紅と白
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【神室町ヒルズ・真島組事務所】
昼下がりの神室町。
静かながらも重厚な空気が漂う真島組の事務所に、真島とあやかが並んで戻ってくる。
「さっき、なんか感じたんか?」
「うん。さっきの通りでも、なんか“気配”を感じた。……でも姿はなかった」
「敵意かどうかもわからんちゅう奴やな…」
あやかが眉を寄せる中、事務所の玄関を開けたその時──
「親父!それに、姐さんおかえりなさい!」
事務所内から顔を出したのは、真島組の腹心・西田だった。
「何かあったんか?」
真島が怪訝な顔で尋ねると、西田は少し緊張した面持ちで封筒を差し出した。
「これが……ポストに入ってたんです。差出人が不明でして。けど、誰かがわざわざ投函したっていうより……“置いていった”って感じです」
真島が受け取ると、封筒は少し重みがあり、厚手の紙に筆文字でこう書かれていた。
『真島吾朗 様 そして 奈落三羽の轆轤へ』
「……俺宛てと、あやかに?」
その場に空気が張り詰める。
あやかは、真島の隣からそっと身を乗り出して封を見つめた。
どこか懐かしくも、冷たい何かが背筋を這い上がるような感覚。
「この字体……もしかして──」
あやかの瞳が細められたその時、胸の奥に眠っていた“あの名前”が、脳裏を過った。
──信女(のぶめ)。
そして、彼女のかつての名──骸。
「これは……果たし状かもしれない」
真島と…あやかは、封筒を開く覚悟を決めた。
静まり返った空間の中、あやかは封を開き、折りたたまれた一枚の紙をそっと広げた。
墨で書かれた筆文字は、ただ一首の歌。
かごめ かごめ
籠の中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
後ろの正面だあれ
それだけ。
差出人の名は、どこにも書かれていなかった。
けれど──その歌に込められた意図に、あやかの背筋がぴんと張る。
「……これは、骸からだ」
真島が眉をひそめる。
「骸? 誰なんや?前にもおまえ言うてた知り合いか…警察の女やったか?」
「うん。でも、ただの警察じゃない。……あの子は私と同じ天導衆に仕えている。“奈落三羽”の一人。あたしの“元・弟子”であり、今は天導衆の刺客──あたしを殺すために来た」
あやかは紙をじっと見つめ、静かに口を開いた。
「かごめ……囲め。籠の中の鳥は、私のこと。
“いついつ出やる”──これは、決戦の日時。
“夜明けの晩”……つまり、午前4時。一番静かで、一番気配が死ぬ時間。
“鶴と亀が滑った”──これは“死”を意味する。あたしが、ここで命を落とすことも含んでる。
“後ろの正面だあれ?”……最後に立ってるのは、誰かってこと」
あやかの声には、迷いがなかった。
その瞳に宿るのは、覚悟と、かつて教え子だった少女への複雑な想い。
真島は黙っていたが、次第に手を拳にして強く握った。
「なんでいつもあやかやねん。絶対許さんで。」
「……私はこの決戦受けるよ。これは、骸が“自分で選んだ道”だ。なら、あたしもそれに答えなきゃ。」
あやかはゆっくりと手紙を畳み、ポケットにしまった。
「逃げることはしない。あたしが生きてる限り、彼女が壊れるのを止めたい。それが“先に教えた者”の責任でもあるから」
真島は立ち上がり、煙草をくわえる。
「……ほな、俺はあやかの背中守るだけや。俺は迷わへん。戦う相手が誰であろうとな」
煙草に火を点け、煙を吐きながら、ニッと笑う。
「ただ……絶対に、死なんとけよ」
あやかは微笑んで頷いた。
「うん。約束」
そして、決戦の“刻”は──刻一刻と近づいていた。
昼下がりの神室町。
静かながらも重厚な空気が漂う真島組の事務所に、真島とあやかが並んで戻ってくる。
「さっき、なんか感じたんか?」
「うん。さっきの通りでも、なんか“気配”を感じた。……でも姿はなかった」
「敵意かどうかもわからんちゅう奴やな…」
あやかが眉を寄せる中、事務所の玄関を開けたその時──
「親父!それに、姐さんおかえりなさい!」
事務所内から顔を出したのは、真島組の腹心・西田だった。
「何かあったんか?」
真島が怪訝な顔で尋ねると、西田は少し緊張した面持ちで封筒を差し出した。
「これが……ポストに入ってたんです。差出人が不明でして。けど、誰かがわざわざ投函したっていうより……“置いていった”って感じです」
真島が受け取ると、封筒は少し重みがあり、厚手の紙に筆文字でこう書かれていた。
『真島吾朗 様 そして 奈落三羽の轆轤へ』
「……俺宛てと、あやかに?」
その場に空気が張り詰める。
あやかは、真島の隣からそっと身を乗り出して封を見つめた。
どこか懐かしくも、冷たい何かが背筋を這い上がるような感覚。
「この字体……もしかして──」
あやかの瞳が細められたその時、胸の奥に眠っていた“あの名前”が、脳裏を過った。
──信女(のぶめ)。
そして、彼女のかつての名──骸。
「これは……果たし状かもしれない」
真島と…あやかは、封筒を開く覚悟を決めた。
静まり返った空間の中、あやかは封を開き、折りたたまれた一枚の紙をそっと広げた。
墨で書かれた筆文字は、ただ一首の歌。
かごめ かごめ
籠の中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
後ろの正面だあれ
それだけ。
差出人の名は、どこにも書かれていなかった。
けれど──その歌に込められた意図に、あやかの背筋がぴんと張る。
「……これは、骸からだ」
真島が眉をひそめる。
「骸? 誰なんや?前にもおまえ言うてた知り合いか…警察の女やったか?」
「うん。でも、ただの警察じゃない。……あの子は私と同じ天導衆に仕えている。“奈落三羽”の一人。あたしの“元・弟子”であり、今は天導衆の刺客──あたしを殺すために来た」
あやかは紙をじっと見つめ、静かに口を開いた。
「かごめ……囲め。籠の中の鳥は、私のこと。
“いついつ出やる”──これは、決戦の日時。
“夜明けの晩”……つまり、午前4時。一番静かで、一番気配が死ぬ時間。
“鶴と亀が滑った”──これは“死”を意味する。あたしが、ここで命を落とすことも含んでる。
“後ろの正面だあれ?”……最後に立ってるのは、誰かってこと」
あやかの声には、迷いがなかった。
その瞳に宿るのは、覚悟と、かつて教え子だった少女への複雑な想い。
真島は黙っていたが、次第に手を拳にして強く握った。
「なんでいつもあやかやねん。絶対許さんで。」
「……私はこの決戦受けるよ。これは、骸が“自分で選んだ道”だ。なら、あたしもそれに答えなきゃ。」
あやかはゆっくりと手紙を畳み、ポケットにしまった。
「逃げることはしない。あたしが生きてる限り、彼女が壊れるのを止めたい。それが“先に教えた者”の責任でもあるから」
真島は立ち上がり、煙草をくわえる。
「……ほな、俺はあやかの背中守るだけや。俺は迷わへん。戦う相手が誰であろうとな」
煙草に火を点け、煙を吐きながら、ニッと笑う。
「ただ……絶対に、死なんとけよ」
あやかは微笑んで頷いた。
「うん。約束」
そして、決戦の“刻”は──刻一刻と近づいていた。