第一章 奇跡使いと言霊使い
「まずは言霊の概念について説明するわ。言霊は、古霊に語り掛けて、その力を借り、発現する力よ。どのくらいの力が引き出せるかは、言霊使いの言語IQ、言語分野の脳の発達度が影響するわ。だから沢山本を読み、知識と語彙力を鍛えなさい。本は好き?」
ミルドレッドが言霊についての詳しい説明をした。しかし、説明しながら気になったのは……。
「ねえ、そのダサいエプロンはあなたの趣味なの?」
「えっ?」
ケフィが着てきた紫地にひよこと鶏のイラストの入ったエプロン。ミルドレッドが真面目な話をするたびに、可愛いひよこと鶏が、緊張感を崩してくる。
「奇跡使いの修行の時、エプロンをしないと服が燃えるから、気をつけなさいって……」
ミルドレッドは虚空を仰いで脱力してみせると、一つ溜息をついた。
「これだからあの女のセンスって理解できないのよね。なんでエプロンなの。ダサイったらないわ。そんなエプロンはベルにでもあげなさい。必要ないわ」
「は、はい……」
ケフィはエプロンを脱ぐと、庭の隅の茂みの上に置いた。
「それから、あなた」
「はい?」
「そのダッサイ髪型も、あの女の命令でやってるの?」
ケフィは傷ついた。行きつけの散髪屋のセンスに全幅の信頼を預けていたケフィは、今まで疑わなかった髪型をバッサリ切り捨てられて、仰天した。
「だ、ダサイですか?これは、行きつけの散髪屋さんにお任せしてるんですが……。あ、髪が伸びてきたのでそろそろ切ろうかと思っていたんですが」
「どうせなら伸ばしなさいよ」
「えっ?!」
「言霊使いは女の仕事。髪の美しさも言霊の力に影響するのよ。エラとベルは髪を伸ばすのが性格に合わないって言って短くしてるけど、あの子たちも伸ばせばいいんだわ。あなた、男の子なんだから、髪は長いほうが威力が上がるわよ」
ミルドレッドに反抗する気の強さは持ち合わせていない。ケフィはおとなしく従うことにした。それに、散髪代が浮いたら手持ちの所持金を他のことに使える。それもいいかもしれない。
「で、話を戻すけど、本は好き?」
「はい、小さい頃から本は好きでよく読んでいました」
「ふむ。それで古霊に好かれたのかもしれないわね。本はたくさん読みなさい。うちにもいっぱい本があるわ。好きなの読みなさい」
ミルドレッドは説明を続けた。
「奇跡使いの奇跡がイメージする力で操るのは勉強したでしょう?言霊使いは古霊にどれだけ正確に希望を訴えかけるかによるの。だから、光の古霊ルクスに語り掛ける言霊が変われば、失せもの探しをすることもできれば、盲目の人の視力を戻すこともできる。まあ、無理な時もあるけど、可能であれば古霊は願いを叶えるわ」
失せもの探し。先ほどベルから聞いた言霊だ。
「その失せもの探しの言霊はなんていうんですか?」
「え?例えばの話よ?あなた何か失くしたの?ここにきてまだ日が浅いのに。『光の古霊ルクスよ、我の大切なナントカの在り処に導き給え』よ」
「へえー!あ、メモしていいですか?いやあ、さっきダイニングルームで雑談していた時に話題に出たんです。それで気になってて」
律儀にメモを取るケフィにあきれていたミルドレッドだったが、これを一つ利用してみようと思った。練習課題にちょうどいい。
ミルドレッドが言霊についての詳しい説明をした。しかし、説明しながら気になったのは……。
「ねえ、そのダサいエプロンはあなたの趣味なの?」
「えっ?」
ケフィが着てきた紫地にひよこと鶏のイラストの入ったエプロン。ミルドレッドが真面目な話をするたびに、可愛いひよこと鶏が、緊張感を崩してくる。
「奇跡使いの修行の時、エプロンをしないと服が燃えるから、気をつけなさいって……」
ミルドレッドは虚空を仰いで脱力してみせると、一つ溜息をついた。
「これだからあの女のセンスって理解できないのよね。なんでエプロンなの。ダサイったらないわ。そんなエプロンはベルにでもあげなさい。必要ないわ」
「は、はい……」
ケフィはエプロンを脱ぐと、庭の隅の茂みの上に置いた。
「それから、あなた」
「はい?」
「そのダッサイ髪型も、あの女の命令でやってるの?」
ケフィは傷ついた。行きつけの散髪屋のセンスに全幅の信頼を預けていたケフィは、今まで疑わなかった髪型をバッサリ切り捨てられて、仰天した。
「だ、ダサイですか?これは、行きつけの散髪屋さんにお任せしてるんですが……。あ、髪が伸びてきたのでそろそろ切ろうかと思っていたんですが」
「どうせなら伸ばしなさいよ」
「えっ?!」
「言霊使いは女の仕事。髪の美しさも言霊の力に影響するのよ。エラとベルは髪を伸ばすのが性格に合わないって言って短くしてるけど、あの子たちも伸ばせばいいんだわ。あなた、男の子なんだから、髪は長いほうが威力が上がるわよ」
ミルドレッドに反抗する気の強さは持ち合わせていない。ケフィはおとなしく従うことにした。それに、散髪代が浮いたら手持ちの所持金を他のことに使える。それもいいかもしれない。
「で、話を戻すけど、本は好き?」
「はい、小さい頃から本は好きでよく読んでいました」
「ふむ。それで古霊に好かれたのかもしれないわね。本はたくさん読みなさい。うちにもいっぱい本があるわ。好きなの読みなさい」
ミルドレッドは説明を続けた。
「奇跡使いの奇跡がイメージする力で操るのは勉強したでしょう?言霊使いは古霊にどれだけ正確に希望を訴えかけるかによるの。だから、光の古霊ルクスに語り掛ける言霊が変われば、失せもの探しをすることもできれば、盲目の人の視力を戻すこともできる。まあ、無理な時もあるけど、可能であれば古霊は願いを叶えるわ」
失せもの探し。先ほどベルから聞いた言霊だ。
「その失せもの探しの言霊はなんていうんですか?」
「え?例えばの話よ?あなた何か失くしたの?ここにきてまだ日が浅いのに。『光の古霊ルクスよ、我の大切なナントカの在り処に導き給え』よ」
「へえー!あ、メモしていいですか?いやあ、さっきダイニングルームで雑談していた時に話題に出たんです。それで気になってて」
律儀にメモを取るケフィにあきれていたミルドレッドだったが、これを一つ利用してみようと思った。練習課題にちょうどいい。