【続サクラ花火 其ノ十一】分かって欲しい気持ち
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「桜ちゃん、まさか侑ちゃんと付き合っとるんじゃなかろうね~?」
「付き合ってませんよ。」
「本当~???」
「本当ですよ。」
侑の病院で受付をしているとしょっちゅう患者さん達とするやりとり。
桜にとってはほぼもう日課のような会話のやりとりだった。
「皆さん侑さんの事大好きなんですね…。」
「当たり前よ~侑ちゃんは私らのアイドルだから!!」
「30目前の男つかまえて何言ってるんですか…。」
『侑さん!!』
診察室からひょっこり顔を出した侑が溜め息をつきながら言った。
「アイドルどころか俺もうおっさんですからね。はい、桜さんカルテ。」
『あ、はいっ!!つ…次の方どうぞ~!!』
―…バタバタ……
桜達の住むこの地域には病院が少なく、侑の病院は連日多くの患者さんで溢れていた。
しかし侑は桜以外は誰も雇わず、桜の来ない日は一人で全ての業務をこなしていた。
―…ガラッ
『侑さん、今日の診察おしまいです。』
「分かりました!!ありがとうございます。」
桜にそう言って笑うと、侑は眠たそうに背伸びをした。
『侑さん…大丈夫ですか…?』
「全然大丈夫ですよ!!後は俺やりますので、桜さんは先に上がってもいいですよ?」
侑の気遣いに桜は首を横に振った。
『いえ、お手伝いします!!』
いつも侑は一人で夜遅くまでカルテの整理などの仕事をしていた。
いつもそのせいで侑が寝不足になっているのを知っていた桜は、
侑の横に座りカルテの整理を始めたのだった。
.....................
ー…トントン
『お…わった~!!』
「ですねっ!!桜さんのお陰で早く終わって助かりました…!!」
侑の言葉に桜は嬉しそうにニッと笑った。
『侑さん看護婦さんは雇わないんですか?こんなに忙しいのに全部一人で…』
「んー…でもまあ事足りてるって言えば足りてますしね~…」
『でも…一人の時、大変じゃないですか?』
桜が尋ねると、侑はパソコンのモニターに目線を落としながらボソッと答えた。
「…桜さんと二人がいいってのは俺のワガママですかね。」
『侑…さ…』
―…リリリリリリ………
『え…電話…?は、はいっ…才原医院です!!』
「……。」
侑の思わぬ一言に動揺しながら、桜は病院の受話器を握りしめた。