新・成り代わりハリー・ポッターと愉快な仲間達
昨今、色んな転生や成り代わりが流行っているけれど読む側は良いよね。うん、楽しい。楽しかった。オタクの公務員おじさんが悪役令嬢に転生したアニメとか、ループ転生ものも楽しかった。そう、楽しかった。
「ハリー!ハッピーハロウィンだぞー!」
「ハリー、さぁ、ここに座って〜……ケーキ持ってくるわね!」
両親が俺を『ハリー』と呼ぶ。間違いじゃない。俺の名前はハリーだ。この人達が両親なのもあってる。前世で悪霊の除霊に失敗して呪い殺されたのだから、間違いないだろう。
けたたましい警戒音が鳴る。父であるジェームズが杖を構えて母であるリリーと俺に2階へ行くように指示を出す。リリーは俺を抱き抱えて2階の子供部屋へ向かう。
「大丈夫、大丈夫だからね。ハリー。お父さんはとっても強いの。だから大丈夫よ」
やめて。ダメだよ、みんなで逃げよう!
声に出したいのに、まだ未発達の肉体では喃語で精一杯泣き叫ぶことしか出来ない。下で爆発音と、父の声が聞こえた。包まれる静寂に俺の鳴き声が響く。あやす様に抱き上げたリリーは何度も俺の頭を撫でて寝かしつけようとする。
解錠される音がして、ゆっくりと扉が開かれる。
全てが、ゆっくりと動いているように見えた。
ああ、また……この夢か。
カーテンの隙間から、僅かな光が差し込んで目を開く。見慣れた天井を暫し眺めた。
「……リー、ハリー!起きなさい、ハリー!」
「……ふぁあ…今起きたよ、ペチュニアおばさん」
「全く…夏季休暇だからって寝すぎだよ!朝ごはん冷めるでしょう!!」
「へーい」
ガシガシと頭をかきながら再度欠伸をする。最悪な夢の後にかなぎり声は勘弁だぜちくしょう。
「ハリー!起きた?!」
「ぐふッ?!」
ガチャッと部屋を出た瞬間にタックルを食らった俺は肺の中の空気が全て出たかのような声を上げた。犯人は従兄弟のダーズリーだ。大変よく育ったふくよかわがままボディでタックルをかましてきたのだからダメージは絶大だった。
「ダドリー…前にも言ったけど、俺にお前の体重は支えられない……死んじゃう…」
「わぁあ?!ごめん、ハリー!なんで同じご飯食べてるのにハリーは細いんだ?」
「食べる量じゃないか?」
だってお前、俺の5倍食うじゃん?そりゃペチュニアおばさんの飯は美味いけど。
他愛ない話をしながら1階に降りればベーコンを焼いている香ばしい匂い。寝起きにこれはキツイけど、ほんといい匂いで腹が減る。
「ほら2人とも、朝ごはんよ。座りなさい」
「はーい!」
「おばさん、俺運ぶの手伝うよ」
「あらハリー、ありがとう」
人数分の朝ごはんを用意しているおばさんの手伝いをしながら、席に着く。父親と今日の予定を楽しげに相談しているダドリーはハッキリ言って本日の主役だ。
「ハリー・ポッター」
「はい、おじさん」
「いいか?心優しいペチュニアとダドリーが言うから、お前も連れていくんだぞ?感謝の気持ちを忘れるな!」
「へーい」
もぐもぐとトーストにかじり付きながら生返事をする。そう、俺は悲しい事に『ハリー・ポッター』へと転生してしまっているのだ。これから毎年殺されそうになるのかと憂鬱な気分にすらなる。いや、一応映画は全部観たけどさ。ガッツリは見てないのよ。幼なじみがガチ沼ってて、その付き添いで行ってただけだし。6年目までは。映画のトム・リドル役の俳優が美形すぎて、俺がハマったのはそこからなのよ。
「ハリー!動物園楽しみだね!」
「行くのは爬虫類博物館だろ?」
「あれ?そうだっけ?」
「ダットちゃん、今日は爬虫類博物館に行くのよ」
