第一章 奇跡使いと言霊使い
ガイがそれを見て驚いて車の中から声をかけた。
「おいおい、言霊使いって女の専売特許だったんじゃないのかよ?そいつ男だろ?男でも言霊使いなんているの?」
「いないわけではないわ。世界に数人、確認されている。女の奇跡使いよりは珍しくないわよ」
ミルドレッドが答えた。
固まって動けなかったケフィの時間が流れ始め、ケフィは自分の力を疑いだした。
「ほ、本当に今のが言霊なんですか?今、僕がやったのは、言霊なんですか?」
「あら、信じられないみたいね、じゃあもう一回私の言うことを復唱なさい。我らの足元を見上げ、山の上から我らを見下ろす大地の古霊ペトラムよ、憎き敵に石飛礫を!」
「われらのあしもとをみあげ・・・」
テンパランスはその祝詞を聞いて瞬時に察知し、「土の神!水の神!」と、神を召喚した。
「にくきかたきにいしつぶてを」
すると、テンパランスのほうが僅かに早く、テンパランスとアルシャイン、そして屋敷の玄関を覆い尽くすような土の壁を作り上げた。暫時遅れてケフィの呼び出した古霊の石飛礫が横殴りの雨のように土壁に叩き付けられた。
「おーっほっほっほ!ケフィ、あなたやるじゃない!テンパランスたちが泥まみれよ!」
「わーーー!!!すみませんテンパランス様!!ごめんなさい~~!!」
土壁はぼろぼろと崩れてゆき、玄関前に土の盛り上がりと石ころの山が築き上げられた。テンパランスとアルシャインは泥まみれとはいかないものの、土埃にまみれて汚れてしまった。
「気は済んだ?」
服の埃を払いながら、テンパランスが表情一つ変えずに訊く。
「ちょっとね」
ミルドレッドがにやりと笑う。
ミルドレッドはケフィに歩み寄ると、
「あなた、よかったらうちの弟子におなりなさいよ。可愛い女の子いっぱいいるわよ。そんなマグロ女のところで禁欲生活して、青春を無駄にするもんじゃないわ。サービスしてあげるわよ♪」
と、ヘッドハンティングを持ち掛けた。
テンパランスもそれには同意する。
「ケフィ、あなたが言霊使いと分かった以上、うちにいても力はつかないわ。ミルドレッドの下で修業なさい。あなたはそのほうがいいと思うわ」
ケフィはまごまごと迷っていたが、自分の力が奇跡ではないと分かった以上、夢の実現に一番近いのはミルドレッドの弟子になるしかない、としか思えなかった。テンパランスやアルシャイン、イオナには恩を感じるが、これ以上彼らと一緒にいても迷惑にしかならないというならば。
「わかりました……。ミルドレッド様、よろしくお願いします!テンパランス様、アルシャインさん、イオナ、今までありがとうございました!」
「決まりね!よし、せっかく車で来てるんだから、荷物、車に全部乗っけてすぐ帰るわよ!」
そういうと、ミルドレッドはケフィの手を掴んでテンパランスの屋敷にずかずか入っていった。
「あんたの部屋どこ~?」
「い、今からですか?ちょっと急じゃないですか!?」
「善は急げよ!」
テンパランスとアルシャインは二人に付いていきながら、「勝手に人の家に入らないでくれる?」と、小さく抗議した。
車から降りてきたガイもテンパランスの屋敷に勝手に上がり込み、荷物運びを手伝う。
イオナは訳が分からないまま呆気にとられてケフィを見送った。
斯くして、ケフィは新しくミルドレッドの屋敷の世話になり、言霊使いへの道を歩き始めたのである。
「おいおい、言霊使いって女の専売特許だったんじゃないのかよ?そいつ男だろ?男でも言霊使いなんているの?」
「いないわけではないわ。世界に数人、確認されている。女の奇跡使いよりは珍しくないわよ」
ミルドレッドが答えた。
固まって動けなかったケフィの時間が流れ始め、ケフィは自分の力を疑いだした。
「ほ、本当に今のが言霊なんですか?今、僕がやったのは、言霊なんですか?」
「あら、信じられないみたいね、じゃあもう一回私の言うことを復唱なさい。我らの足元を見上げ、山の上から我らを見下ろす大地の古霊ペトラムよ、憎き敵に石飛礫を!」
「われらのあしもとをみあげ・・・」
テンパランスはその祝詞を聞いて瞬時に察知し、「土の神!水の神!」と、神を召喚した。
「にくきかたきにいしつぶてを」
すると、テンパランスのほうが僅かに早く、テンパランスとアルシャイン、そして屋敷の玄関を覆い尽くすような土の壁を作り上げた。暫時遅れてケフィの呼び出した古霊の石飛礫が横殴りの雨のように土壁に叩き付けられた。
「おーっほっほっほ!ケフィ、あなたやるじゃない!テンパランスたちが泥まみれよ!」
「わーーー!!!すみませんテンパランス様!!ごめんなさい~~!!」
土壁はぼろぼろと崩れてゆき、玄関前に土の盛り上がりと石ころの山が築き上げられた。テンパランスとアルシャインは泥まみれとはいかないものの、土埃にまみれて汚れてしまった。
「気は済んだ?」
服の埃を払いながら、テンパランスが表情一つ変えずに訊く。
「ちょっとね」
ミルドレッドがにやりと笑う。
ミルドレッドはケフィに歩み寄ると、
「あなた、よかったらうちの弟子におなりなさいよ。可愛い女の子いっぱいいるわよ。そんなマグロ女のところで禁欲生活して、青春を無駄にするもんじゃないわ。サービスしてあげるわよ♪」
と、ヘッドハンティングを持ち掛けた。
テンパランスもそれには同意する。
「ケフィ、あなたが言霊使いと分かった以上、うちにいても力はつかないわ。ミルドレッドの下で修業なさい。あなたはそのほうがいいと思うわ」
ケフィはまごまごと迷っていたが、自分の力が奇跡ではないと分かった以上、夢の実現に一番近いのはミルドレッドの弟子になるしかない、としか思えなかった。テンパランスやアルシャイン、イオナには恩を感じるが、これ以上彼らと一緒にいても迷惑にしかならないというならば。
「わかりました……。ミルドレッド様、よろしくお願いします!テンパランス様、アルシャインさん、イオナ、今までありがとうございました!」
「決まりね!よし、せっかく車で来てるんだから、荷物、車に全部乗っけてすぐ帰るわよ!」
そういうと、ミルドレッドはケフィの手を掴んでテンパランスの屋敷にずかずか入っていった。
「あんたの部屋どこ~?」
「い、今からですか?ちょっと急じゃないですか!?」
「善は急げよ!」
テンパランスとアルシャインは二人に付いていきながら、「勝手に人の家に入らないでくれる?」と、小さく抗議した。
車から降りてきたガイもテンパランスの屋敷に勝手に上がり込み、荷物運びを手伝う。
イオナは訳が分からないまま呆気にとられてケフィを見送った。
斯くして、ケフィは新しくミルドレッドの屋敷の世話になり、言霊使いへの道を歩き始めたのである。