【続サクラ花火 其ノ十一】分かって欲しい気持ち
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―…ガチャン
「誰からです?」
『し…親瑛さんから…お腹減ったから早く帰って来いって…。』
―…イラッ
桜の口から出た親瑛の言葉に、侑はあからさまに嫌そうな顔をした。
「子供じゃあるまいし何か勝手に食べればいいじゃないですかねえ。」
(…うっ…怒ってる…。)
「…せっかく桜さんとご飯でも行こうと思ったんですけど…仕方ないですね…あんのクソ坊主め…」
『も…ももも申し訳ありません……。』
(なんか言った!!最後何か言った~!!)
青ざめた顔で謝る桜にデコピンすると、侑は荷物を持って立ち上がった。
「送りますよ。その代わりご飯、俺の分も作ってくれます?」
『は…はいっ!!もちろんですっ!!』
桜の必死な返事に侑は頬を緩めると、病院の電気を消し車にエンジンをかけた。
.......................
―…ブロロロ
『…。』
(…スカートはいてくるんじゃなかった。)
侑の車は車高が高くスカートの女子にはかなり乗りづらい。
助手席に乗ろうとした桜は、一人悪戦苦闘していた。
「桜さん、はい。」
『え…。』
車に乗れず苦戦する桜に、運転席から煙草をくわえた侑が少し笑いながら手を伸ばした。
―…ぐいっ
「はい…っと。」
『わわっ!!あ…ありがとうございますっ…!!』
片腕で桜を軽く引っ張りあげると、侑は扉を閉め車を走らせた。
「乗りづらい車ですみません…。」
『いえ…!!こちらこそお手数かけました…!!』
申し訳なさそうにする侑に、桜は赤らめた顔で必死にお礼を言った。
「女の人乗せると大概みんな乗りにくそうなので…何かいい加減申し訳なくなってきました。あ、でも親瑛の車乗ってるよりはマシだと思います。」
『…親瑛さんの…車ですか?』
「あいつの車乗ってたら、しょっちゅう警察に職質されますよ。ベンツに金属バットのせててあの刺青ですからね~。」
『はっ…確かにされたことあります!!』
「でしょ~!!」
そう言って笑った侑に桜も笑顔を作った。
だが桜の心は侑がさっき言った何気ない一言にひっかかっていた。
(”女の人…みんな”って誰なんだろ…。)
ー…ドクンッ
「…桜さん?」
『え?あ、いや!!何でも…無いです…!!』
(そうだよね…侑さんはみんなに優しいんだもん。私だけ…なんてどうして思ったんだろ…。)
「…。」
桜はまだドキドキしている胸を抑え、ぎゅっと自分の手を握りしめた。
そして、寺までのいつもの帰り道の景色を
少し高い座席からぼんやり眺めていた。