短編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
愛しの眠り草
「***、おはよ」
「…お、はよ」
挨拶しただけなのに、***の顔はどこか緊張している。最近の***はずっとこうだ。
念願叶って***と付き合うことになったのは最近だ。今まで友達としては気を許しすぎの距離近すぎだったくせに、恋人としてのスキンシップを増やしたいと思った途端なんだか噛み合わない。何となくギクシャクしたまま微妙な距離で朝食を済ませ、***を食後の散歩に誘った。差し出した手を迷わず握ってくれたことに少しほっとする。
「天気いいなー」
「うん…」
ゆっくり歩きながら、視線を感じるので横を向けば目を逸らされる。また前を向き、視線を感じては逸らされる。何度か繰り返して、放っておけばこれが永遠に続くことを悟った。
「なー***、どうした?」
「…わっ…えっ、あ!」
「えっ何?!なに!!」
顔を覗き込んだら***が急に走って逃げた。慌てて追いかけたら角を曲がったところで蹲っていたので、オレも隣で一緒に小さくなってみる。***の顔は膝に埋まっているので見えないが、耳は赤い。
「…どういうこと……?」
「…ごめん…あの…ちょっと待って…」
「うん…」
気長に待つのは得意な方なので、座り直して腰を落ち着けた。空に目をやると本当に良い天気で、こんな晴れた日に物陰で何をやっているんだろうと思うと可笑しい。しばらく空と向こうに広がる森を眺めて思考が記録の中に沈み始めた頃、左側に重みを感じた。***がオレの腕に抱きついてきて、嫌われてはいないらしいとわかって嬉しくなる。少し屈んだら今度こそ目が合った。
「***、どした?」
「…か、顔、が」
「顔…?」
「ラビの顔…なんか、見れなく、て…」
「…え、何、どゆこと?」
「優しい顔、するじゃん…」
「そう…?」
意識はしてないが、***が側にいると嬉しいので顔は緩んでいるかもしれない。でもそれがどうして目を合わせてくれない理由になるんだろう。
「あたしのこと好きって顔、してるんだもん…」
まだ少し赤い顔で呟く。可愛いな…いや、何て言った?
「……は?え?してな…くはない…けど、いや、だって!!いいじゃん別に!!!好きだし!!!!!」
何だそれは。妙に気恥ずかしいのを誤魔化すためにどんどん声がデカくなって、***が顔を顰めるのがわかりつつ制御できない。
「…声でか……」
「……ごめん…いやでもさ…」
***の顔を見つめたら、軽くこてんと首を傾げた。可愛い。いや待てよ、これは。
「***も、オレのこと好きって顔してるじゃん…?」
「っ…それは!!わかってるもん!!!」
「声でか…」
見つめ合っているうちに可笑しくなってきて、二人で息が出来なくなるほど笑った。一頻り笑って、自然と目が合って、唇が吸い寄せられる。何度か啄むようなキスをして、また笑った。
「ねぇ、照れてたの?」
「うん…だって、嬉しくて…」
「嬉しいんだ」
「嬉しいよ…あたしの好きな人があたしのこと好きなんだと思ったら、嬉しい」
「うん、オレも嬉しいさ」
***がこんなに可愛いことをオレだけが知っているなんて。前よりずっと無防備になった表情も身の預け方も何もかも愛しくて、もう何度目かわからないキスをした。
(こんなところで何してるんですか?)
((何でもない!!))
(え、声でか…)
「***、おはよ」
「…お、はよ」
挨拶しただけなのに、***の顔はどこか緊張している。最近の***はずっとこうだ。
念願叶って***と付き合うことになったのは最近だ。今まで友達としては気を許しすぎの距離近すぎだったくせに、恋人としてのスキンシップを増やしたいと思った途端なんだか噛み合わない。何となくギクシャクしたまま微妙な距離で朝食を済ませ、***を食後の散歩に誘った。差し出した手を迷わず握ってくれたことに少しほっとする。
「天気いいなー」
「うん…」
ゆっくり歩きながら、視線を感じるので横を向けば目を逸らされる。また前を向き、視線を感じては逸らされる。何度か繰り返して、放っておけばこれが永遠に続くことを悟った。
「なー***、どうした?」
「…わっ…えっ、あ!」
「えっ何?!なに!!」
顔を覗き込んだら***が急に走って逃げた。慌てて追いかけたら角を曲がったところで蹲っていたので、オレも隣で一緒に小さくなってみる。***の顔は膝に埋まっているので見えないが、耳は赤い。
「…どういうこと……?」
「…ごめん…あの…ちょっと待って…」
「うん…」
気長に待つのは得意な方なので、座り直して腰を落ち着けた。空に目をやると本当に良い天気で、こんな晴れた日に物陰で何をやっているんだろうと思うと可笑しい。しばらく空と向こうに広がる森を眺めて思考が記録の中に沈み始めた頃、左側に重みを感じた。***がオレの腕に抱きついてきて、嫌われてはいないらしいとわかって嬉しくなる。少し屈んだら今度こそ目が合った。
「***、どした?」
「…か、顔、が」
「顔…?」
「ラビの顔…なんか、見れなく、て…」
「…え、何、どゆこと?」
「優しい顔、するじゃん…」
「そう…?」
意識はしてないが、***が側にいると嬉しいので顔は緩んでいるかもしれない。でもそれがどうして目を合わせてくれない理由になるんだろう。
「あたしのこと好きって顔、してるんだもん…」
まだ少し赤い顔で呟く。可愛いな…いや、何て言った?
「……は?え?してな…くはない…けど、いや、だって!!いいじゃん別に!!!好きだし!!!!!」
何だそれは。妙に気恥ずかしいのを誤魔化すためにどんどん声がデカくなって、***が顔を顰めるのがわかりつつ制御できない。
「…声でか……」
「……ごめん…いやでもさ…」
***の顔を見つめたら、軽くこてんと首を傾げた。可愛い。いや待てよ、これは。
「***も、オレのこと好きって顔してるじゃん…?」
「っ…それは!!わかってるもん!!!」
「声でか…」
見つめ合っているうちに可笑しくなってきて、二人で息が出来なくなるほど笑った。一頻り笑って、自然と目が合って、唇が吸い寄せられる。何度か啄むようなキスをして、また笑った。
「ねぇ、照れてたの?」
「うん…だって、嬉しくて…」
「嬉しいんだ」
「嬉しいよ…あたしの好きな人があたしのこと好きなんだと思ったら、嬉しい」
「うん、オレも嬉しいさ」
***がこんなに可愛いことをオレだけが知っているなんて。前よりずっと無防備になった表情も身の預け方も何もかも愛しくて、もう何度目かわからないキスをした。
(こんなところで何してるんですか?)
((何でもない!!))
(え、声でか…)