Kirby
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今日はこんなところかな。いじっていた土から手を離し、立ち上がってグッと腰を伸ばす。始めたころよりは随分とマシになったが、やっぱりまだ畝の雑さが目立つな……やり直すのも私一人じゃ限界がある。トロンは役に立たないし、弟さんの方にまた機械作り頼もうかな。頼りっぱなしで申し訳ないんだけど。
作業に使った道具を片付け、貸してもらった家に帰る。椅子に座って一息ついたところでコーヒーでも淹れるか、と立ち上がった時にその通信に気づいた。
前の職場の後輩がくれた通信機は通信を受けるとアンテナ付近のライトがピカピカ光る。ナマエさん連絡不精ですから、こちらからこまめに連絡します。面倒がらずにちゃんと出てくださいね!と後輩に口を酸っぱくして言われたのを思い出した。
朝にメイスナイトから通信(といっても他愛もない雑談)があったばかりだが。未だ光っているライトを見つめながら首を傾げる。いくらこまめに連絡すると言っても1日に2回来るのは初めてだな、と少々不思議に思いつつ通話開始のボタンを押し、画面を覗き込む。
「ナマエ!ようやく出たな!連絡が来たらすぐに出ろとあれほど言っているのにきさまときたら全く分かっておらん!これが緊急の用件だったときやメタナイト様からの通信だったときの事を考えているのか!」
「げぇ、誰かと思ったらバルかよ……」
最近掛かってこなかったから完全に油断していた。画面越しなのにツバが飛んでくるかのような迫力の大声の主は元同僚のバルだ。彼がやたらと小言を言うときは心配事があるとき。よくよく通信機をみると不在着信がいくつか来ている。多分私が農作業をしているときにも連絡をくれたのだろう。なかなか出ない私に何かあったのではと心配して疲れたに違いない。心配しているときほど文句しか言えないなんて、コイツも面倒な性格してるよね。
私含め、メタナイツはバルのこの厄介な性質を理解している。理解はしているが、小言がうるさいのは変わりない。
「寂しがりもそのくらいにしろよ。いい加減いい歳だろ、おじさん」
「きさまも同い年だろうが!!」
ここ一番のデカい声で叫ばれた。私の鼓膜が破れたらどうするつもりだろう。
「で?今日は一体なんの用なのさ」
「ああ、そうだった。お前、いい加減ハルバードに帰ってきたらどうなんだ」
「はあ?」
「いつまで拗ねているつもりか知らんが、副艦長のきさまがいつまでも不在ではメタナイツの体裁が保てないではないか」
「……?拗ねてるも何も私はもう辞めたんだから、副艦長の席空けられてもさぁ。アックスとかジャベリンあたりに就かせたらいいのに」
アイツらも昔は結構ムチャしがちだったけど最近は冷静に判断出来るようになったし。
本人たちはナマエさんの代わりなんて恐れ多いです!と言って副艦長の席は未だ空席らしいが、そろそろみんなそれ相応の地位というか役職を与えてもいいんじゃないかと思うんだよな。本人たちのモチベーション向上とスキルアップにさ。
まあもうメタナイツじゃない部外者の私が口を出せる立場じゃないか。
「……待て、きさま。今“辞めた”と言ったか?」
「え?うん。お別れ会もしたじゃん。皆で」
「な、な、な……ワシは知らんぞ!?長めの休暇じゃないのか!」
「えぇ……?」
いくら私に興味がないからって仮にも同期の退職知らないなんて事ある?……ありそうだな、他のメタナイツならともかくバルだし。
今思えば弟子たちから花束だの手書きのメッセージだのプレゼントをもらって感動しているところに水を差してきたのもバルだった。なんかぶつくさ言ってんなと思ったが、アレ私が急にデカい休暇とったと思ったからなのか。
いつもメンテナンスが雑だとかもっと真面目にやれとか、仕事の文句ばっかりだったから、あの時もどうせ私には農業は無理だとか、そういういつもの貶しだと思って全然聞いてなかったな。
「……ワシがお前のおやつのケーキ食べたから拗ねて出ていった訳ではないのか」
「そんな下らない理由で家出みたいなことしないわ。それに私が甘いのそんなに好きじゃないの知ってるでしょ」
どうやら自分のせいで私が出ていったのではないかと思っていたらしい。だったらもっと申し訳なさそうにしろ、と思わないでもないが、バルは私に対していつもこんな感じなのでわざわざ噛みついたりはしない。
