手放した想い
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ナビゲーション機能付きなのか喋り出す機械
「これから“あやかさんの記憶”にアクセスします。ここでは、彼女の過去を“観る”ことしかできません。干渉も、声をかけることもできない……360度、記憶の中の“映画”に入るような感覚になります」
「……構へん。それで充分や」
真島が頷くと、ふわりと景色が揺れた。
次に目を開けた時、彼は遠い過去の江戸——いや、まだ血のにおいが消えていない、攘夷戦争のまっただ中に立っていた。
戦火の向こう、真島の目に映ったのは、まだあどけなさを残した少女——少女のあやかだった。
その小さな体に背負うのは、年相応ではない重い剣。そして、その隣には、銀髪の青年と、鋭い目をした黒髪の少年。
「晋兄……銀兄……」
真島は呟く。彼らの視線は彼を通り抜けるようにすり抜け、まるで本当にスクリーンの中にいるようだった。
———
あやかの深い記憶に映像が移った
戦が一段落した夜の野営地。焚き火の前、あやかは小さな酒瓶を持った晋助と並んで座っていた。
「……あーっ、やだなあ晋兄。また、先に飲んでる〜。私はこれ! オロミンC!」
「フッ…お前は……まだまだガキだなぁ」
「ガキじゃないもんっ!」
からかうように笑いあう2人。だが、次の瞬間——
「…ほう、ガキじゃねーんだな?…なら、これでもか?」
不意に、晋助があやかの頬を手で包み、唇を重ねた。
——真島の心臓がドクンと跳ねる。
驚いたように目を見開き、すぐに顔を真っ赤にして俯いた。
「……な、なにすんの晋兄っ……!」
「何って、キスしただけだろ?ガキじゃねーんだろ?」
晋助は焚き火の火のような目で、まっすぐあやかを見ていた。
「そりゃそう言ったけど…そそそ、そのキスとかって好きな人にしかし無いんじゃないの?」
「ホント、だからガキだなって言ってんだよ。そうゆう鈍感な所もお前らしいな…。お前を拾って10年近くか。…ずっと俺らとそばにいて、戦って、泣いて、笑って…同じ飯食って…気づいたらお前のことばっか考えてしょうがねぇんだ。恐らく銀時も同じ事を思ってる筈だ。」
あやかは、唇を噛んでいた。何も言えずに、ただ下を向いていた。
「……なのにお前と来たら、いつまで気づかねぇつもりだ、こら。
1回しか言わねぇからな。俺はおめぇのことが好きだ…。」
焚き火の音だけが、静かに響く。
——その夜から、2人は恋人になった。
———
傍らでそれを見つめる真島の胸が、言葉にならない痛みで締め付けられた。
「……あいつ……あんな顔するんやな……」
14歳の少女の初恋。過去と言えども今の真島が嫉妬するには充分
兄として慕っていた男との、初めての恋。
それがあんなにもまぶしくて、まっすぐで、けれどどこか……切なすぎた。
アナウンスが響く。
「——この日が、すべての始まりでした。そして、彼女の“消したい記憶”の入り口でもあります」
真島の目が、ぐっと細められた。
「……始まりってことは……終わりも、あるっちゅうことやな」
「これから“あやかさんの記憶”にアクセスします。ここでは、彼女の過去を“観る”ことしかできません。干渉も、声をかけることもできない……360度、記憶の中の“映画”に入るような感覚になります」
「……構へん。それで充分や」
真島が頷くと、ふわりと景色が揺れた。
次に目を開けた時、彼は遠い過去の江戸——いや、まだ血のにおいが消えていない、攘夷戦争のまっただ中に立っていた。
戦火の向こう、真島の目に映ったのは、まだあどけなさを残した少女——少女のあやかだった。
その小さな体に背負うのは、年相応ではない重い剣。そして、その隣には、銀髪の青年と、鋭い目をした黒髪の少年。
「晋兄……銀兄……」
真島は呟く。彼らの視線は彼を通り抜けるようにすり抜け、まるで本当にスクリーンの中にいるようだった。
———
あやかの深い記憶に映像が移った
戦が一段落した夜の野営地。焚き火の前、あやかは小さな酒瓶を持った晋助と並んで座っていた。
「……あーっ、やだなあ晋兄。また、先に飲んでる〜。私はこれ! オロミンC!」
「フッ…お前は……まだまだガキだなぁ」
「ガキじゃないもんっ!」
からかうように笑いあう2人。だが、次の瞬間——
「…ほう、ガキじゃねーんだな?…なら、これでもか?」
不意に、晋助があやかの頬を手で包み、唇を重ねた。
——真島の心臓がドクンと跳ねる。
驚いたように目を見開き、すぐに顔を真っ赤にして俯いた。
「……な、なにすんの晋兄っ……!」
「何って、キスしただけだろ?ガキじゃねーんだろ?」
晋助は焚き火の火のような目で、まっすぐあやかを見ていた。
「そりゃそう言ったけど…そそそ、そのキスとかって好きな人にしかし無いんじゃないの?」
「ホント、だからガキだなって言ってんだよ。そうゆう鈍感な所もお前らしいな…。お前を拾って10年近くか。…ずっと俺らとそばにいて、戦って、泣いて、笑って…同じ飯食って…気づいたらお前のことばっか考えてしょうがねぇんだ。恐らく銀時も同じ事を思ってる筈だ。」
あやかは、唇を噛んでいた。何も言えずに、ただ下を向いていた。
「……なのにお前と来たら、いつまで気づかねぇつもりだ、こら。
1回しか言わねぇからな。俺はおめぇのことが好きだ…。」
焚き火の音だけが、静かに響く。
——その夜から、2人は恋人になった。
———
傍らでそれを見つめる真島の胸が、言葉にならない痛みで締め付けられた。
「……あいつ……あんな顔するんやな……」
14歳の少女の初恋。過去と言えども今の真島が嫉妬するには充分
兄として慕っていた男との、初めての恋。
それがあんなにもまぶしくて、まっすぐで、けれどどこか……切なすぎた。
アナウンスが響く。
「——この日が、すべての始まりでした。そして、彼女の“消したい記憶”の入り口でもあります」
真島の目が、ぐっと細められた。
「……始まりってことは……終わりも、あるっちゅうことやな」