【続サクラ花火 其ノ十八】とある俊輔の昔話
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ー…ガヤガヤ
「お!!朝倉のせがれじゃねえか!!今帰りか?」
夕暮れ時の商店街で、帰宅途中の親瑛に八百屋の店主が声をかけた。
「ああ。あ、そーだ大根無いんだったわ。じいちゃんこの大根まけて。五円足んねえ。」
「はいよ、にしても相変わらず大根買って帰る姿が似合わねえなぁ。」
「ほっとけ。」
「じゃあこれ、林檎もおまけに付けといてやるから侑と分けな。」
「侑?」
不思議そうな顔をする親瑛が後ろを振り返ると、同じく下校途中の侑が立っていた。
「ありがと~じいちゃん!!みんな林檎好きだから助かるよ。」
「なんでお前がいんだよ。」
「何でって家が隣なんだからしょうがないでしょ。」
怪訝そうな顔で貰った林檎をかじると、親瑛と侑は家の方へと続く裏道へと入って行った。
―…ガシャーン!!!!!!!
「?」
「あれ…?俊輔じゃない?」
路地裏から聞こえた音の方に二人が向かうと、そこには中学生と高校生らしい男達が集まっていた。
「俺の財布…かっ…返せ!!」
「二千円ってしけてやがるなぁ…総理大臣の血筋が聞いて呆れるわ。」
「まあいいだろ、明日は倍額持っとけよな。」
「じゃーなーお坊っちゃん。」
「…!!!!」
―…バキッ!!ゴス!!ガシャーン…カランカラン…
「…!?」
振り上げられた拳に思わず目をつぶった俊輔が恐る恐る目を開けると、目の前にいた少年は俊輔の前から消えていた。
「ほらよ、俊輔。」
「親…瑛さん…侑さん…。」
渡された財布を受け取ると、倒れた男達を横目に俊輔は立ち上がった。
「カツアゲなんてされてんじゃねーよ、だっせーな。」
「親瑛みたいに手ぇあげてばっかの奴よりましだよ。大丈夫?俊輔。」
「俺があげたのは足だ足!!残ー念だったなあ!!」
「はいはい。俊輔は傷の手当てしてあげるからうちの病院寄って。」
「うう…申し訳ないッス…ありがとうございます…!!」
..........................
ー…グッ…-
俊輔を連れて立ち去る親瑛の後姿を睨みながら、蹴り飛ばされた少年達はゆっくり立ち上がった。
「っ…!!あの刺青…朝倉親瑛…!!ぜってえ許さねぇ…!!」
そしてこの出来事が、後にある事件を引き起こすこととなったのであった…。