ちょっとバツが悪そうにしてるしこれ以上言うのは意地悪だろう。バルは安心したようにため息を吐いた後、今までの騒々しい大声と打って変わって落ち着いた声で私に尋ねた。
「メタナイツに戻る気はないんだな?」
「うん」
「……今戻ればワシのお小遣いでコーヒーゼリーくらいなら買ってやる」
「いいよ、そんな事しなくても。それに後輩たちも十分立派になったし、私はもうお役御免でしょ」
「はぁ。……お前は昔からそういうヤツだったな」
「可能性の種を芽吹かせるのが好きなんだよ」
私はまだまだ成長途中のものを自分の手で育てるのが大好きだ。私がメタナイツに入ったのも当時メタナイツがまだまだ出来たばかりの、それこそメタナイト様とバルくらいしかいないルーキーだったから。マニュアルも何もない状態での仕事は目が回るほど忙しかったが、それ以上に楽しかった。
後輩たちがメキメキ育って私の仕事が無くなってきたな、と思っていたときにバトルキャッスルで評判の悪いトロコロ星の話を聞いた。たくさん野菜がある割にどれもとても食えたものじゃないらしい。およそ伸びしろしかない酷く魅力的なその農場がどうしても気になり私はメタナイツを辞めた。農場改善の作業が楽しすぎるので今のところメタナイツに戻る気はない。
「……死ぬなよナマエ」
「どうした、急に」
全く予想していなかった言葉が聞こえて思わず動揺してしまった。
「いくらメタナイツ副艦長と言ってもお前は女だ。オマケに今はワシらも側に居れん」
「そんな心配しなくてもここは戦いなんかとは無縁の地だよ。周り畑と田んぼぐらいしかないもん」
「だからといって絶対争いに巻き込まれないとは言えんだろう」
おや、バルにしては本当に珍しいことに、素直に心から心配の言葉を口にしているようだ。およそ初めてみる幼馴染の様子に思わず片眉を上げた。
「まさかバルに心配される日がくるとはね。昔は敵うわけない相手に噛みついて結局私に回収されてメタナイト様の足引っ張ってただけのバルが……」
「いい、い、いつの話をしているんだきさまは!!そもそもナマエに邪魔さえされなきゃあんな相手ワシが簡単に捻ってやったわ!」
「嘘つけ。変な見栄張んなよ。ボロボロだったじゃないか」
バルに限らず、メタナイツのメンバーは皆たとえ刺し違えてでもお前だけは倒す……!ってヤツらばっかだったから初期は相手さん方の実力によっては回収が大変だった。ウチの連中妙に血の気が多いの一体何でなの??トップ?トップがアレだから??
昔を思い出して遠い目をしているとバルが大げさに咳払いをした。
「とにかく!何かあったらすぐ連絡するんだぞ!」
「はいはい」
「ちゃんと寝る前に歯を磨けよ!」
「はいはい」
「健康にも気をつけること、特にお前は昔から食事が偏りがちだから……」
「わ〜かったてば!もういい!?」
このままだと小言が一生終わらない。遮るように叫び通信終了のボタンに手を伸ばしたとき、焦ったように「それから!」とバルが叫んだ。
「お前が死んだらワシは悲しい。……じゃあな!」
バルがそう言って通信は切れた。思い出すのはメタナイツ結成当初の戦いだ。
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「はいはい。メタナイト様来たからケガ人は大人しくする」
「離せ!ナマエ!ワシはまだやれる!」
「私相手にロクに抵抗も出来てないくせして何言ってんスか」
「それでもメタナイト様が戦っているのに部下のワシが前線に出なくてどうする!メタナイト様の面子を潰すわけにはいかんのだ!」
「くだらん面子の為にアンタが死んだら私は悲しいよ」
そう言うとバルはぐぅっと押し黙った。敬愛するメタナイト様の面子をくだらん呼ばわりしたことに怒ったのだと当時は解釈して少しギクシャクした気持ちになったのを覚えている。バルを引きずりながら涙を堪えて歩いていた。
だが、今思えば、バルが無茶をすることはなくなったのはあれからだった様な気がする。
もしかしてずっと覚えていたのだろうか。お節介な女の差し出がましい口出しを。
「あぁ〜〜〜!もう!」
なんでだか胸の辺りがむずむずする。気持ち悪いったらありゃしない。口角が上がっているのも顔が熱いのも全部気の所為だ!!
