あなたと過ごす日々
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色々と柳さんの入学手続きなどを終わらせ明日はついに始業式だ。
漫画での柳さんと同い年……中学三年生。
仲のいい子達と同じクラスになれるだろうか。……というか、柳さんと同じクラスがいい。うん。絶対。ここまで来たらなるしかない。
そう思いながら朝食のパンを口に突っ込みもぞもぞと部活着に着替えた。
引越し準備で部活に行けてなかったが、柳さんが来て数日後にはちょこちょこ部活に行くようにしていた。
今日は久々に一日しっかり部活に参加出来る日なので遅れないようにしないと。
テニスラケットを肩から下げて靴を履き替えると後ろから柳さんの声が聞こえた。
「おはよう。今日も午前練か? 」
「あ、おはようございます。今日は十八時までなので、夕飯は母さんと食べといてください。多分今日母さん早く帰ってくると思うので。」
「分かった。行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
バタン、と玄関の扉を閉じたあとズルズルとその場にへたり込む。
いや、いやさ!!!!!何回経験しても慣れないよ行ってらっしゃいの挨拶!!!無理同居の事実をグリグリ抉ってくるまって無理好き……
溢れ出す感情をおさえこみ胸に手を置いて天を仰ぎながらアーメン……と呟き小走りで部活へと向かった。
***
カコーン、カコーンとボールを打つ音が響く。
私の中学は硬式ではなく軟式なのでもちろん漫画の世界のようにバコーン、バコーン、バコォオォォォオンみたいなのはならない。しかも女テニだ。せいぜいパコーンっ!くらいだ。
準備運動的基本練習を一通り終わらせ首にかけていた電子ホイッスルを押す。
部員全員が私の元に集合し指示を待つ。
「今日は一日練だから、ボレーボレーとクロスラリーやったあとお昼休憩、お腹痛くなるから午後はもう一回柔軟したあとコート整備して全員シングルスで練習試合ね。これで次の大会の出場者決めるよ。」
「はいっ! 」
そしてまた各々ボレーボレーの位置につく。
ソフトテニスは基本ダブルスしかないが試合の流れを見て誰と組ませるかを考える。
そして次の大会はそこまで大きなものでは無いが、シングルスの──要するに個人戦があるのでそっちの出場者も二人決めておきたい。
部長だが私が出るという訳では無い。試合で勝った二人が出るのだ。そこらへんはしっかりしている。
とりあえず私も練習しないとな、と思いボレーボレーの練習に加わった。
***
なんとか練習試合で部内一位を保てた。個人戦に出るのは案の定と言ったところか、私と副部長で幼馴染の雪野真依。
私たちは私が漫画にどハマりした頃──小五くらいのテニススクール時代からずっとダブルスペアとしてテニスをし続けている。
今回も二人でダブルスを組むことになった。お互いの癖や短所を知り尽くしている。今年こそは大会に名を残すぞ、と真依と拳を握りあった。
今まで何度も惜しいところで敗退してきた。良くてベストエイトだ。最後の試合では、県大会出場をしたい。
……柳さんに、いい所を見せたい。というか、柳さんに恥ずかしい姿は見せられない。
頑張らないと、と気合いを入れ直し午後の練習を続けた。
・
「明日はついに生柳かぁ〜」
部活帰り、真依がそう呟いた。
真依にだけ、柳さんが逆トリしてきたことを伝えた。めっちゃびっくりしてたけど、いやマジやから信じてよと隠し撮りを見せたらコロッと信じたし、「いやこれ柳じゃなくても実質柳だから柳だよね!」と訳の分からないことを言っていた。
明日は、私の命日になるかもしれない日だ。気合いを入れよう。
「……柳さんの学ラン姿とかヤバすぎる……二次創作で死ぬのに生で見れるとか死にすぎる……無理助けて」
「強く生きよう……大丈夫私も死ぬから……」
限界オタクかよ、と心の中で突っ込んだ。いやでも、絶対死ぬ。
柳さんかっこいいからモテるだろうなぁとぼんやり考える。あ、やば、嫌われ夢小説みたいになんであんたなんかが柳くんと一緒なのよ!!とか言われたらどうしよう。圧倒的死〜〜とか思っていると真依とわかれる道まで来た。
「柳がゆっきーの写真持ってたら私に送ってって言っといてね! よろしく! じゃあまた明日!」
「りょーかい、また明日」
……ほんと、真依が幸村さん推しで良かった。これで真依も柳さん推しだったら色々死んでた。もうだめ、死ぬしか言ってない。
つかれたなーととぼとぼ歩いていると家に着く。がちゃりと開けてただいまと言うと夕飯の匂いがした。
「おかえり。夕食出来てるぞ」
柳さんがリビングから玄関の方へきた。あ……顔良すぎ無理……。
息が止まりそうになるのを必死に耐え手を洗ってから行きます、と伝える。
今日の肉じゃがの味はほとんど分からなかった。明日が楽しみすぎてぼんやりとご飯を口に運ぶ。
お風呂に入り準備を済ませ、いつもより早く布団に入ったがなかなか眠れない。
何度も寝返りを打っているうちに自然と瞼が重くなり、気付けば眠りについていた。
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