過去への旅
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夜。
神室町の高層マンション、その最上階のリビング。
窓の外にはネオンがゆっくりと瞬いている。
その光をぼんやりと見つめながら、あやかはソファに座っていた。
隣の部屋からは、真島の軽い寝息が聞こえる。
シャワーを浴びたあとの髪がまだ少し湿ったまま、彼は先に眠っていた。
あやかは手にしていた一振りの刀──紅桜の柄をそっと撫でた。
普段は封じるように納刀していたそれを、今日は取り出さずにはいられなかった。
この刀が、鍵だった。
“帰る方法”の。
(……ずっと、忘れてたわけじゃない。)
銀時、桂、高杉。
そして、松陽先生の笑顔。
共に戦った日々。
背中合わせに命を懸けたあの夜。
守るべきものが、確かにそこにあった。
──そして、置き去りにしてきたものも。
「……あたしは、こっちの世界に来て……。」
呟くように口にすると、胸が苦しくなった。
真島のことが好きだ。
この生活が、幸せでたまらない。
でも、だからこそ──彼には言えなかった。
過去に流した血のことも。
かつて兵器として扱われた日々も。
そして今も、刀を持てば、手が震える。
心の奥に、戦いの業が、まだ残っている。
「……そろそろ戻らなきゃいけない気がするんよ、どうしても」
小さな声が紅桜に響いた。
でもその声に答える者はいない。
──もし戻ったら、こっちに戻れないかもしれない。
やっと得たこの穏やかな日々を、失うかもしれない。
真島のそばにいたい気持ちと、江戸に未練を残す自分。
ふたつの世界のはざまで、あやかは静かに揺れていた。
部屋に微かに夜風が吹き込み、
紅桜の鞘に差されたままの刃が、わずかに震えた。
夜の静寂の中、リビングには紅桜を抱いたあやかの姿があった。
薄明かりのもと、彼女の横顔はどこか遠くを見つめていた。
「……真島さん、ちょっと……話があるの。」
「なんや、改まって」
あやかは一呼吸置いてから、口を開いた。
「江戸に……戻ろうかなって、考えてる」
一瞬、真島の表情が固まった。
「置いてきたもんがいっぱいあるんよ。形見とか、大事な服とか……。
それに……銀さんや小太郎、あの頃に出会った人たち。ちゃんと別れを言いたい。」
その声は、揺れながらも決意に満ちていた。
「戻るっていうより……行って、ちゃんと顔見て、そしてまた、ここに帰ってきたいの。」
真島は黙って、紅桜を見つめた。
「……ほな、ワシも一緒に行く」
あやかが驚いたように顔を上げる。
「えっ……」
「お前ひとりで行かせるわけにはいかんやろ。
戻ってくるって言われても、心配で気ぃ狂うわ。
それに……お前がどんな時代にいたんか、どんな風に生きてきたんか、ちゃんと見たいんや。全部知りたい。」
あやかの目が潤む。
「でも……危ないかもしれないよ。帰って来れるか確約されてる訳でも無いし……。」
「ワシ、極道やぞ? 危ない道ばっか通ってここまで来たんや。今さらや」
そう言って、真島はふっと笑い、あやかの頭に手を置いた。
「一緒に行って、一緒に帰ってくる。……せやろ?」
あやかは小さくうなずき、真島の胸に顔をうずめた。
「……ありがとう。ほんとに……ありがとう」
「言うたやろ、お前はもうこの世界の人間や。絶対に帰らせたる。命に代えてもや」
その夜、ふたりは強く手を握り合った。
それは過去と向き合い、未来に進むための、新たな旅のはじまりだった。
神室町の高層マンション、その最上階のリビング。
窓の外にはネオンがゆっくりと瞬いている。
その光をぼんやりと見つめながら、あやかはソファに座っていた。
隣の部屋からは、真島の軽い寝息が聞こえる。
シャワーを浴びたあとの髪がまだ少し湿ったまま、彼は先に眠っていた。
あやかは手にしていた一振りの刀──紅桜の柄をそっと撫でた。
普段は封じるように納刀していたそれを、今日は取り出さずにはいられなかった。
この刀が、鍵だった。
“帰る方法”の。
(……ずっと、忘れてたわけじゃない。)
銀時、桂、高杉。
そして、松陽先生の笑顔。
共に戦った日々。
背中合わせに命を懸けたあの夜。
守るべきものが、確かにそこにあった。
──そして、置き去りにしてきたものも。
「……あたしは、こっちの世界に来て……。」
呟くように口にすると、胸が苦しくなった。
真島のことが好きだ。
この生活が、幸せでたまらない。
でも、だからこそ──彼には言えなかった。
過去に流した血のことも。
かつて兵器として扱われた日々も。
そして今も、刀を持てば、手が震える。
心の奥に、戦いの業が、まだ残っている。
「……そろそろ戻らなきゃいけない気がするんよ、どうしても」
小さな声が紅桜に響いた。
でもその声に答える者はいない。
──もし戻ったら、こっちに戻れないかもしれない。
やっと得たこの穏やかな日々を、失うかもしれない。
真島のそばにいたい気持ちと、江戸に未練を残す自分。
ふたつの世界のはざまで、あやかは静かに揺れていた。
部屋に微かに夜風が吹き込み、
紅桜の鞘に差されたままの刃が、わずかに震えた。
夜の静寂の中、リビングには紅桜を抱いたあやかの姿があった。
薄明かりのもと、彼女の横顔はどこか遠くを見つめていた。
「……真島さん、ちょっと……話があるの。」
「なんや、改まって」
あやかは一呼吸置いてから、口を開いた。
「江戸に……戻ろうかなって、考えてる」
一瞬、真島の表情が固まった。
「置いてきたもんがいっぱいあるんよ。形見とか、大事な服とか……。
それに……銀さんや小太郎、あの頃に出会った人たち。ちゃんと別れを言いたい。」
その声は、揺れながらも決意に満ちていた。
「戻るっていうより……行って、ちゃんと顔見て、そしてまた、ここに帰ってきたいの。」
真島は黙って、紅桜を見つめた。
「……ほな、ワシも一緒に行く」
あやかが驚いたように顔を上げる。
「えっ……」
「お前ひとりで行かせるわけにはいかんやろ。
戻ってくるって言われても、心配で気ぃ狂うわ。
それに……お前がどんな時代にいたんか、どんな風に生きてきたんか、ちゃんと見たいんや。全部知りたい。」
あやかの目が潤む。
「でも……危ないかもしれないよ。帰って来れるか確約されてる訳でも無いし……。」
「ワシ、極道やぞ? 危ない道ばっか通ってここまで来たんや。今さらや」
そう言って、真島はふっと笑い、あやかの頭に手を置いた。
「一緒に行って、一緒に帰ってくる。……せやろ?」
あやかは小さくうなずき、真島の胸に顔をうずめた。
「……ありがとう。ほんとに……ありがとう」
「言うたやろ、お前はもうこの世界の人間や。絶対に帰らせたる。命に代えてもや」
その夜、ふたりは強く手を握り合った。
それは過去と向き合い、未来に進むための、新たな旅のはじまりだった。