水になったボア
昔、あるところに緑色の男がおりました。
男は、生まれたときから肌も髪も目の色もみんな緑色だったので、両親に捨てられ、幼いころから奴隷として苦役を強いられてきました。
彼はみんなに”ボア”と呼ばれていました。
”ボア”というのは、力の強い、毒を持たない緑色の蛇のことです。
彼は鉄鉱石の採掘場で働かされていたのですが、”ボア”というその名のとおり、力が強く、そして、真面目で、よく働きました。
ですが、やはり、その緑色の外見のために、採掘場の経営者はもちろん、仲間の奴隷たちからも気味悪がられていたので、いつも文句をつけられ、鞭で叩かれ、そして、いつも、独りでした。