原作と違って俺はこの2人から好かれている。なのにガリヒョロなのは最早そういう体質としか言いようがない。メガネもちゃんと買ってもらえている。どうやら、ポッター家の遺伝子は丸メガネしか似合わんらしい。結局、あの丸メガネデザインに落ち着いている。額にある稲妻の傷跡も健在。あとはこの『絶対ストレートになんか屈しない!!』という強い意志を持っているとしか思えない癖毛を落ち着かせる為にセミロング位に伸ばしていること以外は、原作ハリーと見た目は特に変わらない筈だ。あ、お下がりは貰わずにちゃんと服も買ってもらってるから安心してくれ。つまり俺は特に虐待まがいな事は受けてないのだ。
ただ、バーノン・ダーズリーだけは俺が嫌いらしい。なんでだっけ?というレベルで毛嫌いされている。まぁ、良いけどね。
「今日は僕の誕生日だから!ハリーが何をくれるのか楽しみだなぁ!」
「あ〜、それなら夕方に届くと思うぜ?」
「ほんと?!」
「おう!」
ダドリーとの関係も良好である。幸か不幸か、前世の記憶をそのまま持っている俺にとって子供をあやすのは容易いことだった。ペチュニアだって、捻くれて物事を言う癖があるが理解すれば理にかなった対応を俺にはしている。というか、そういう話をした。それは今は割愛するけど。
「よーし!行くかー!」
「おー!」
なんで俺が仕切るのか?それはダドリーが懐いているからである。あと、なるべく穏便にことを済ませたい(笑)
✧• ───── ✾ ───── •✧
「凄かったね、ハリー!あの蛇!まるで会話してるみたいだった!!」
「たまたまじゃね?」
原作通りに蛇の折をつついたりしているのを窘めていたら、蛇が話しかけてきたのでスルーしたのだがダドリーにはそう見えたらしい。バーノンは怪しんで俺を見た為に今はヒソヒソ声で話している。原作通り、バーノンは魔法断固拒否!!の姿勢だし、ペチュニアも拒否している。それは分かる。誰だって不可思議なものには恐怖の念を抱く。それがまともな防衛反応だ。だからこそ、俺は徹底して隠し続けた。前世でも特殊な家系で育った為、その辺の知識が役に立ってしまった。え?前世?あれだよ、所謂霊能家系ってやつ。地元の神事も俺の家がやってたから巫女家系?的なやつだよ。セーラー服美少女戦士の火星の守護戦士の実家みたいなとこをイメージしてくれたら大体あってるよ。つまりは世間受けは宜しくない家業だった訳だから、誤魔化したり秘密にするのは慣れているのだ。
「ねぇ、ハリー?」
「ん?」
「そんな古い機械、何に使うの?」
ふと、俺が今日バザーで見つけた中古ジャンク品から掘り出したとあるものを指さすダドリーに指を立てる。
「フフ、秘密だ」
「ハリー、昔から壊れたラジオとか買っては直すの趣味だったもんね」
「楽しいぞ?機械いじり。あ、そうだ。今日買ってもらったラジコン魔改造してやるよ。だからちょっとラジコン見してみ?」
「ほんと?!わかった!持ってくるね!!!」
ダドリーの気をラジコンに移動させ!俺はそっと『見覚えのあるジャンク品』を机の引き出しにしまう。
(真面目に、そっくりだけど……どうなんだろう)
俺が掘り出したジャンク品。それは、生前使っていた深紅のガラケーだった。年代的に、これがあるのは不自然だ。というか、見つからずに売れなかったのもおかしい。
(電源、着いてくれればいいけど…)
ガラケーを隠したのと、ダドリーがラジコンを持ってきたのと、『俺特製!等身大ダドリー坊やの彫刻(紙粘土)』が届いたのはほぼ同時だった。
その後の俺は、ペチュニアから泣いて感謝されてやれ天才だの大作だの言われた。暫く庭に飾るらしい。さすがのバーノンも俺を褒めちぎっている。ダドリーも「かっこよくしてくれありがとう!」も嬉しそうだった。
ギャグのつもりで作ったなんて、とても言えない雰囲気だった。今度から油絵程度に留めよう。そう心に誓いながらワイワイと夕飯を楽しみ、シャワーを浴びて自室──ダドリーの隣の小さい寝室へと戻った。階段下の物置?まともな生活をさせてもらえている俺は部屋を貰えているので安心してくれ。魔法は隠してるから3人の前では使ってないからな。
「……よし」
意を決して、ガラケーへと手を伸ばす。電源ボタンを長押しする。起動した!
