アルチャコ短編集 ep.1
元日のお昼過ぎ。新年のご挨拶ということで、ポチャッコ様とあひるのペックル王国を訪問していたチャコは、アルペックと共に騎士の仕事の合間を縫って初詣に来ていた。
アルペックの案内で足を運んだ神社は、小さいながらも多くの人々が訪れており、境内のあちこちから楽しげな話し声や笑い声が聞こえてきて賑やかだ。拝殿へと続く長い列に並んだ二人は、他愛のない会話を交わしながらのんびりと歩みを進める。昨年の思い出話に花を咲かせているうちに、二人が気が付いた時には拝殿の目の前に到着していた。
「思ってたよりも早く着いたね?」
「うんうん!それにチャコと話してると楽しくて、時間経つのあっという間だった!」
さらりと言って退けたアルペックは屈託のない笑顔を浮かべていて、まるで頭上から降り注ぐ陽の光のようだ。まっすぐに自分の気持ちを伝えてくるアルペックの姿は、彼への秘めた想いを隠し抱えているチャコにとって、ちょっぴりまぶしい。曖昧な笑みで返したチャコは、強い光から目を逸らすように拝殿へ顔を向け、瞼を下ろし手を合わせた。
「なぁチャコ、チャコはカミサマになんてお願いしたんだ?」
どうやらアルペックの方が先に拝礼が終わったらしい。すぐ隣で手を合わせていた彼はこちらに顔を向け、興味津々というように目を輝かせながら伺ってきた。
「えーっと、ポチャッコ様と国民みんなの健康と、王国の繁栄。アルは?」
「オレも一緒!ペックルさん達がみんな楽しく元気に過ごせますようにって!」
「ふふっ、やっぱりこのお願いになるよね」
半分本当で半分嘘。フラガリアの騎士として初詣に向かっているということで、神社までの道中に『プライベートの願いごとはしない』と心に決めていたチャコだったのだが……先ほどのアルペックからの言葉を聞いて心が揺らいでしまった結果、こっそりと自身の願いごともしていたのだ。
アルと両想いになれますように、なんて。
カミサマとやらに願っても叶うわけがないと頭では理解しつつも、一生隠し通そうと決め込んだ願いが叶ったらという期待を捨てきれずにいる自分にうんざりしてしまう。重くなりかけた気持ちを振り払うように、にこりとアルペックに笑みを向けたチャコは彼に背を向ける。参道の石畳を踏みしめて、来た道を戻るように歩き始めた、その時だった。
「あのさ!チャコ。オレ、他にもお願いごとしたんだけど……聞いてくれる?」
数歩後ろを歩いていた想い人から投げかけられた言葉に、チャコは足を止めて振り返る。どこか緊張した面持ちのアルペックがゆっくりとこちらに近づいてきた。
「一番の願いごとは自分で叶えてえけん、内緒な?もう一つは、チャコが今年もオレん隣でたっくさん笑ってくれますようにってお願いしたんよ」
「えっ……?」
聞き間違いではないかと自分の耳を疑いながら、いつの間にか隣に立っていたアルペックを見つめる。太陽を閉じ込めたような、バター色の淡い瞳から目が逸らせない。
「チャコはかっこええし優しい、ポチャッコ王国のみんなの憧れやろ?やけん、オレ以外にも一緒に過ごす相手がようけおるんな分かっちょんけんど……そげなチャコが、オレん隣でようけ笑うちくれたら嬉しいっち思うんよ。これはオレんわがままかも知らん。でも、チャコんことたくさん笑顔にするけん、今年も隣じ笑いよってくれたら嬉しいんやけど……ダメ?」
「っ……!別にダメじゃない、けど。……そんなこと言われたら、勘違いしちゃうよ」
熱を帯びていく頬を隠すように、フードを引っ張り深く被る。ほてった顔はフードで隠すことができても、高鳴る鼓動とアルへの気持ちは誤魔化しきれない。
「あーあ、やっぱりアルには敵わないなぁ。アルも、今年も俺の隣でたくさん笑っててね?」
「うん?……もちろん!今年もよろしくな、チャコ!!」
「こちらこそ、今年もよろしくね?」
やっぱり諦めきれないな。なんて思いながら、機嫌良さげなアルペックと並んで再び参道を歩き始める。
