出会いは突然に
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冷たい雨がざぁざぁと降りしきる路地裏の公園。
夜のネオンが滲むブランコに、ひとりぽつんと座る少女。
濡れた白いワンピースが肌に張り付き、震える細い腕は痩せて見えた。
神室町ではよくある光景だと、人は思うだろう。真島もその一人のつもりだった――出会うまでは。
真島は、煙草をくわえながら足を止めた。
「……ガキが、こんな時間に……なんや、ありふれた話やな」
神室町じゃ珍しくもない。行き場をなくした女やガキが夜に漂うのは、腐るほど見てきた。
そう思って通り過ぎるつもりだった。
だが、すれ違いざま――少女がこちらを見上げた。
大きな瞳は泣きも怒りもしていない。
ただ、静かに、無言のまま。
感情がない虚ろな瞳。
真島の足が、不意に止まった。
「……おい嬢ちゃん、風邪ひくで。家帰りぃ」
軽く声をかけると、少し驚いたようだが少女は首を振ることも、返事をすることもなかった。
ただ、濡れた睫毛を伏せて、ブランコの鎖をぎゅっと握る。
「……声、出ぇへんのか?」
真島がそう呟いたとき、少女の肩がびくりと震えた。
問いかけに、少女は小さく頷いた。
そして、濡れた指先で地面に拙いひらがなをなぞる。
『はなせない。かえるばしょない。』
「そうか。」
真島は短く答え、気の毒だと胸の奥で思った。
懐から幾らかの札を取り出し、少女の前に差し出す。
「これでどっか暖かいとこ行き?」
それだけ言うと、背を向けて雨の路地を戻っていった。
――それが、昨夜のことだった。
今日になっても、何故かその少女のことが気がかりで仕方なかった。よくあることとは思っていたが結局、真島はまたあの路地裏の公園へと足を運んだ。
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