【番外】ちいさなこいのうた
クリスマスが近づいてきた。三人は第三日曜日にクリスマスお茶会を企画して集まった。話題はまた恋の話だ。真緋瑠が夕月に近況を訊く。
「その後どうですの夕月ちゃん。進展は?クリスマスにはキスぐらいなさいなさいな」
「ブッ!!キス?!あり得ないって!まだそんなじゃないもん!!」
葵と真緋瑠に散々いじられた夕月は、葵に反撃した。
「葵はギンモクセイさんとその後どうなったの?なんもないの?」
葵は痛いところを突かれた。本当はギンモクセイのことが好きで好きでたまらなくなっていた。
「実は……」
『うん、うん』
「私、あれから妙に意識しちゃって……。ギンモクセイのことが本当に好きになってしまいましたの」
「ひゃー!!葵が初恋した!!おめでとう!!」
真緋瑠は複雑な気持ちだ。うまくいけば自分が初恋の相手になれたかもしれないのに、その初めての座を執事に取られてしまったのだから。だが、真緋瑠の心の傷はだいぶ塞がっていた。ちょっと悔しいが、親友の初恋を素直に嬉しいと思う。
「で、何かアクション起こしましたの?」
「アクションなんて、そんな……。ただ、ちょっと好きになっただけで、いつも通りですわ」
ああ~~~と、脱力する夕月と真緋瑠。仕方あるまい。初恋とは得てしてそんなものだ。
「じゃあ、クリスマスにデートしなくちゃ!姫様権限で、ギンモクセイさんに命令すんの!『このワタクシとデートなさいギンモクセイ!』って!」
「やですわ夕月ちゃん、葵さんはそんなキャラではなくてよ。あ、そう言えば名前が変わってから女王様キャラが付いたんでしたわね。うふふ。葵さんやりそう!」
葵は今年の夏の自分の黒歴史を弄られて、頬を膨らませた。
「ちょっとー!あれはまだ私が不安定だっただけで!今はそんなことありませんわ!」
「でもいいじゃん!クリスマスにデートして貰いなよ!相手は大人だから、きっとロマンチックな夜になるよ!」
そう言われると、想像してしまう。ギンモクセイと手をつないで、イルミネーションに彩られた街を歩いて、高級レストランで、美味しい食事をして……。
「そ、そうかしら……。試してみようかしら」
その日の夜、帰宅した葵の前に、いつものように膝を折るギンモクセイ。そこへ、葵は彼に命令を下した。
「ギンモクセイ。クリスマスイブの夜、私とショッピングに付き合っていただきますよ。車を出しなさい」
「?はい、畏まりました。他のお供は御入用ですか?」
「ギンモクセイだけでよいです。私と二人で歩いていただきます」
「畏まりました」
言ってしまってから、葵は「もしかしたらもっと可愛くおねだりした方がよかったかしら」と後悔した。
「その後どうですの夕月ちゃん。進展は?クリスマスにはキスぐらいなさいなさいな」
「ブッ!!キス?!あり得ないって!まだそんなじゃないもん!!」
葵と真緋瑠に散々いじられた夕月は、葵に反撃した。
「葵はギンモクセイさんとその後どうなったの?なんもないの?」
葵は痛いところを突かれた。本当はギンモクセイのことが好きで好きでたまらなくなっていた。
「実は……」
『うん、うん』
「私、あれから妙に意識しちゃって……。ギンモクセイのことが本当に好きになってしまいましたの」
「ひゃー!!葵が初恋した!!おめでとう!!」
真緋瑠は複雑な気持ちだ。うまくいけば自分が初恋の相手になれたかもしれないのに、その初めての座を執事に取られてしまったのだから。だが、真緋瑠の心の傷はだいぶ塞がっていた。ちょっと悔しいが、親友の初恋を素直に嬉しいと思う。
「で、何かアクション起こしましたの?」
「アクションなんて、そんな……。ただ、ちょっと好きになっただけで、いつも通りですわ」
ああ~~~と、脱力する夕月と真緋瑠。仕方あるまい。初恋とは得てしてそんなものだ。
「じゃあ、クリスマスにデートしなくちゃ!姫様権限で、ギンモクセイさんに命令すんの!『このワタクシとデートなさいギンモクセイ!』って!」
「やですわ夕月ちゃん、葵さんはそんなキャラではなくてよ。あ、そう言えば名前が変わってから女王様キャラが付いたんでしたわね。うふふ。葵さんやりそう!」
葵は今年の夏の自分の黒歴史を弄られて、頬を膨らませた。
「ちょっとー!あれはまだ私が不安定だっただけで!今はそんなことありませんわ!」
「でもいいじゃん!クリスマスにデートして貰いなよ!相手は大人だから、きっとロマンチックな夜になるよ!」
そう言われると、想像してしまう。ギンモクセイと手をつないで、イルミネーションに彩られた街を歩いて、高級レストランで、美味しい食事をして……。
「そ、そうかしら……。試してみようかしら」
その日の夜、帰宅した葵の前に、いつものように膝を折るギンモクセイ。そこへ、葵は彼に命令を下した。
「ギンモクセイ。クリスマスイブの夜、私とショッピングに付き合っていただきますよ。車を出しなさい」
「?はい、畏まりました。他のお供は御入用ですか?」
「ギンモクセイだけでよいです。私と二人で歩いていただきます」
「畏まりました」
言ってしまってから、葵は「もしかしたらもっと可愛くおねだりした方がよかったかしら」と後悔した。