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高校を卒業してから丁度七年目を迎える今夜、社会に出てから初めての同窓会が行われるらしい。主催者の一人が経営する古民家風居酒屋を貸し切って行われるというその会には俺の恋人も出席するようで、皆に引けをとらないようにと半月前からいつにも増して自分磨きに精を出す姿にはよくやるなぁと感心したものだ。
そんな同棲中の彼女からは「陣平くんも来ればいいのに」と毎日のように言われたが、俺が卒業後も会いたいと願った唯一の同級生とはこうして今も会えている訳で。そうなれば他に参加する理由はなく、特に忙しい訳でも無かったが仕事を理由にお断りしたのだった。
休憩中に喫煙室で一服していると、不意に尻のポケットに挿したままだった携帯が二度震えてメールの受信を知らせた。誰からかと開いてみればそれは今頃同窓会を楽しんでいるであろう名前からで、“陣平くんの分まで楽しんでます♪”と書かれたそのメールには数枚の写真が添付されていた。
そこに写る懐かしい顔ぶれに表情筋が緩みそうになるのをグッと堪えながら一枚ずつ見ていくと、最後に開いた一枚の写真に目が釘付けになった。
その写真に写る名前は勿論可愛いのだが、問題はその隣の男だ。
--あれは確か高三の文化祭の最終日だったか。当時クラス内で吉田とかいうこの男が俺の彼女(当時はまだ付き合ってなかったが)を狙っているという噂がまことしやかに囁かれ、あろうことか打ち上げのフィナーレであるキャンプファイヤーの終盤で、皆の前に名前を呼び出し公開告白をしたのだ。
その時はとても良い笑顔で「全然無理ですごめんなさい!」と言い放った名前に小さくガッツポーズをして、萩原と二人全力で拍手を送ったのを今でもよく覚えている…のだが。何故あの時の吉田玉砕太郎が俺の女の腰に手を回し、こんな満面の笑みでツーショットを撮っているのか。
名前の表情からして既にそこそこアルコールが入っているようで、あいつの事だからきっと腰に回された手には気付いてすらいないのだろう。腹の中で嫉妬心がぐるぐると渦を巻き、苛立ちを隠すことなく煙草を灰皿に押し付けるとチッと舌打ちをした。
「あー…この手へし折りてぇ」
今夜は二次会にも参加するつもりだから、と今朝俺の分の夕飯を作りながら楽しげに話していた名前のことを思い出してため息を吐く。
…さっさと仕事切り上げて、迎えに行くとするか。
例の写真のお陰と言うべきか、休憩後も苛立ちを隠さない俺に気を遣った同僚達の頑張りにより、俺は早々に退勤して同窓会の会場へ向かう事が出来ていた。
店の前に車をつけると丁度同級生達が一次会を終えて店から出てきたところで、その中に名前の姿を見つけるとやはりその隣には親しげに肩を並べる吉田の姿があった。ちけぇんだよくそが。
「おい、」
「え、っわあ!…あれ?なんで陣平くんがここにいるの?」
二次会参加組に加わろうとする名前の腕を後ろからぐっと掴むと、嫉妬心からうっかり力加減を誤ってしまったらしく足をふらつかせた名前が勢いのまま俺の胸に飛び込んできて、周りに見せつけるようにしっかりと抱き留める。
目を丸くして俺の顔を見上げる名前から匂うアルコールの香りが予想以上に強い事に気付き、下心見え見えの馬鹿に大人しく飲まされてんじゃねぇよ、と思わず舌打ちが飛び出してしまった。
込み上げてくる苛立ちを抑えながら「仕事が早く終わったから迎えに来た」と唸るように言えばパァッと目を輝かせた名前の可愛さについ先程までの苛立ちが自然と薄れていくのを感じて思わず眉が下がる。彼女の言動一つで仕方ねぇなと思えるようになったのだから俺も丸くなったもんだ。
