裏切り者
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真島が帰ってきたあと、二人で食卓を囲む。
「……うまっ!やっぱお前のシチューは最高やな」
満足そうに頬張る真島の姿に、自然と笑みを浮かべていた。
(さっきの電話のこと……)
ふと、あやかの中に小さな引っかかりが残っていた。
――「シチュー冷めんうちに食わせたってくれや。」
仁の電話の最後のひとこと。
(なんで……?)
思い返せば、自分が今日シチューを作るなんて誰にも話していない。
真島にはメッセージすら送ってないし、南や西田にすら言ってなかったはず。
(まさか……偶然?いや、でも……)
気にしすぎだと自分に言い聞かせるように笑ってみるけど、モヤモヤは胸の奥に残ったままだった。
― 翌日 ―
洗濯をしようと自分の脱いだジャケットを手にしたとき、不意に裏地に違和感を感じた。
「……なにこれ?」
縫い目の隙間に、指先に触れる小さな異物。
糸を軽く切って取り出すと、親指の先ほどの黒い物体。
目を凝らして見れば、それは――明らかに小型の盗聴器だった。
「……う、そ……」
背筋に冷たいものが走る。
(誰が……いつ……)
思い当たるのは、先日ぶつかって荷物を拾い合ったあの時。
――「新人アイドル、龍崎 新」
あの、仁の弟。
「まさか……ね。」
表情から笑顔が消える。
手の中の盗聴器を睨みつけるように見つめながら、小さく呟いた。
「……やっぱり“ただの弟”じゃないってことね。」
背後で電子レンジの「チン」という音が響いたが、意識は、すでに“龍崎兄弟”の真意へと向いていた。
盗聴器を見つけたあやかは、一瞬だけ指を止めた。
(間違いない……これは“現場で拾った音”をそのまま飛ばせるタイプ。犯人は素人じゃない)
心臓の鼓動が少し速くなっていた。けれど、顔には出さない。
(まだ慌てる段階じゃない)
そして、見つけた盗聴器を――あえて、元の位置に戻した。
「……ふぅ、洗濯しなきゃ」
独り言のようにそう呟いて、まるで何事もなかったようにそのまま日常を装う。
でも心は、もう“戦い”のスイッチが入っていた。
(どこに電波を飛ばしてる?何の目的?)
新がやったと確証があるわけじゃない。
もしかしたら、仁。あるいは別の誰かが彼を利用してる可能性もある。
(なら、逆に利用させてもらう……)
自室のクローゼットの奥にある、小さな箱。
あやえはそれを開けた。中には、以前使っていた私物の小型機器がいくつか。
その中から、音声妨害をピンポイントで行える小型ブロッカーを取り出す。
「久しぶりに出番が来たね~!」
笑いながら、ジャケットのポケットにそれをしのばせる。
(会話の中にわざと“餌”を混ぜて、相手の動きを見よう……)
そして、真島にも黙っていることを決めた。
(今回は巻き込みたくない。これは、私の戦い)
「……うまっ!やっぱお前のシチューは最高やな」
満足そうに頬張る真島の姿に、自然と笑みを浮かべていた。
(さっきの電話のこと……)
ふと、あやかの中に小さな引っかかりが残っていた。
――「シチュー冷めんうちに食わせたってくれや。」
仁の電話の最後のひとこと。
(なんで……?)
思い返せば、自分が今日シチューを作るなんて誰にも話していない。
真島にはメッセージすら送ってないし、南や西田にすら言ってなかったはず。
(まさか……偶然?いや、でも……)
気にしすぎだと自分に言い聞かせるように笑ってみるけど、モヤモヤは胸の奥に残ったままだった。
― 翌日 ―
洗濯をしようと自分の脱いだジャケットを手にしたとき、不意に裏地に違和感を感じた。
「……なにこれ?」
縫い目の隙間に、指先に触れる小さな異物。
糸を軽く切って取り出すと、親指の先ほどの黒い物体。
目を凝らして見れば、それは――明らかに小型の盗聴器だった。
「……う、そ……」
背筋に冷たいものが走る。
(誰が……いつ……)
思い当たるのは、先日ぶつかって荷物を拾い合ったあの時。
――「新人アイドル、龍崎 新」
あの、仁の弟。
「まさか……ね。」
表情から笑顔が消える。
手の中の盗聴器を睨みつけるように見つめながら、小さく呟いた。
「……やっぱり“ただの弟”じゃないってことね。」
背後で電子レンジの「チン」という音が響いたが、意識は、すでに“龍崎兄弟”の真意へと向いていた。
盗聴器を見つけたあやかは、一瞬だけ指を止めた。
(間違いない……これは“現場で拾った音”をそのまま飛ばせるタイプ。犯人は素人じゃない)
心臓の鼓動が少し速くなっていた。けれど、顔には出さない。
(まだ慌てる段階じゃない)
そして、見つけた盗聴器を――あえて、元の位置に戻した。
「……ふぅ、洗濯しなきゃ」
独り言のようにそう呟いて、まるで何事もなかったようにそのまま日常を装う。
でも心は、もう“戦い”のスイッチが入っていた。
(どこに電波を飛ばしてる?何の目的?)
新がやったと確証があるわけじゃない。
もしかしたら、仁。あるいは別の誰かが彼を利用してる可能性もある。
(なら、逆に利用させてもらう……)
自室のクローゼットの奥にある、小さな箱。
あやえはそれを開けた。中には、以前使っていた私物の小型機器がいくつか。
その中から、音声妨害をピンポイントで行える小型ブロッカーを取り出す。
「久しぶりに出番が来たね~!」
笑いながら、ジャケットのポケットにそれをしのばせる。
(会話の中にわざと“餌”を混ぜて、相手の動きを見よう……)
そして、真島にも黙っていることを決めた。
(今回は巻き込みたくない。これは、私の戦い)