水になったボア

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そんな、ある日のことです。
ボアは採掘場の近くにあるリザトイエスという湖に水を飲みに来ていました。
リザトイエス湖は大陸で一番大きな湖で、その周辺に住まう人々にとってはとても重要な給水池ですから、毎日沢山の人が水を汲みにやってきました。
その時も、何人かの人が水を汲みに来ていたのですが、その中の一人に、ボアはふと目を止めました。

透き通るような水色の肌、艶のあるサファイアのような青い髪、大きくて青い目をした、若くて美しい女性でした。

その女性は水を汲みながら、一緒に来ていた彼女の母親とお喋りをしていました。
何を話しているのか、ボアにはわかりませんでした。
でも、彼には、彼女のその楽しそうに話す笑顔だけで十分でした。

ボアは彼女が水を汲み終え、去っていくまで、ずうっとその姿に見とれていました。
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