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web拍手お礼小話

◆ユリルクで甘々。
◆「やさしさで溢れるように」設定。




既に深夜と呼べる時刻。
ユーリは薄暗い廊下を歩きながら自然と出る欠伸を噛みしめる。
今日は遠い場所でのクエストがあったため、帰りがこんな時間になってしまった。
つい先ほど風呂に入って汚れは洗い流したが、軽く浴びた程度の為疲れまでは取ることが出来ていない。

まぁ、疲れは部屋に戻れば取れるしな

ふと脳裏を過るあの笑顔に、自然と笑みが零れ、疲れを見せない軽い足取りで自室へ戻った。




夜も遅いため、ノックもせずにそっと扉を開けると部屋には仄かに明かりがついていて、その明かりの方に目を向けると、机に向かい突っ伏すように腕を枕にし眠るルーの姿があった。
ユーリは足音を殺して静かに近づく。
ルーの顔を覗き込むと、あどけない寝顔で気持ち良さそうにすやすやと眠っていて、ユーリは僅かに張っていた気がすっと解される。
ふっと笑みが零れ、ユーリは誘われるようにそっとルーの唇にキスをする。
すると、ルーはピクリと反応し、ゆっくりと目を覚ます。

「ん…、ユーリ…?」

体を起こし、眠気眼でユーリの方を見る。

「ただいま、ルー」

ふわふわの髪を撫でてそういうと、ルーは嬉しそうにふにゃりと笑う。

「おかえり」

まだ眠気が残り寝ぼけたような呂律のルーは、手の甲でごしごしと目をこする。
ユーリはそっとルーの手を取りやめさせると、ぽんぽんと頭を撫でる。

「無理に起きなくていいぞ」
「ん…」

こくりと素直に頷くルーにユーリは笑みを浮かべるとその膝裏に腕を入れ持ち上げる。
横抱きの状態でルーをベッドへと向かう。
その間、ルーはウトウトとしながらも甘えるようにユーリにすり寄ってくる。
完全無防備なルーの姿にユーリは思わず笑みが零れた。

普段から仲間たちの前でも無邪気さを見せるルーだが、ここまで気を許した姿を見せることも、甘えん坊な所も見せることはない。
2人きりの時だけに見せる自分だけの特権に、とても満たされた気分になる。

そういう柄じゃねぇんだけどな

これまで他人と自分を比較することなど、ほとんど縁がなかったユーリとしてはその心境の変化に軽く驚いたりもするが、こればかりは仕方がない。
そんなことを考えながらルーをベッドの上にそっと降ろす。
すると服がくいっと引っ張られるのを感じ、見るととろんとした表情で眠気と闘いながら見つめてくるルーと目が合う。
これが恥ずかしがり屋なルーが傍にいてほしい時にする精いっぱいのおねだりのアピール。
ユーリは押し寄せてくる気持ちを表すように何度も触れる程度のキスを送る。
徐々に深くなっていくそれにルーも応えようと懸命に舌を絡める。
暫く堪能しゆっくりと離すと、息を乱し力が抜けたルーはくったりとした様子を見せる。
無防備で色香を放つその姿に思わず体が反応するが、無自覚なルーはユーリに向かって腕を伸ばし、そのままぎゅっと抱き着く。
その可愛らしさにやられそうになるが、なんとか理性を総動員したユーリは応えるようにベッドに乗り上げ、ルーの隣に寝転ぶ。
すると、傍にいるユーリに気を良くしたのか、ルーは嬉しそうに笑うとユーリの胸元に顔を埋め、すんすんと香りを嗅ぐ。

「ん…ユーリ、いい香りだぁ」

いや、お前の方がいい香りなんだが。

にこにこ笑顔で呟かれた言葉にユーリは盛大に心の中でツッコミを入れる。
ルーは思ったことを言っているだけだというのは理解しているつもりだが、それでも試されているのではと本気で思う。
ユーリは気持ちを紛らわすためにルーの頭を撫でると、楽し気に小さく笑う声が聞こえてくる。
暫くいちゃいちゃしていた二人だったが、徐々にルーがうとうととし始める。
だが、ルーは重たい瞼を開けようとしていて、ユーリはぽんぽんと背中を撫でる。

「ルー、眠いなら寝たらどうだ?」
「んー…、らいじょうぶ…」

どう見ても大丈夫には見えない。
必死に睡魔と闘っている姿を見守っていると、ルーは小さな声で何かを呟いている。
なんだろうと耳を澄ませて聞いてみると、それは思いもよらぬ内容だった。

「…ユーリと、もっと、一緒にいたいんだ…」

ユーリは大きく目を瞬かせ、ばっとルーを見るとルーは既に夢の中にいるようですーすーと寝息を立てていた。
しんと静まり返った部屋で、普段の涼しい顔とは程遠いほどに顔を真っ赤にさせたユーリは呆然とその寝顔を見つめ続けた。


翌日、クエストをキャンセルし、ルーをベッタベタに甘やかすユーリの姿があった。



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