裏切り者
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100億という莫大な金が姿を消した――
東城会はその損失を「内部からの裏切り」と重く受け止めていた。
東京、東城会本部の会議室――
東城会六代目会長・堂島大吾は緊迫した空気の中、若頭補佐たちを呼び出す。
「…このままじゃ組織は瓦解しかねねぇ。100億の行方を絶対に突き止めろ」
そう大吾が声を上げる。
その場に集められたのは、 若頭補佐の5人の幹部。真島吾朗、峰義孝、冴島大河、龍崎仁、錦山彰だった。
「真島さんと冴島さんは関西ルート、峰と錦山は東京での資金の流れを洗ってくれ。
龍崎、お前は韓国とのルートを重点的に見ろ。裏で誰かと繋がってる可能性がある。」
「了解です。…必ず尻尾を掴んでみせますよ」
龍崎が静かに頷くその姿はまさに極道そのものだった。
ー夜、自宅マンションー
最近、100億事件によって帰れない日も多くなりあやかと顔を合わせる時間も減っていた真島。
珍しく早く帰ってきた夜、真島は険しい表情のまま、あやかをそばに座らせて言った。
「あやかちょっとええか?…最近、東城会の中でも“誰が裏切り者か”でギスギスしとる。
身内の組同士でも、ちょっとしたことでカチコチ沙汰や」
「そんな…それじゃ、真島さんも危ないんじゃ…」
「せやから言うとく。あやか、しばらく夜の外出は基本禁止や。
特に9時過ぎたら絶対出るな。どこ行くにも真島組のもん連れてけ。ええな?」
「……うん。でも、真島さんこそ無茶しないでね」
「ワシが傍に居れない時もあるからのぅ。」
真島は腕を組みながら、少しだけ睨むようにあやかを見る。
「まぁな、あやかは弱い女やない。そこはわかっとる。けどな……お前、強いくせに何でも1人でどうにかしようとするクセあるやろ」
「……それは、真島さんにこれ以上迷惑かけたくないだけで」
「それがもうアカン言うてんねん。ワシに黙って動いて、危ない目にでも遭ったら……ワシの心がズタボロになるっちゅうねん」
言いながら、真島は手を伸ばし、あやかの頭をそっと撫でる。
「なんかあった時は頼れるもんは頼れ。ワシはそのためにおるんやから。守らせろや、ワシの嫁なんやから」