暗国の杜

誰もいない街角を一人歩いた
家路は遠く
遠雷が近づいてくる
私はお使いの酒瓶を抱え家路を急ぐ
雷をしのぐ場所などない

助けてと呪文のように唱えても
そこにあるのはただ身を裂くような孤独
音楽プレーヤーが流し始めた大好きな曲だけが
私の心を勇気づけた

夢から覚めると既に昼だった
日没は近く
現実が遠退いていく
私はその日食べるものを買いにスーパーへ急ぐ
外出恐怖なんて言ってられない

助けてと呪文のように唱えても
そこにあるのはただ身を裂くような孤独
暖かい布団に包まれて見た夢の数々だけが
私の生活の全て

私のリアル

神様ぐらいしか縋る者の居ない
天涯孤独の私のリアル
今私がここで事切れたとして
私は新鮮なうちに見つけてもらえるかしら
今さらお葬式も大きなお墓も要らないけれど

助けてと呪文のように唱えても
そこにあるのはただ身を裂くような孤独
誰でもいいから 伝えて
私が確かに生きていた証を
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