おみくじ引きたいと隣ではしゃぐアルペックの横顔を見つめながら、俺の大吉はすぐ隣に居るんだけどね?と一人こっそり浮かれるチャコだった。
アルペックの案内で足を運んだ神社は、小さいながらも多くの人々が訪れており、境内のあちこちから楽しげな話し声や笑い声が聞こえてきて賑やかだ。拝殿へと続く長い列に並んだ二人は、他愛のない会話を交わしながらのんびりと歩みを進める。昨年の思い出話に花を咲かせているうちに、二人が気が付いた時には拝殿の目の前に到着していた。
「思ってたよりも早く着いたね?」
「うんうん!それにチャコと話してると楽しくて、時間経つのあっという間だった!」
さらりと言って退けたアルペックは屈託のない笑顔を浮かべていて、まるで頭上から降り注ぐ陽の光のようだ。まっすぐに自分の気持ちを伝えてくるアルペックの姿は、彼への秘めた想いを隠し抱えているチャコにとって、ちょっぴりまぶしい。曖昧な笑みで返したチャコは、強い光から目を逸らすように拝殿へ顔を向け、瞼を下ろし手を合わせた。
「なぁチャコ、チャコはカミサマになんてお願いしたんだ?」
どうやらアルペックの方が先に拝礼が終わったらしい。すぐ隣で手を合わせていた彼はこちらに顔を向け、興味津々というように目を輝かせながら伺ってきた。
「えーっと、ポチャッコ様と国民みんなの健康と、王国の繁栄。アルは?」
「オレも一緒!ペックルさん達がみんな楽しく元気に過ごせますようにって!」
「ふふっ、やっぱりこのお願いになるよね」
半分本当で半分嘘。フラガリアの騎士として初詣に向かっているということで、神社までの道中に『プライベートの願いごとはしない』と心に決めていたチャコだったのだが……先ほどのアルペックからの言葉を聞いて心が揺らいでしまった結果、こっそりと自身の願いごともしていたのだ。
アルと両想いになれますように、なんて。
カミサマとやらに願っても叶うわけがないと頭では理解しつつも、一生隠し通そうと決め込んだ願いが叶ったらという期待を捨てきれずにいる自分にうんざりしてしまう。重くなりかけた気持ちを振り払うように、にこりとアルペックに笑みを向けたチャコは彼に背を向ける。参道の石畳を踏みしめて、来た道を戻るように歩き始めた、その時だった。
「あのさ!チャコ。オレ、他にもお願いごとしたんだけど……聞いてくれる?」
数歩後ろを歩いていた想い人から投げかけられた言葉に、チャコは足を止めて振り返る。どこか緊張した面持ちのアルペックがゆっくりとこちらに近づいてきた。
「一番の願いごとは自分で叶えてえけん、内緒な?もう一つは、チャコが今年もオレん隣でたっくさん笑ってくれますようにってお願いしたんよ」
「えっ……?」
聞き間違いではないかと自分の耳を疑いながら、いつの間にか隣に立っていたアルペックを見つめる。太陽を閉じ込めたような、バター色の淡い瞳から目が逸らせない。
「チャコはかっこええし優しい、ポチャッコ王国のみんなの憧れやろ?やけん、オレ以外にも一緒に過ごす相手がようけおるんな分かっちょんけんど……そげなチャコが、オレん隣でようけ笑うちくれたら嬉しいっち思うんよ。これはオレんわがままかも知らん。でも、チャコんことたくさん笑顔にするけん、今年も隣じ笑いよってくれたら嬉しいんやけど……ダメ?」
「っ……!別にダメじゃない、けど。……そんなこと言われたら、勘違いしちゃうよ」
熱を帯びていく頬を隠すように、フードを引っ張り深く被る。ほてった顔はフードで隠すことができても、高鳴る鼓動とアルへの気持ちは誤魔化しきれない。
「あーあ、やっぱりアルには敵わないなぁ。アルも、今年も俺の隣でたくさん笑っててね?」
「うん?……もちろん!今年もよろしくな、チャコ!!」
「こちらこそ、今年もよろしくね?」
やっぱり諦めきれないな。なんて思いながら、機嫌良さげなアルペックと並んで再び参道を歩き始める。
おみくじ引きたいと隣ではしゃぐアルペックの横顔を見つめながら、俺の大吉はすぐ隣に居るんだけどね?と一人こっそり浮かれるチャコだった。