短編
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予定調和ハッピーエンド
「疲れてんなー***、ハグしとく?」
任務から帰ってきたばかりでくたびれたあたしを見て、すれ違ったラビがそう言った。いつもそうやって軽いノリで、こっちの気も知らないでそういうことするんだから。普段ならあしらって終わりだけど今日はふと思った、本当にハグしたらどうなるんだろう。
立場とかいろいろあるだろうしラビとどうこうなれるとは思っていないけど、許す限りは近付きたい。それは物理的な意味も含まれるけど、さすがにスキンシップは勇気がなかった。最近ハマってるのか事あるごとにハグハグ言ってるラビをどこか冷めた目で見てたけど、今初めてやってみてもいいかもと思ってしまった。
疲れすぎて頭がイカれてしまったらしい。
「…うん」
「…あ、え?」
「ん」
「…えっ、うわ、わー!***!」
軽く広げられた腕に真っ直ぐ突っ込んでみた。背中に腕を回して密着したら思ったより厚みがあって、男の人なんだなぁと当たり前のことを思う。いつの間にか背が伸びていて、頭ひとつ分では足りないほど身長差が出来ていることには驚いた。あたしにはもう希望がないというのに、この男はまだぐんぐん伸びそうで羨ましい。
いろいろ考えていたら、ラビが微かにじたばたしているのを感じた。背中に手がかかりそうでかからない気配を感じる。でもまだもう少しこうしていたくて、くっついたまま口を開いた。
「何やってんの」
「それはこっちのセリフさ!何で急に…」
「ハグしとく?って聞いたじゃん、ラビが」
「そうだけどさ〜…あれはなんて言うか、挨拶みたいなもんで…」
「…本当にされたら困るなら言わないでよ」
思ってたのと違う。あの軽いノリで肩でも叩いて楽しく会話できるかと思ってたのに、そんなに動揺されると調子が狂う。
気まずくて体を離したら急に寂しくなってしまった。思えばラビの態度はいつも通りで、勝手にやって勝手に機嫌を悪くしたあたしが悪いかもしれない。少し申し訳なくなって、謝ろうと思って顔を上げたら。
ラビの顔が見たことないくらい赤かった。
「な…何で…?!」
「いや、何でって、あの」
「えっ熱?!医務室行く?」
「違う違う!その…***とハグできたの嬉しく、て…」
「…それは、どういう…?えっ」
目を泳がせるラビを見たらじわじわと意味がわかってしまって、どんどん体が熱くなってくる。ラビがあたしのことなんか気にしてるわけないと思ってた。誰も彼もに声をかけて、あしらわれて、誰のものにもならないし誰にも本気じゃない彼を見て安心してるだけで良かったのに。
「…みんなとハグしてるんじゃないの…?最近急にハグハグ言い出したじゃん…」
「***のいる時しか言ってないさ」
「…うそ」
「嘘じゃないもん…」
「みんなに同じこと言ってんの?そうやって真に受けた女の子を食う気なんだ…」
「んなわけねェだろ!…言ってればそのうち***のこと触れるかなって思ってただけなのに、あんなに密着してくると思わないじゃん!」
「それはごめん…いやあわよくばで触ろうとするな!一言好きって言ってくれればあたしは別に…あっ」
「えっ?」
沈黙。どうしようどうしようこんな感じで言う予定じゃなかった。そもそも言うつもりもなかったのに。
「…好きさ、***」
「……は、」
その言葉は、受け取っていいものだろうか。迷っていたらラビの口がもう一度同じ言葉を繰り返した。そんな真面目な顔をされたら。でも何もかも勢いすぎてもっとこう、いい感じがよかった。いざとなったら余計なオトメゴコロが顔を出す。せめてこんなくたびれてなくて、髪も綺麗で、辺鄙な廊下じゃない場所がいい。
「…***?」
「…二時間、待って」
「…うん?」
「お風呂入って可愛い服着て部屋にいるから、もっかいやって!そしたらOKの返事する!」
「え?!う、うん、わかった…!」
二時間後、何故か花束を持って部屋に現れたラビにもう一度ハグをした。
(クロちゃん助けて!花、花ねーかな?!)
(どうしたである、そんなに慌てて)
(…す、好きな子に渡したいんさ!!)
(!…任せるである!)
