「ナイツ」


ふりふり、と手を振りながら
ルアはナイツの前まで来ると
ナイツの手を握った。



「寒かったんじゃないの？ごめんなさいね」
「いや全然？寒くな……っくしゅ！！」
「ほら寒いんじゃない」




もう、と言いながらルアは
自分のつけていたマフラーを取ると
ナイツの首にマフラーを巻いた。




「…さんきゅ」




マフラーに顔を埋めながら少し照れくさそうに
ナイツは微笑んだ。




「サーカスの事、テレビで見たわよ
紹介されてたわあなたの事
”今話題の空中ブランコパフォーマー”って」
「そりゃ当然だろ？俺様だからな！
それに飛ぶ事なら誰にも負けないぜ」
「ふふ、そうね」




飛ぶ感覚を知っているナイツにとって
空中ブランコはお手の物だった
ナイツとリアラの空中ブランコのパフォーマンス
はあっという間に有名になり
今、忙しくある。





「やっと時間取れたよ
ずっと伝えたい事があってさ
‥ごめんなあんまり時間なくて」
「気にしないで、仕方ないわよ
‥それで何？話って」





ナイツはルアの言葉に少し
目線を外し、照れくさそうにすると
目線を下に移して語り出す




「なぁ、ルア
俺がこの現実世界に来て随分たったよな」
「えぇ、そうね
‥あの時貴方が全てを捨てる
覚悟をして私を迎えに来てくれた
日はまだ覚えてる」




ナイツの大きな手がルアの手を包む
あの時‥ナイツと再会できた時本当に嬉しかった
あぁ、また会えた
本当に迎えに来てくれたと




「言ったよな、俺
お前がつけてるその指輪は
”婚約指輪”だって」
「‥！‥ナイツ、もしかして」




ナイツが伝えたい言葉がなにか
分かったルアはナイツを
見上げて震える手で口を抑える
あの時とは違って、大きく
男らしくなったナイツは
こくりと頷くとルアの元に跪き
手をさし伸ばした





「‥‥ルア、結婚しよう
俺は生涯お前だけを愛し
俺の時間は全てお前にだけに捧げると違う」





力強い瞳で伝えられたプロポーズの言葉
ルアは涙を目いっぱいに貯めて
その涙を一筋こぼし‥ナイツの手を取った





「〜っ…！ナ、イツ‥！私、私‥‥
私、も、ずっとあなたと一緒にいる！
貴方の妻にさせて…」
「ルア‥‥‥ありがとう、
これからはずっと一緒だからな」
「うん‥うん‥」



小さく愛らしい雪がチラホラと降り出した
ナイツとルアはその中で
互いにきつく抱きしめ合い、
見つめあった後に口付けを交わした
数年前、ナイトメアが崩壊する前に
交わした約束は今果たされた。