第二十二話 学校と再会とお宝探し

 冒険者レンタル事業が打ち切りになったロゼッタは、暇を持て余していた。
 毎日アントンに仕事のかたわら勉強を教えてもらっているが、それも飽きた。ロゼッタは、あんなに嫌がっていた学校にまた通いたいなと思うようになっていた。思い返してみれば、勉強は難しいが、学校には勉強以外にも楽しいことが沢山あったような気がする。給食とか、体育とか、音楽とか。
 ロゼッタはジェイクに学校に通わせてもらえないか打診してみることにした。
「ねえジェイク、あたし学校に行きたい」
「学校?お前、学校はあんなに嫌がっていたじゃねえか」
「アントンに教えてもらってだいぶ勉強分かるようになったの。今なら授業ついていけるような気がする」
「学校……ねえ……。この街の学校あたってみるけど、入れるかどうかはわかんねえぞ?」
「やったあ!ありがとうジェイク!」
 そしてジェイクは街の小学校に打診し、編入手続きを済ませた。しかし、今はちょうど長期の夏季休暇だった。学校に通えるのはあと二週間後となる。それまでに勉強しておいてほしいということで、ロゼッタには大量の宿題が手渡された。
「こんなにできないよーー!!」
「ロゼッタ、僕も手伝うから、学校についていくために頑張ろう?」
アントンは「これは忙しくなりそうだ」と覚悟を決めた。

 そして待ちに待った新学期。宿題を何とか間に合わせたロゼッタが大量の宿題と教科書をリュックサックに詰めて登校すると、担任の教師から自己紹介を勧められた。
「ろ、ロゼッタ・ウェイドッターです。仲良くしてください」
 ロゼッタが偽名のロゼッタを名乗ることに一抹の罪悪感を抱えながら挨拶すると、教室から拍手が起こった。
「席は後ろの窓際に用意しているわ」
 担任の犬族の女教師に促され、ロゼッタは指定の席に座った。隣の席は――なんと、一緒に冒険した妖精族の鍵屋、ヨッケだった。
「あーーーー!あなた、あの時の!ヨッケ!」
 ヨッケは頭を抱えた。よりによって会いたかったような会いたくなかったような少女が同じ学校の隣の席とは。
「よ、よろしく」
 ヨッケは目を合わせずに手で挨拶して済ませた。
「偶然だね!これからよろしくね!」
 ロゼッタは顔見知りがクラスにいることを素直に喜んだ。誰もいないよりは、一人でも味方がいれば安心だ。
「楽しくなりそう!」
 ロゼッタはこれからの学校生活を想って、期待に胸を膨らませた。
1/3ページ
スキ