第八幕
魔王は戦士達には手を出しませんでした。なぜかじっと身を守っています。魔法の壁を作り出しているのか、魔王の周りでは青白い火花が散っています。
(私が今手を出してしまっては真犯人は迷宮入りだ……)
戦士達の攻撃は激しいものでした。魔王に挑むだけあってそこにいるのは一流の戦士たちです。何よりライラックの剣さばきには凄まじいものがありました。
ライラックの故郷はケヤキ村で、スミレの故郷のブナ村とは、川を挟んだすぐ隣の村でした。親同士が仲が良く、その関係で幼い頃からスミレの喧嘩友達でした。スミレは何かあるとライラックに喧嘩を売り、その度にライラックを負かしていました。
ライラックはいつかスミレに勝ちたいと剣の腕を磨いていました。
しかし、どうしても勝てません。
そして月日は流れ、彼の耳にも魔王討伐の知らせが入ってきました。
彼はチャンスだと思いました。魔王に勝てれば、スミレへの自慢になりますし、スミレにだって余裕で勝てるでしょう。
だから魔王に負けるわけにはいきませんでした。
本当はそれだけが理由ではなかったのですが……。
スミレがどうしようか迷っていると、「そこまでだ!」と、背後から声がありました。ジギタリスたちです。一同は戦いの手を止めました。
「そこにおわす方は確かに丘の魔王グラジオラス様だ。しかし魔王様は村の失踪事件の犯人ではない」
そういうと、先ほど自分達を囲んでいた魔物の首を投げ捨ててみせました。
転がった首を見て、アカザが顔を歪めました。
「失踪事件の犯人はこの村の中に居る!村人に成り済ました魔物が、魔王様に罪を着せているのだ!さあ、正体を現すがいい!」
戦士たちは「そんなバカな」と、唖然としてきょろきょろするばかりです。そして村人たちの反応を見守りましたが、村人たちは険しい目つきでジギタリスたちを睨んでいました。
「あっさりやられおって…使えないやつらめ」
村長がにやりと笑いました。
「いかにも、村人を食っていたのは儂らよ」
戦士たちは驚きました。
「昔から我々はこの村にやってきた旅人や、近隣の町や村から人間を食らって生きてきた。それなのに、丘の古城に魔王何ぞがやってきては、我々の食い扶持が減ってしまう。我々はあんたらが邪魔だった!だから村人を少しばかり犠牲にして、魔王討伐の知らせをバラまいたのよ!」
そして、村人は次々にその正体を現しました。体から獣のような毛が生え、熊手のような爪が生え、頭からは角が生えました。
村長の姿は村人とは異なり、背丈も体格も段違いに大きく、体中鱗で覆われ、長いしっぽと鋭い角が生えていました。真犯人のボスは村長だったのです。
「人間共もろとも喰らい尽くしてくれるわ!」
(私が今手を出してしまっては真犯人は迷宮入りだ……)
戦士達の攻撃は激しいものでした。魔王に挑むだけあってそこにいるのは一流の戦士たちです。何よりライラックの剣さばきには凄まじいものがありました。
ライラックの故郷はケヤキ村で、スミレの故郷のブナ村とは、川を挟んだすぐ隣の村でした。親同士が仲が良く、その関係で幼い頃からスミレの喧嘩友達でした。スミレは何かあるとライラックに喧嘩を売り、その度にライラックを負かしていました。
ライラックはいつかスミレに勝ちたいと剣の腕を磨いていました。
しかし、どうしても勝てません。
そして月日は流れ、彼の耳にも魔王討伐の知らせが入ってきました。
彼はチャンスだと思いました。魔王に勝てれば、スミレへの自慢になりますし、スミレにだって余裕で勝てるでしょう。
だから魔王に負けるわけにはいきませんでした。
本当はそれだけが理由ではなかったのですが……。
スミレがどうしようか迷っていると、「そこまでだ!」と、背後から声がありました。ジギタリスたちです。一同は戦いの手を止めました。
「そこにおわす方は確かに丘の魔王グラジオラス様だ。しかし魔王様は村の失踪事件の犯人ではない」
そういうと、先ほど自分達を囲んでいた魔物の首を投げ捨ててみせました。
転がった首を見て、アカザが顔を歪めました。
「失踪事件の犯人はこの村の中に居る!村人に成り済ました魔物が、魔王様に罪を着せているのだ!さあ、正体を現すがいい!」
戦士たちは「そんなバカな」と、唖然としてきょろきょろするばかりです。そして村人たちの反応を見守りましたが、村人たちは険しい目つきでジギタリスたちを睨んでいました。
「あっさりやられおって…使えないやつらめ」
村長がにやりと笑いました。
「いかにも、村人を食っていたのは儂らよ」
戦士たちは驚きました。
「昔から我々はこの村にやってきた旅人や、近隣の町や村から人間を食らって生きてきた。それなのに、丘の古城に魔王何ぞがやってきては、我々の食い扶持が減ってしまう。我々はあんたらが邪魔だった!だから村人を少しばかり犠牲にして、魔王討伐の知らせをバラまいたのよ!」
そして、村人は次々にその正体を現しました。体から獣のような毛が生え、熊手のような爪が生え、頭からは角が生えました。
村長の姿は村人とは異なり、背丈も体格も段違いに大きく、体中鱗で覆われ、長いしっぽと鋭い角が生えていました。真犯人のボスは村長だったのです。
「人間共もろとも喰らい尽くしてくれるわ!」