短編
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Only You
「あ、ラビ待って!」
「おあー!」
「やだごめんなさい!つい…」
任務の報告が終わって室長室を出ようとすると、手伝いで来ていたリナリーが慌てて声を掛けてきた。部屋を出る寸前にマフラーを掴まれて首が絞まる。
「よくあることさ、ダイジョブ…」
「そう…?この前の報告書の内容で、科学班から聞きたいことがあるって言ってたから帰りにラボに寄ってくれる?」
「おっけー」
「ありがとう、よろしくね」
リナリーに手を振ってラボを目指す。相変わらず色んな場所がガチャガチャしていたが、何にも巻き込まれず質問にだけ答えて場を後にすることができた。食堂に向かいながらゴーレムを起こして繋いだところで、腹をぐーぐー鳴らしたアレンにマフラーを引っ張られてまた首が絞まる。後ろに居た監査官が申し訳程度に諌めていたがもっと真剣に止めてくれ。
「ラビ早く!僕お腹空いてるんです!」
「勝手に急げ!オレは帰ったばっかで疲れてんの!」
「ご飯食べれば治りますよ」
「こら、落ち着きなさいウォーカー」
ぎゃあぎゃあ言いながら食堂の入り口まで行くとユウとすれ違った。挨拶したら虫の居所が悪かったのか、マフラーを掴まれぎゅうぎゅうに絞められる。
「ぎゃー!ユウなんで!」
「うるせぇ」
今日は余計なちょっかいかけてない自覚があるので理不尽がシンプルに悲しい。落ち込んでいたらアレンに引っ張られて列に並ばされる。悲しみと空腹を癒すため焼肉定食の大盛りを注文して、そういえば繋いだままだったゴーレムに話しかけた。
「***どこー?」
『時計の下』
「おー、いたいた」
アレンとリンクに一声かけて、愛しい黒髪の元へ向かう。オレに手を振る恋人の前にあるプレートの中身は既に半分なくなっていた。
「おかえり」
「ただいま…ごめん、腹空かした野良犬に絡まれたんさ」
「うん、聞いてた」
さっき起きたことが全て中継で伝わっていたことに気付いてなんか恥ずかしい。***の前に座ってオレも食事を始める。腹が減っているのに***の顔を見たら話したいことが止まらない。オレの方が食事の量も多いしたくさん喋っているのに何故かぴったり一緒に食べ終わって、食後の一杯を持って食堂を後にした。温かいラテのカップを両手で持ってちびちび飲む***を見て、今回も無事に帰ってこられてよかったと思う。
「あ、ラビ、見て」
「ん?」
部屋までゆっくり歩く途中、***がオレのコートの裾をそっと掴んだ。マフラーはよく掴まれるけど、服の裾を掴むのは***だけだ。導かれるまま窓の外を見ると大きな月が昇っていた。
「おーでっけー」
「もうすぐ満月だねー」
しばらく眺めて、またゆっくり歩き出す。***がまだ裾を掴んだままなので、腕を差し出すと嬉しそうに絡みついてきた。
「ふふ」
「…可愛いねぇ、***」
「なに急に」
「別に急じゃないさ、いつも思ってることが今口から出ただけ」
「なにそれ…ラビ、かっこいいね」
「……」
「…なに照れてんの」
歩きづらくならない程度にくっつきすぎず、でも密着して歩く。***がオレの腕と一緒に抱いたマフラーを撫でるのがたまらなく愛しく見えて、立ち止まって触れるだけのキスをした。
(コーヒーの味するさ)
(ふふ、美味しい)
「あ、ラビ待って!」
「おあー!」
「やだごめんなさい!つい…」
任務の報告が終わって室長室を出ようとすると、手伝いで来ていたリナリーが慌てて声を掛けてきた。部屋を出る寸前にマフラーを掴まれて首が絞まる。
「よくあることさ、ダイジョブ…」
「そう…?この前の報告書の内容で、科学班から聞きたいことがあるって言ってたから帰りにラボに寄ってくれる?」
「おっけー」
「ありがとう、よろしくね」
リナリーに手を振ってラボを目指す。相変わらず色んな場所がガチャガチャしていたが、何にも巻き込まれず質問にだけ答えて場を後にすることができた。食堂に向かいながらゴーレムを起こして繋いだところで、腹をぐーぐー鳴らしたアレンにマフラーを引っ張られてまた首が絞まる。後ろに居た監査官が申し訳程度に諌めていたがもっと真剣に止めてくれ。
「ラビ早く!僕お腹空いてるんです!」
「勝手に急げ!オレは帰ったばっかで疲れてんの!」
「ご飯食べれば治りますよ」
「こら、落ち着きなさいウォーカー」
ぎゃあぎゃあ言いながら食堂の入り口まで行くとユウとすれ違った。挨拶したら虫の居所が悪かったのか、マフラーを掴まれぎゅうぎゅうに絞められる。
「ぎゃー!ユウなんで!」
「うるせぇ」
今日は余計なちょっかいかけてない自覚があるので理不尽がシンプルに悲しい。落ち込んでいたらアレンに引っ張られて列に並ばされる。悲しみと空腹を癒すため焼肉定食の大盛りを注文して、そういえば繋いだままだったゴーレムに話しかけた。
「***どこー?」
『時計の下』
「おー、いたいた」
アレンとリンクに一声かけて、愛しい黒髪の元へ向かう。オレに手を振る恋人の前にあるプレートの中身は既に半分なくなっていた。
「おかえり」
「ただいま…ごめん、腹空かした野良犬に絡まれたんさ」
「うん、聞いてた」
さっき起きたことが全て中継で伝わっていたことに気付いてなんか恥ずかしい。***の前に座ってオレも食事を始める。腹が減っているのに***の顔を見たら話したいことが止まらない。オレの方が食事の量も多いしたくさん喋っているのに何故かぴったり一緒に食べ終わって、食後の一杯を持って食堂を後にした。温かいラテのカップを両手で持ってちびちび飲む***を見て、今回も無事に帰ってこられてよかったと思う。
「あ、ラビ、見て」
「ん?」
部屋までゆっくり歩く途中、***がオレのコートの裾をそっと掴んだ。マフラーはよく掴まれるけど、服の裾を掴むのは***だけだ。導かれるまま窓の外を見ると大きな月が昇っていた。
「おーでっけー」
「もうすぐ満月だねー」
しばらく眺めて、またゆっくり歩き出す。***がまだ裾を掴んだままなので、腕を差し出すと嬉しそうに絡みついてきた。
「ふふ」
「…可愛いねぇ、***」
「なに急に」
「別に急じゃないさ、いつも思ってることが今口から出ただけ」
「なにそれ…ラビ、かっこいいね」
「……」
「…なに照れてんの」
歩きづらくならない程度にくっつきすぎず、でも密着して歩く。***がオレの腕と一緒に抱いたマフラーを撫でるのがたまらなく愛しく見えて、立ち止まって触れるだけのキスをした。
(コーヒーの味するさ)
(ふふ、美味しい)