(ありがとクロちゃん…!)
「疲れてんなー***、ハグしとく?」
任務から帰ってきたばかりでくたびれたあたしを見て、すれ違ったラビがそう言った。いつもそうやって軽いノリで、こっちの気も知らないでそういうことするんだから。普段ならあしらって終わりだけど今日はふと思った、本当にハグしたらどうなるんだろう。
立場とかいろいろあるだろうしラビとどうこうなれるとは思っていないけど、許す限りは近付きたい。それは物理的な意味も含まれるけど、さすがにスキンシップは勇気がなかった。最近ハマってるのか事あるごとにハグハグ言ってるラビをどこか冷めた目で見てたけど、今初めてやってみてもいいかもと思ってしまった。
疲れすぎて頭がイカれてしまったらしい。
「…うん」
「…あ、え?」
「ん」
「…えっ、うわ、わー!***!」
軽く広げられた腕に真っ直ぐ突っ込んでみた。背中に腕を回して密着したら思ったより厚みがあって、男の人なんだなぁと当たり前のことを思う。いつの間にか背が伸びていて、頭ひとつ分では足りないほど身長差が出来ていることには驚いた。あたしにはもう希望がないというのに、この男はまだぐんぐん伸びそうで羨ましい。
いろいろ考えていたら、ラビが微かにじたばたしているのを感じた。背中に手がかかりそうでかからない気配を感じる。でもまだもう少しこうしていたくて、くっついたまま口を開いた。
「何やってんの」
「それはこっちのセリフさ!何で急に…」
「ハグしとく?って聞いたじゃん、ラビが」
「そうだけどさ〜…あれはなんて言うか、挨拶みたいなもんで…」
「…本当にされたら困るなら言わないでよ」
思ってたのと違う。あの軽いノリで肩でも叩いて楽しく会話できるかと思ってたのに、そんなに動揺されると調子が狂う。
気まずくて体を離したら急に寂しくなってしまった。思えばラビの態度はいつも通りで、勝手にやって勝手に機嫌を悪くしたあたしが悪いかもしれない。少し申し訳なくなって、謝ろうと思って顔を上げたら。
ラビの顔が見たことないくらい赤かった。
「な…何で…?!」
「いや、何でって、あの」
「えっ熱?!医務室行く?」
「違う違う!その…***とハグできたの嬉しく、て…」
「…それは、どういう…?えっ」
目を泳がせるラビを見たらじわじわと意味がわかってしまって、どんどん体が熱くなってくる。ラビがあたしのことなんか気にしてるわけないと思ってた。誰も彼もに声をかけて、あしらわれて、誰のものにもならないし誰にも本気じゃない彼を見て安心してるだけで良かったのに。
「…みんなとハグしてるんじゃないの…?最近急にハグハグ言い出したじゃん…」
「***のいる時しか言ってないさ」
「…うそ」
「嘘じゃないもん…」
「みんなに同じこと言ってんの?そうやって真に受けた女の子を食う気なんだ…」
「んなわけねェだろ!…言ってればそのうち***のこと触れるかなって思ってただけなのに、あんなに密着してくると思わないじゃん!」
「それはごめん…いやあわよくばで触ろうとするな!一言好きって言ってくれればあたしは別に…あっ」
「えっ?」
沈黙。どうしようどうしようこんな感じで言う予定じゃなかった。そもそも言うつもりもなかったのに。
「…好きさ、***」
「……は、」
その言葉は、受け取っていいものだろうか。迷っていたらラビの口がもう一度同じ言葉を繰り返した。そんな真面目な顔をされたら。でも何もかも勢いすぎてもっとこう、いい感じがよかった。いざとなったら余計なオトメゴコロが顔を出す。せめてこんなくたびれてなくて、髪も綺麗で、辺鄙な廊下じゃない場所がいい。
「…***?」
「…二時間、待って」
「…うん?」
「お風呂入って可愛い服着て部屋にいるから、もっかいやって!そしたらOKの返事する!」
「え?!う、うん、わかった…!」
二時間後、何故か花束を持って部屋に現れたラビにもう一度ハグをした。
(クロちゃん助けて!花、花ねーかな?!)
(どうしたである、そんなに慌てて)
(…す、好きな子に渡したいんさ!!)
(!…任せるである!)
(ありがとクロちゃん…!)