私を独占する権利を、君に
名前変換
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「ごめん、もう限界…さよなら」
パタン、と音を立ててゆっくりと閉まった扉の前で立ち尽くす。引き止めようと伸ばしかけた右手は空を切り、チッと舌打ちをして後頭部をがしがしと掻いた。扉が閉まる直前、俯いた名前の目に涙が見えた気がした。
押し寄せる後悔にやっぱり追いかけるべきかとスニーカーを履きかけたタイミングで、どうやら火にかけたままだったらしい鍋が噴きこぼれる音がして足を止める。
ーー落ち着け俺、まずは冷静にならねぇと。
そう自分に言い聞かせながら大きな溜息を一つ落として踵を返し、ぐつぐつと噴きこぼれる鍋の蓋を取って火を止めた。今頃名前はどこかで一人泣いているのだろうか。今までにも些細な言い合いから喧嘩に発展する事はあったが、今回ばかりはどう考えても俺が悪い。最後にはいつも笑って許してくれる名前の寛大さに、俺は甘え過ぎていたのだ。
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