会長登場の巻

数時間宇宙を進み‥
飛田速男くんはヒーロー星に
到着した。
到着するなり兵士が出迎え
車で会長の元へと送迎される高待遇だ。




「随分豪華な出迎えだな、幹部なだけはある」
「さ、会長がお待ちかねだラッキーマン
急ごう!」



車で数分走ると、随分と派手で
高い長い塔に着いた。
土蜘蛛はその塔の高さに思わず
見上げ、当たりを見回し
会長室なだけあって豪華だと実感した。





「会長、勝利マンと友情マン
ラッキーマンを連れて戻りました」
「合言葉は?」
「ジャッキーチェンは香港のヒーロー
メリージェーンはつのだひろ!」
「入りたまえ」




合言葉があるとは警備も厳重だと
思っているとドアが開き
土蜘蛛は姿勢をただした。




「わしが会長だーっ!!文句あっかー!
今日も会長ー!!」
「(‥威厳もないただの親父に思えるが‥
賞状等も全て自分に出しておる‥
くだらん‥)」




だが、いざ直面した会長は
顔に「エライ」と書かれた
オヤジで‥オヤジギャグを
言いながらの登場に
土蜘蛛は力が抜けた。





「よく来てくれましたラッキーマンくん!
苦しゅうないちこうよれ!
んでここを見て」
「断る」
「えーノリ悪いのー」
「‥‥‥‥貴様‥‥‥‥」
「ま、まぁまぁ相手は会長なんだから」




友情マンの言葉に土蜘蛛は
確かに身分が上の者には
経緯を払うべきだと
姿勢を正した、が
その会長はと言えば土蜘蛛の
前でブーツを脱ぎ‥




「水虫痒いの」




水虫の薬を付け始めた
土蜘蛛は途端にやる気が一気に
削がれて扉に向けて足を進め出す。





「会長、ラッキーマンも来たので
ご安心を我々3人で‥あれ、ラッキーマンは?」




そう言いかけながら
勝利マンが土蜘蛛の方をむく、が
土蜘蛛が隣におらず辺りを見回す
そして扉を見ると‥




「さらばだ」

「「わーーーっ!!待った待った待った!!」」




土蜘蛛はもう既に扉を開けて
去ろうとしており慌てて
3人は土蜘蛛を止める。




「帰っちゃダメ帰っちゃダメ!!!」
「やる気をなくした、2人で頑張るが良い」
「嫌だからね、君がいないとね!!」
「知らぬ守る気になれぬ、さらばだ」




そんなこんなで、なんとか
止められた土蜘蛛は
眉間のシワをさらに深くさせて
腕を組んで仁王立ちしながら
会長を見る。




「ラッキーマンくん!!」
「なんだ」
「どうかひとつキミの力とラッキーで私を守ってくれたまえ!!」
「ならばふざけずに最初から
言えばよかったであろう、ったく‥」



手を握られた土蜘蛛は
大きなため息をつきながら
頷いた、が会長の瞳に涙が滲む。




「わしも家に帰れば妻と二人の子がいる!
わしが死んだら妻と子はどうすればいいのだ!」
「は?」
「15年も残ってる家のローンは?
趣味の盆栽の手入れは?」
「知らぬ!!!」



やはりこいつ威厳も何も無い、と
土蜘蛛が苛立ちを覚えたがその時



「そして何よりもこの宇宙の平和の為に!わしのヒーローパワーをヒーロー達に
与え続けるために死ぬ訳には行かんのだ!!」
「!ようやくまともな言葉が」




ようやくまともな言葉が出て
会長を見直したのだが‥




「死ぬわけ行かないって言ってるのに
なんで命狙うのー!?」
「‥はぁぁぁあ‥」





また何回目のため息をついた。





「会長ご安心下さい、我々3人が
必ずや会長を守り敵を倒します」
「うん…」
「会長、この部屋に入れるのは私たちの入ってきたここだけですか?」
「う〜んとね…」


会長は窓の方へ移動した。



「あとここに窓があるけど…」
「窓か…窓は危険ですよ、ライフルで狙われたら」
「…殺し屋はもうどこかでわしの命を狙っているのだろうか」



窓からヒーロー星を見下ろして…
しみじみとその宇宙の景色を見ながら
会長は語り出す…




「しかしわしは死ぬ訳には行かんのだ…
美しい宇宙を…この宇宙に住む数多くの
命を守る為に…」
「会長…」
「‥‥‥‥‥」




窓から宇宙を見つめる会長を
土蜘蛛は何も言わずにその背中を見つめる‥
だがしかし、窓の外の宇宙から
会長をライフルで狙う影が!




「待ってたぜこの時を!!俺は1度だって狙った的を外したことはねぇ!!死んで
貰うぜ会長!!」





引き金が引かれて銃弾が発射され、
銃弾が会長に向かうが‥
その間に土蜘蛛が会長の側へ来る。





「‥窓へ立つのはやめた方が
良いのではないか、先程
勝利マンがライフルで狙われると
申していたであろう
念には念をだ、離れろ」
「あ、たしかにそうね」





土蜘蛛が会長の腕を引き
窓から離れさせたその時!!




パーン!!!





「「!?」」




銃弾が会長のいた場所へ
めり込んだ!!!
土蜘蛛が会長を窓から
離れさせなければ今頃‥!!




「あ、ありがとうー!!ラッキーマン!!キミがバリアを貼ってくれて助かった!!
さすがわしの見込んだ男ー!!」
「褒められる程では無い、
ただ運が働いたのみ」
「そのラッキーが最高なのよ!!」





銃弾を受け止められてギリ、と殺し屋は
歯噛みをして悔しがった



「く、くそ!!なんだアイツ!?よぉしこいつから…ん?あら?」




土蜘蛛から殺してやろう、と
スコープから覗き込んでいると
友情マンと勝利マンの姿が映る。




「コラー!!殺し屋!!俺と勝負だ
そして俺が勝つ!!」
「よーしわかった友達になろー!!」

「なんなんだなんなんだー!!皆殺しだ!!」




発射された銃弾は2人に向かっていく!
だが‥





「おい、馬鹿窓に立つなと申したのは
お主であろう!危ない!」
「おっと!?」



パーン!!!



またまた土蜘蛛が2人を窓から離れさせた
するとまた床に銃弾がめりこんだ!!
それを見て窓に立つのは危険だと
4人は窓から離れた。




「ありがとうラッキーマン、助かった」
「例には及ばん」




「こ、このヒットマンのライフルの腕はこんなにバカにされたのは初めてだ、ゆ、許さん必ずや全員殺す!!」
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