「おお!」
なんかすげー感動。電源が着いた。しばらくして、待ち受け画面が表示される。俺はヒュッと息を飲んだ。生前の、俺と幼なじみ2人がピースしてビールジョッキを持っていた。懐かしいし辛い。待ち受けの時刻は横線4本で、日付も映っていない。電話帳は、何も無かった。データなしだ。写真のデータは何故か全て残っている。猫。猫猫猫猫。あとは日本の風景や自然、神社仏閣。たまに従兄弟と幼なじみ。
「……さすがに、人に興味無さすぎだろ」
苦笑いしながらファイルを確認していく。メールも空になっていた。本人データのところを見れば、メアドがふたつ残っている。1つはこのガラケーのメアド。もう1つは仕事用のメアドだった。
「確定だな。これは前世で使ってたガラケーだ。でもなんであんな所に……うぉ?!」
無くなっているデータもあるが、これは確実に俺のものだ。とりあえず日本語の懐かしさに心を暖かくしていたら
メールが届いた。
「……これ、兄さん?」
見覚えのある、わかりやすいメアド。件名もきちんと記入して、本文は簡潔に短い。
【件名:必読】
【本文:これを読んだら返信しろ】
計ったようなタイミング。懐かしいメアド。
「……っ」
この画面の向こうに、いるの?兄さん。俺、独りじゃないの?
「…いつから、居たのかな」
俺のように生まれた時から認識してたのか、それとも『兄さん』として存在しているのか、はたまたなりすましか?
縋りたい気持ちを抑えて、俺はその日、眠ることを選ぶのだった。
「ハリー!ハッピーハロウィンだぞー!」
「ハリー、さぁ、ここに座って〜……ケーキ持ってくるわね!」
両親が俺を『ハリー』と呼ぶ。間違いじゃない。俺の名前はハリーだ。この人達が両親なのもあってる。前世で悪霊の除霊に失敗して呪い殺されたのだから、間違いないだろう。
けたたましい警戒音が鳴る。父であるジェームズが杖を構えて母であるリリーと俺に2階へ行くように指示を出す。リリーは俺を抱き抱えて2階の子供部屋へ向かう。
「大丈夫、大丈夫だからね。ハリー。お父さんはとっても強いの。だから大丈夫よ」
やめて。ダメだよ、みんなで逃げよう!
