第八話 男性恐怖症克服プログラム
「さて、それじゃ、飯食ったらいよいよ男性恐怖症克服プログラムだな!」
ヴィクトールがファティマの治療のために意気込む。ファティマは恐る恐るその内容について質問した。
「具体的には何するの?」
「まずは、そうだな。この広すぎるソーシャルディスタンスを徐々に縮めていこうぜ。不便で仕方ねえよ。距離に慣れたらソーシャルディスタンスを半歩ずつ縮めて、徐々に至近距離でも平気になってもらう」
ヴィクトールの説明に、「まあ、妥当なやり方ね……」と、理解を示すファティマ。夕食を摂り終わったら、いよいよスタートだ。
「まず今のソーシャルディスタンスはこのくらいか?この距離は大丈夫?」
「大丈夫よ」
ヴィクトールとエンリーケが半歩距離を詰める。
「まだ大丈夫」
また半歩。そこでファティマが警告を出した。
「この距離からちょっと怖い」
「でもまだ手を伸ばしても触れないぜ?」
「そ、そうね。もう半歩行けるかな……」
また半歩。指先が掠る距離になった。
「あ、無理!怖い!」
「じゃあこの距離で3日暮らしてみよう。3日この距離を維持したら、また半歩詰めて負荷をかける」
「ええ……?わかった。頑張る」
「じゃあ今日の練習はここまでだな。自由にしていいぞ」
ファティマは弾かれたように自分の縄張りであるソファーの上に退避した。
「ああ、心臓に悪かった……」
翌日、距離を詰めて生活することに慣れ始めたファティマが、ふと男二人に問いかける。
「ねえ?あんたたち、ホントにあたしに手を出す気はないの?」
「手ぇ出されたいのか?」
「違っが!!本当にあんたたちは安全なのか聞いてるの」
ヴィクトールとエンリーケは顔を見合わせる。エンリーケはファティマに興味がないので、素直にその意思を示した。
「俺は……お前には興味ねえし……。手ぇ出そうとはこれっぽっちも思わねえよ?」
「ヴィクトール、あんたは?」
ヴィクトールはかねてから言いたかったことを主張した。
「俺も全然手ぇ出したいとは思わねえなあ……。つーかさ、男だって女ならだれでもいいってわけじゃないんだぜ?好みってのがあるし。ブスは触りたくねーし、可愛すぎても気後れして手なんか出せねーよ」
「普通レベルの子は?」
「それも……好みによるなあ。まあ、男の中には女ならだれでもいいって考える男がいないわけではない。でも、そういう奴って男全体のイメージを悪くするから、男にとっても迷惑な存在なんだぜ?」
エンリーケは同意した。
「一緒にされたくねえよな」
「なあ?一緒にすんなって感じだよな」
ファティマはそれを聞いて目から鱗が落ちた。男がそんなことを考えているとは思いもよらなかったからだ。
「へえ……。そんなことを考える男もいるのね」
ヴィクトールがファティマの治療のために意気込む。ファティマは恐る恐るその内容について質問した。
「具体的には何するの?」
「まずは、そうだな。この広すぎるソーシャルディスタンスを徐々に縮めていこうぜ。不便で仕方ねえよ。距離に慣れたらソーシャルディスタンスを半歩ずつ縮めて、徐々に至近距離でも平気になってもらう」
ヴィクトールの説明に、「まあ、妥当なやり方ね……」と、理解を示すファティマ。夕食を摂り終わったら、いよいよスタートだ。
「まず今のソーシャルディスタンスはこのくらいか?この距離は大丈夫?」
「大丈夫よ」
ヴィクトールとエンリーケが半歩距離を詰める。
「まだ大丈夫」
また半歩。そこでファティマが警告を出した。
「この距離からちょっと怖い」
「でもまだ手を伸ばしても触れないぜ?」
「そ、そうね。もう半歩行けるかな……」
また半歩。指先が掠る距離になった。
「あ、無理!怖い!」
「じゃあこの距離で3日暮らしてみよう。3日この距離を維持したら、また半歩詰めて負荷をかける」
「ええ……?わかった。頑張る」
「じゃあ今日の練習はここまでだな。自由にしていいぞ」
ファティマは弾かれたように自分の縄張りであるソファーの上に退避した。
「ああ、心臓に悪かった……」
翌日、距離を詰めて生活することに慣れ始めたファティマが、ふと男二人に問いかける。
「ねえ?あんたたち、ホントにあたしに手を出す気はないの?」
「手ぇ出されたいのか?」
「違っが!!本当にあんたたちは安全なのか聞いてるの」
ヴィクトールとエンリーケは顔を見合わせる。エンリーケはファティマに興味がないので、素直にその意思を示した。
「俺は……お前には興味ねえし……。手ぇ出そうとはこれっぽっちも思わねえよ?」
「ヴィクトール、あんたは?」
ヴィクトールはかねてから言いたかったことを主張した。
「俺も全然手ぇ出したいとは思わねえなあ……。つーかさ、男だって女ならだれでもいいってわけじゃないんだぜ?好みってのがあるし。ブスは触りたくねーし、可愛すぎても気後れして手なんか出せねーよ」
「普通レベルの子は?」
「それも……好みによるなあ。まあ、男の中には女ならだれでもいいって考える男がいないわけではない。でも、そういう奴って男全体のイメージを悪くするから、男にとっても迷惑な存在なんだぜ?」
エンリーケは同意した。
「一緒にされたくねえよな」
「なあ?一緒にすんなって感じだよな」
ファティマはそれを聞いて目から鱗が落ちた。男がそんなことを考えているとは思いもよらなかったからだ。
「へえ……。そんなことを考える男もいるのね」