第六話 ロゼッタは天性のブースター
夢が正夢ではないかと確かめたくてたまらない人物はロゼッタだけではない。アントンも確かめたくてたまらなかった。アントンはロゼッタが眠りについた夜更け過ぎに、ジェイクに思い切って告白して、夢か正夢か確かめようと考えた。
「ジェイク、話があるんですが」
「ん?何だ?」
「実は僕も、ロゼッタのように、正夢じゃないかというような不思議な夢を見たんです」
「ほう、どんな?」
アントンの胸がギュッと痛んだ。これを話してもいいものかどうか、確かめたい気持ちと、ブレーキをかけようとする自分が戦う。
「あ、貴方のことが……好きになる夢です」
ジェイクはぎくりとした。夢の中でロゼッタが言った「その気持ちは恋じゃないの?」というセリフが蘇る。だが、なぜアントンから話されるのだろう?正夢というなら、ジェイクがアントンに恋をする夢のほうが正夢になるのではないだろうか。それなのに、アントンは彼がジェイクを好きになる夢だという。逆ではないのだろうか?一体これは?
「へ、へえー」
「そして、僕は確信したんです」
「何を?」
アントンは大きく深呼吸し、決意を固めた。
「僕は、貴方のことが好きです。ジェイク」
「ええええええええ?!」
ジェイクは焦った。それは困る。大変に困る。
「なんでまたそんなことになるんだよ?!夢だぜ、所詮?」
「いえ、僕はもう、はっきりわかりました。僕は、貴方を、恋人として好きだと」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待て」
ジェイクは耳を後ろに伏せてアントンを手で制す。とりあえず落ち着いてほしい。
「あのな、言いにくいんだけど、俺、他に好きな人いるからさ、その気持ちには応えられないな」
「誰です?」
「は……花屋の、あの、大通りの花屋あるだろ、あそこで働いてる、黒猫族の……モモが好きなんだ」
アントンは街に出た時のことを思い返す。確か、ジェイクはよく花屋の黒い猫族の女性に声をかけていた。モフモフの長毛の猫族。彼女か。
「ああ、なんとなく察していましたが、そうだったんですね」
「だから、その、お前の気持ちは受け取れない」
アントンは意外に落ち着いていた。断られるのは想定の範囲内だ。
「いいですよ。すぐには僕のことを好きにならなくても」
「へ?いいの?」
ジェイクの脳裏でアントンが愛想を尽かせて立ち去るシーンがリフレインする。これが原因ではないかと考えると恐ろしい。
「ゆっくり、時間をかけて僕のことをいずれ好きになってもらえれば、僕はそれで」
「ジェイク、話があるんですが」
「ん?何だ?」
「実は僕も、ロゼッタのように、正夢じゃないかというような不思議な夢を見たんです」
「ほう、どんな?」
アントンの胸がギュッと痛んだ。これを話してもいいものかどうか、確かめたい気持ちと、ブレーキをかけようとする自分が戦う。
「あ、貴方のことが……好きになる夢です」
ジェイクはぎくりとした。夢の中でロゼッタが言った「その気持ちは恋じゃないの?」というセリフが蘇る。だが、なぜアントンから話されるのだろう?正夢というなら、ジェイクがアントンに恋をする夢のほうが正夢になるのではないだろうか。それなのに、アントンは彼がジェイクを好きになる夢だという。逆ではないのだろうか?一体これは?
「へ、へえー」
「そして、僕は確信したんです」
「何を?」
アントンは大きく深呼吸し、決意を固めた。
「僕は、貴方のことが好きです。ジェイク」
「ええええええええ?!」
ジェイクは焦った。それは困る。大変に困る。
「なんでまたそんなことになるんだよ?!夢だぜ、所詮?」
「いえ、僕はもう、はっきりわかりました。僕は、貴方を、恋人として好きだと」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待て」
ジェイクは耳を後ろに伏せてアントンを手で制す。とりあえず落ち着いてほしい。
「あのな、言いにくいんだけど、俺、他に好きな人いるからさ、その気持ちには応えられないな」
「誰です?」
「は……花屋の、あの、大通りの花屋あるだろ、あそこで働いてる、黒猫族の……モモが好きなんだ」
アントンは街に出た時のことを思い返す。確か、ジェイクはよく花屋の黒い猫族の女性に声をかけていた。モフモフの長毛の猫族。彼女か。
「ああ、なんとなく察していましたが、そうだったんですね」
「だから、その、お前の気持ちは受け取れない」
アントンは意外に落ち着いていた。断られるのは想定の範囲内だ。
「いいですよ。すぐには僕のことを好きにならなくても」
「へ?いいの?」
ジェイクの脳裏でアントンが愛想を尽かせて立ち去るシーンがリフレインする。これが原因ではないかと考えると恐ろしい。
「ゆっくり、時間をかけて僕のことをいずれ好きになってもらえれば、僕はそれで」