声に出したいのに、まだ未発達の肉体では喃語で精一杯泣き叫ぶことしか出来ない。下で爆発音と、父の声が聞こえた。包まれる静寂に俺の鳴き声が響く。あやす様に抱き上げたリリーは何度も俺の頭を撫でて寝かしつけようとする。
解錠される音がして、ゆっくりと扉が開かれる。
全てが、ゆっくりと動いているように見えた。
ああ、また……この夢か。
カーテンの隙間から、僅かな光が差し込んで目を開く。見慣れた天井を暫し眺めた。
「……リー、ハリー!起きなさい、ハリー!」
「……ふぁあ…今起きたよ、ペチュニアおばさん」
「全く…夏季休暇だからって寝すぎだよ!朝ごはん冷めるでしょう!!」
「へーい」
ガシガシと頭をかきながら再度欠伸をする。最悪な夢の後にかなぎり声は勘弁だぜちくしょう。
「ハリー!起きた?!」
「ぐふッ?!」
ガチャッと部屋を出た瞬間にタックルを食らった俺は肺の中の空気が全て出たかのような声を上げた。犯人は従兄弟のダーズリーだ。大変よく育ったふくよかわがままボディでタックルをかましてきたのだからダメージは絶大だった。
「ダドリー…前にも言ったけど、俺にお前の体重は支えられない……死んじゃう…」
「わぁあ?!ごめん、ハリー!なんで同じご飯食べてるのにハリーは細いんだ?」
「食べる量じゃないか?」
だってお前、俺の5倍食うじゃん?そりゃペチュニアおばさんの飯は美味いけど。
他愛ない話をしながら1階に降りればベーコンを焼いている香ばしい匂い。寝起きにこれはキツイけど、ほんといい匂いで腹が減る。
「ほら2人とも、朝ごはんよ。座りなさい」
「はーい!」
「おばさん、俺運ぶの手伝うよ」
「あらハリー、ありがとう」
人数分の朝ごはんを用意しているおばさんの手伝いをしながら、席に着く。父親と今日の予定を楽しげに相談しているダドリーはハッキリ言って本日の主役だ。
「ハリー・ポッター」
「はい、おじさん」
「いいか?心優しいペチュニアとダドリーが言うから、お前も連れていくんだぞ?感謝の気持ちを忘れるな!」
「へーい」
もぐもぐとトーストにかじり付きながら生返事をする。そう、俺は悲しい事に『ハリー・ポッター』へと転生してしまっているのだ。これから毎年殺されそうになるのかと憂鬱な気分にすらなる。いや、一応映画は全部観たけどさ。ガッツリは見てないのよ。幼なじみがガチ沼ってて、その付き添いで行ってただけだし。6年目までは。映画のトム・リドル役の俳優が美形すぎて、俺がハマったのはそこからなのよ。
「ハリー!動物園楽しみだね!」
「行くのは爬虫類博物館だろ?」
「あれ?そうだっけ?」
「ダットちゃん、今日は爬虫類博物館に行くのよ」
原作と違って俺はこの2人から好かれている。なのにガリヒョロなのは最早そういう体質としか言いようがない。メガネもちゃんと買ってもらえている。どうやら、ポッター家の遺伝子は丸メガネしか似合わんらしい。結局、あの丸メガネデザインに落ち着いている。額にある稲妻の傷跡も健在。あとはこの『絶対ストレートになんか屈しない!!』という強い意志を持っているとしか思えない癖毛を落ち着かせる為にセミロング位に伸ばしていること以外は、原作ハリーと見た目は特に変わらない筈だ。あ、お下がりは貰わずにちゃんと服も買ってもらってるから安心してくれ。つまり俺は特に虐待まがいな事は受けてないのだ。
ただ、バーノン・ダーズリーだけは俺が嫌いらしい。なんでだっけ?というレベルで毛嫌いされている。まぁ、良いけどね。
「今日は僕の誕生日だから!ハリーが何をくれるのか楽しみだなぁ!」
「あ〜、それなら夕方に届くと思うぜ?」
「ほんと?!」
「おう!」
ダドリーとの関係も良好である。幸か不幸か、前世の記憶をそのまま持っている俺にとって子供をあやすのは容易いことだった。ペチュニアだって、捻くれて物事を言う癖があるが理解すれば理にかなった対応を俺にはしている。というか、そういう話をした。それは今は割愛するけど。
「よーし!行くかー!」
「おー!」
なんで俺が仕切るのか?それはダドリーが懐いているからである。あと、なるべく穏便にことを済ませたい(笑)
✧• ───── ✾ ───── •✧
「凄かったね、ハリー!あの蛇!まるで会話してるみたいだった!!」
「たまたまじゃね?」
