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2月15日A.M.0:00
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クーリエ
旦那様、お誕生日おめでとうございます!
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横目で時計を睨みつつ日付が変わるのと同時に端末を操作した。
ややあって既読となる。
クーリエはそれを確認して安堵の息をついた。 -
シルバーアッシュ
ありがとう
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シルバーアッシュ
お前はいつも日付が変わるとともにメッセージを送ってくるな
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シルバーアッシュ
誕生日など生まれた日でしかないのに
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クーリエ
あなたが生まれていなかったらきっと僕は既にこの世にはいませんから
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クーリエ
一年で一番特別な日ですよ
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クーリエ
少なくとも僕にとっては
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シルバーアッシュ
大袈裟だな
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シルバーアッシュ
もしかしたら他の者がお前を助けたかもしれないだろう
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シルバーアッシュ
だが運命とは不思議なものだな
あの小さな子供が大人になってもなお私の側にいるなど思いもしなかった -
クーリエ
そうですね
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あなたに付き従うことは、もうずいぶんと遠いあの日に決めてしまったことだと告げたら驚くだろうか。
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シルバーアッシュ
ところで
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シルバーアッシュ
いつまでこれでやりとりをする必要がある?
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何と答えようか迷っていると、端末を取り上げられた。
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「今一緒に過ごしているというのにまどろっこしいことを」
シルバーアッシュは二人分の端末をサイドテーブルに置くと、クーリエをソファーに押し倒す。
「直接祝ってはくれぬのか?」 -
いつ消えてしまうかもしれないこの命だから。
感情の痕跡を残したいと願うのはわがままだろうか。 -
そして彼の誕生日はまだ23時間以上も残っているのだ。
「お誕生日おめでとうございます、エンシオディス様。これから存分にお祝いさせていただきますよ」
クーリエは満面の笑みを浮かべ、そして意味ありげに片目を閉じた。
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