第一章 奇跡使いと言霊使い
結局このミッションは一週間ほど張り込み、モンスターの勢いが無くなったことがわかると、ミッションコンプリートとなった。
ケフィはより一層新しい言霊を覚えることに精を出すようになり、言霊の指南書も何冊も読んだ。
そんな忙しくしているケフィの知らないところで、ベルがエラとニナに物陰に呼び出されていた。
「なんか最近あんた調子に乗ってない?」
「そんな事……ないです……」
「やけにケフィと話すときだけテンション高いよね。何?ケフィ狙ってるの?」
「違います……」
バシャア!
ベルの頭の上から、バケツに入っていた雑巾の搾り汁をかけるエラ。
「くっさー。ベル、あんた臭いよ、汚いよ。そんなあんたが調子に乗っていいと思ってんの?」
ベルは何も抵抗しない。汚れたバケツをベルに被せると、エラはベルの腹部に蹴りを入れた。
「何とか言ってみなよ、あんた最近調子いいじゃない。ホラ、ホラ!言霊使ってみなさいよ!使えるんでしょう?!ほら、使って見せろ!」
「……!」
ニナは手を出さない。遠巻きに見守るだけだ。ただ、口は出す。
「言霊使い見習いともあろうものが、口がきけないって最悪だよね。喋ってナンボだよ、言霊使いは」
ベルが抵抗しないことに飽きてきたエラとニナは、ベルへの暴行をやめて去っていった。
取り残されたベルは、バケツを頭から外すと、嗚咽を噛み殺し、静かに涙を流した。
「私も言霊が使えたら……!でも……それでも私は……!」
ケフィはより一層新しい言霊を覚えることに精を出すようになり、言霊の指南書も何冊も読んだ。
そんな忙しくしているケフィの知らないところで、ベルがエラとニナに物陰に呼び出されていた。
「なんか最近あんた調子に乗ってない?」
「そんな事……ないです……」
「やけにケフィと話すときだけテンション高いよね。何?ケフィ狙ってるの?」
「違います……」
バシャア!
ベルの頭の上から、バケツに入っていた雑巾の搾り汁をかけるエラ。
「くっさー。ベル、あんた臭いよ、汚いよ。そんなあんたが調子に乗っていいと思ってんの?」
ベルは何も抵抗しない。汚れたバケツをベルに被せると、エラはベルの腹部に蹴りを入れた。
「何とか言ってみなよ、あんた最近調子いいじゃない。ホラ、ホラ!言霊使ってみなさいよ!使えるんでしょう?!ほら、使って見せろ!」
「……!」
ニナは手を出さない。遠巻きに見守るだけだ。ただ、口は出す。
「言霊使い見習いともあろうものが、口がきけないって最悪だよね。喋ってナンボだよ、言霊使いは」
ベルが抵抗しないことに飽きてきたエラとニナは、ベルへの暴行をやめて去っていった。
取り残されたベルは、バケツを頭から外すと、嗚咽を噛み殺し、静かに涙を流した。
「私も言霊が使えたら……!でも……それでも私は……!」