた人の子に尋ねた

  • ラハブレア

    ここは“ニホン”と呼ばれる国らしい

  • ラハブレア

    ローブの者は誰ひとりいない

  • ラハブレア

    この姿のままでは、我々が怪異扱いされかねん

  • エメトセルク

    アーダーをする世界でもない場所で

  • エメトセルク

    混乱を招くのは避けるべきか

  • エリディブス

    服だけではないだろうな

  • エリディブス

    ラハブレアは喋り方も一般的ではないので気をつけるといい

  • ラハブレア

    なんだと

  • ラハブレア

    会話以前の問題になるのはそのようなことからだったか……

  • 何がきっかけか、日本にたどり着いてしまったオリジナルアシエンたち。
    この先、大丈夫なのだろうか……?

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