水になったボア

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しかし、次の瞬間、彼は愕然としました。
湖の周りの風景が、びっくりするほど変わり果てていたのです。
見たことも無いような、おかしな石造りの建物が立ち並び、見たことも無い服を着た、見たことも無いような人たちが、湖の周りで遊んでいたのです。
そして、呆然とするボアの、その緑色の体を見るなり、人々は悲鳴を上げて大騒ぎになりました。
はっと我に返ったボアは、急いで人気のないところへ逃げました。
「これは一体どうしたことだ?!」ボアは頭を抱えて、現実を考えてみました。
ここはどこか、今はいつなのか、あの女性はいるのか……。
ちょうどそこに、一人の少年がやってきました。ボアはその少年に尋ねてみると、少年はボアを怖がることもなく、質問に答えました。そして、またボアは愕然とし、絶望しました。
なんと、ボアが生きていた頃から300年以上の年月が経っていることが分かったからです。
当然、あの女性が生きているはずもありません。
ボアの目からは自然と涙がこぼれてきました。
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