そうこう考えている間もずっと目の前で固まったままだった吉田を漸く認識して軽く睨みを効かせてやれば、吉田はショックと悔しさの入り混じった情けない顔を浮かべてヒュッと息を飲んだ。追い討ちをかけるように名前の肩を抱きながら軽く手をあげてやれば、慌てて目線を泳がせ始めた吉田にむくむくと優越感が湧き上がってきて小さく笑いが洩れる。
「よぉ吉田、久しぶりじゃねーか。名前が迷惑かけたみてぇで悪かったな」
あ、いや、そんな、全然…と急にしどろもどろになる吉田に見せつけるように名前の肩から手を滑らせて細い腰を抱いてみせると、吉田の後ろから名前の友人達が何事かと顔を覗かせ驚いたように声をあげた。
「え!?ちょっ、待って待って!名前の彼氏ってもしかして松田くんなの!?って事はつまり、さっき名前が言ってた自分には勿体ない位の素敵な彼っt「わーわーわー!ちょっと何言ってるか分かんないなぁー!?さぁさぁ陣平くん、帰りますよー!皆まったねー!」」
慌てて話を遮るように大声をあげた名前の顔はいつの間にか耳まで真っ赤に染まっていて、どうやら自分の居ない所で面白い話がされていたのだと悟った俺は少々可愛いが過ぎる彼女にどうやら今夜は長い夜になりそうだなと心の中で満更でもなく呟いた。
そうとは知らずグイグイと俺の腕を引いて車に押し込もうとする名前にされるがまま、運転席に乗り込む直前にチラッと後ろを振り返ると名前の友人達がそれはいい笑顔で親指を立てて見送ってくれていたものだから今度こそ我慢しきれずにフハッ!と吹き出したのだった。
帰宅するや否や一目散に風呂へ逃げようとする名前を笑顔で制し、ひとまずソファーへ座らせると冷蔵庫から新品の水を出して手渡しその隣へ腰を下ろす。
ありがと、と素直に受け取り水を飲む名前の綺麗に着飾った姿を上から下までじっくり眺めてみると、清楚に纏められた綺麗めなその服装は露出度こそ低かったが、後ろで結い上げた髪の後れ毛に細いうなじ。アルコールで体温が上がって潤んだ瞳に、リップでぷっくりコーティングされた艶っぽい唇とくればそりゃあ男も寄ってくるというものだ。
更に目線を下げていくと華奢な腰に目が止まり、ここにあの野郎の手が触れたのかと思うとまたこみ上げてくる嫉妬心に、消毒の意味を込めてグッと腰を抱き寄せてやる。
「…んで?さっきあいつが言ってた話の続き、聞かせてくれよ」
「…えっ?な、何の話?ちょっと私トイレ…」
「…へぇ?ンならまぁ、ベッドに入ってからゆっっっくり聞かせてもらうとするか」
「あー!うそうそ!話す!話すから!…あの、あのね…」
観念したように全身を俺の方へ向けた名前はせめてもの抵抗とでも言うように真っ赤な顔を両手で覆い、小さな声で恥じらいながら俺への想いを語り始めた。それは俺が思っていたよりも照れ臭いもので、段々と体温が上がっていくのが分かる。最初こそ小さく相槌を打っていたが腹の中に込み上げる嬉しさと照れ臭さが混じり合ってもう辛抱堪らず、名前の顔を覆う手を無理矢理剥がすとその艶っぽい唇にかぶりついた。
「っん…!んぅ、っちょ…じん……っは、んむぅ…!」
アルコールのせいかいつもより熱い口内をたっぷり堪能してから唇を離すと透明な唾液の糸が二人を繋ぎ、それを見せつけるように舌舐めずりで切ってやれば名前の瞳の奥で僅かに欲が色を帯びた。
確か明日はお互い非番だった筈だ。さっき思った通り、今夜は長い夜になりそうだなと口角を上げて、そのまま名前を抱き上げる。きゃ、と小さな悲鳴を漏らしながらもしっかり俺の首に抱きついてきたところをみると、名前も案外乗り気なようで俺の中の雄が頭を擡げ始める。
どさり、ベッドへ下ろした細いな体に覆い被さると、熱を孕み潤んだ瞳に視線を奪われた。求めるように首へ腕を回してぐい、と顔を引き寄せられては下半身に熱が集中するのを感じながら、その赤い耳元へ唇を寄せたのだった。
「今度は俺がお前の事どれだけ想ってるか、たっぷり教えてやるから覚悟しろよ」
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