原作通りに蛇の折をつついたりしているのを窘めていたら、蛇が話しかけてきたのでスルーしたのだがダドリーにはそう見えたらしい。バーノンは怪しんで俺を見た為に今はヒソヒソ声で話している。原作通り、バーノンは魔法断固拒否!!の姿勢だし、ペチュニアも拒否している。それは分かる。誰だって不可思議なものには恐怖の念を抱く。それがまともな防衛反応だ。だからこそ、俺は徹底して隠し続けた。前世でも特殊な家系で育った為、その辺の知識が役に立ってしまった。え?前世?あれだよ、所謂霊能家系ってやつ。地元の神事も俺の家がやってたから巫女家系?的なやつだよ。セーラー服美少女戦士の火星の守護戦士の実家みたいなとこをイメージしてくれたら大体あってるよ。つまりは世間受けは宜しくない家業だった訳だから、誤魔化したり秘密にするのは慣れているのだ。
「ねぇ、ハリー?」
「ん?」
「そんな古い機械、何に使うの?」
ふと、俺が今日バザーで見つけた中古ジャンク品から掘り出したとあるものを指さすダドリーに指を立てる。
「フフ、秘密だ」
「ハリー、昔から壊れたラジオとか買っては直すの趣味だったもんね」
「楽しいぞ?機械いじり。あ、そうだ。今日買ってもらったラジコン魔改造してやるよ。だからちょっとラジコン見してみ?」
「ほんと?!わかった!持ってくるね!!!」
ダドリーの気をラジコンに移動させ!俺はそっと『見覚えのあるジャンク品』を机の引き出しにしまう。
(真面目に、そっくりだけど……どうなんだろう)
俺が掘り出したジャンク品。それは、生前使っていた深紅のガラケーだった。年代的に、これがあるのは不自然だ。というか、見つからずに売れなかったのもおかしい。
(電源、着いてくれればいいけど…)
ガラケーを隠したのと、ダドリーがラジコンを持ってきたのと、『俺特製!等身大ダドリー坊やの彫刻(紙粘土)』が届いたのはほぼ同時だった。
その後の俺は、ペチュニアから泣いて感謝されてやれ天才だの大作だの言われた。暫く庭に飾るらしい。さすがのバーノンも俺を褒めちぎっている。ダドリーも「かっこよくしてくれありがとう!」も嬉しそうだった。
ギャグのつもりで作ったなんて、とても言えない雰囲気だった。今度から油絵程度に留めよう。そう心に誓いながらワイワイと夕飯を楽しみ、シャワーを浴びて自室──ダドリーの隣の小さい寝室へと戻った。階段下の物置?まともな生活をさせてもらえている俺は部屋を貰えているので安心してくれ。魔法は隠してるから3人の前では使ってないからな。
「……よし」
意を決して、ガラケーへと手を伸ばす。電源ボタンを長押しする。起動した!
「おお!」
なんかすげー感動。電源が着いた。しばらくして、待ち受け画面が表示される。俺はヒュッと息を飲んだ。生前の、俺と幼なじみ2人がピースしてビールジョッキを持っていた。懐かしいし辛い。待ち受けの時刻は横線4本で、日付も映っていない。電話帳は、何も無かった。データなしだ。写真のデータは何故か全て残っている。猫。猫猫猫猫。あとは日本の風景や自然、神社仏閣。たまに従兄弟と幼なじみ。
「……さすがに、人に興味無さすぎだろ」
苦笑いしながらファイルを確認していく。メールも空になっていた。本人データのところを見れば、メアドがふたつ残っている。1つはこのガラケーのメアド。もう1つは仕事用のメアドだった。
「確定だな。これは前世で使ってたガラケーだ。でもなんであんな所に……うぉ?!」
無くなっているデータもあるが、これは確実に俺のものだ。とりあえず日本語の懐かしさに心を暖かくしていたら
メールが届いた。
「……これ、兄さん?」
見覚えのある、わかりやすいメアド。件名もきちんと記入して、本文は簡潔に短い。
【件名:必読】
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計ったようなタイミング。懐かしいメアド。
「……っ」
この画面の向こうに、いるの?兄さん。俺、独りじゃないの?
「…いつから、居たのかな」
俺のように生まれた時から認識してたのか、それとも『兄さん』として存在しているのか、はたまたなりすましか?
縋りたい気持ちを抑えて、俺はその日、眠ることを選ぶのだった。
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