第二十二話 カスパールの追跡

 カスパールは探索範囲をモナウ州から国内全土に広げてファティマを探し始めた。インターネットで彼女が利用しそうな病院に片っ端から電話をかける。すると、南部のリャマ州で最も大きな病院で、緑色のショートヘアの小柄な女性と背の高い若い男が仲間の見舞いに何度も通っていた話を掴んだ。
 彼女の仲間は重傷で集中治療室に入るほどだった。おそらく犯罪組織の抗争でやられた傷だろう。犯罪組織と関わりのある男の仲間ならば、誘拐されたファティマである可能性が高い。
 カスパールは電話を切り、わなわなと震えた。
 「見つけた。ついに見つけたよファティマ。今から迎えに行くからね」
 カスパールは長期休暇を取り、リャマ州の病院へ向かった。リャマ州への直通の飛行機はない。電車を乗り継いだほうが早いと計算したカスパールは、特急電車を乗り継いで2日後にリャマ州の病院にたどり着いた。
 「彼女たちはほんの2週間前……1カ月前だったかな?に、退院していきましたよ」
 「詳しい日時は?!」
 「今お調べします。……10月16日ですね。2週間ちょっと前です」
 「2週間……どこまで逃げられる?」
 カスパールは近くのホテルをしらみつぶしに探した。すると10日前にチェックアウトした三人組の情報が見つかった。大きなキャリーケースをワゴン車に積み込んで出て行った。長旅だろう。
 ワゴン車ならばキャリーケースを必要としない。車に積み込めば済む話だ。車を手放すつもりだったのか?ならば、国外逃亡?
 カスパールは出入国管理局に掛け合った。1週間前に若い三人組が出国している。その中に、小柄な緑の髪の女がいたという。
 「近い。近いよ、ファティマ。やっと会えるんだね。きっと捜し出してみせる」
 カスパールは海洋国家イティルに入国した。イティルの警察に捜索願を出す。ホテルで警察の連絡を待つカスパール。目撃情報が集まってくる。場所が絞り込まれてくる。ファティマがどんどん近くなる。そしてついに、滞在していたホテルを見つけた。
 「どうも、ポルトフのホテルリバーサイドドルフィンに滞在歴があるようです」
 「ありがとうございます」
 見つけたよ、ファティマ。
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