とにかく今日はもう歯を磨いて寝てしまおう。そうして起きたら久々にハルバードにお土産でも用意しようか。特に今回バルに渡す贈り物は少し考えないといけない。一体何が良いだろう。
……どうしよう。バル宛の贈り物を考えるの、過去一楽しいかもしれない。
そうやってナマエが寝る支度をしていた頃、ハルバードでは通信を盗み聞きしていたメタナイツたちに顔の赤さを再三からかわれるバル艦長がいたのだが、それはまた、別の話である。
作業に使った道具を片付け、貸してもらった家に帰る。椅子に座って一息ついたところでコーヒーでも淹れるか、と立ち上がった時にその通信に気づいた。
前の職場の後輩がくれた通信機は通信を受けるとアンテナ付近のライトがピカピカ光る。ナマエさん連絡不精ですから、こちらからこまめに連絡します。面倒がらずにちゃんと出てくださいね!と後輩に口を酸っぱくして言われたのを思い出した。
朝にメイスナイトから通信(といっても他愛もない雑談)があったばかりだが。未だ光っているライトを見つめながら首を傾げる。いくらこまめに連絡すると言っても1日に2回来るのは初めてだな、と少々不思議に思いつつ通話開始のボタンを押し、画面を覗き込む。
「ナマエ!ようやく出たな!連絡が来たらすぐに出ろとあれほど言っているのにきさまときたら全く分かっておらん!これが緊急の用件だったときやメタナイト様からの通信だったときの事を考えているのか!」
「げぇ、誰かと思ったらバルかよ……」
最近掛かってこなかったから完全に油断していた。画面越しなのにツバが飛んでくるかのような迫力の大声の主は元同僚のバルだ。彼がやたらと小言を言うときは心配事があるとき。よくよく通信機をみると不在着信がいくつか来ている。多分私が農作業をしているときにも連絡をくれたのだろう。なかなか出ない私に何かあったのではと心配して疲れたに違いない。心配しているときほど文句しか言えないなんて、コイツも面倒な性格してるよね。
私含め、メタナイツはバルのこの厄介な性質を理解している。理解はしているが、小言がうるさいのは変わりない。
「寂しがりもそのくらいにしろよ。いい加減いい歳だろ、おじさん」
「きさまも同い年だろうが!!」
ここ一番のデカい声で叫ばれた。私の鼓膜が破れたらどうするつもりだろう。
「で?今日は一体なんの用なのさ」
「ああ、そうだった。お前、いい加減ハルバードに帰ってきたらどうなんだ」
「はあ?」
「いつまで拗ねているつもりか知らんが、副艦長のきさまがいつまでも不在ではメタナイツの体裁が保てないではないか」
「……?拗ねてるも何も私はもう辞めたんだから、副艦長の席空けられてもさぁ。アックスとかジャベリンあたりに就かせたらいいのに」
アイツらも昔は結構ムチャしがちだったけど最近は冷静に判断出来るようになったし。
本人たちはナマエさんの代わりなんて恐れ多いです!と言って副艦長の席は未だ空席らしいが、そろそろみんなそれ相応の地位というか役職を与えてもいいんじゃないかと思うんだよな。本人たちのモチベーション向上とスキルアップにさ。
まあもうメタナイツじゃない部外者の私が口を出せる立場じゃないか。
「……待て、きさま。今“辞めた”と言ったか?」
「え?うん。お別れ会もしたじゃん。皆で」
「な、な、な……ワシは知らんぞ!?長めの休暇じゃないのか!」
「えぇ……?」
いくら私に興味がないからって仮にも同期の退職知らないなんて事ある?……ありそうだな、他のメタナイツならともかくバルだし。
今思えば弟子たちから花束だの手書きのメッセージだのプレゼントをもらって感動しているところに水を差してきたのもバルだった。なんかぶつくさ言ってんなと思ったが、アレ私が急にデカい休暇とったと思ったからなのか。
いつもメンテナンスが雑だとかもっと真面目にやれとか、仕事の文句ばっかりだったから、あの時もどうせ私には農業は無理だとか、そういういつもの貶しだと思って全然聞いてなかったな。
「……ワシがお前のおやつのケーキ食べたから拗ねて出ていった訳ではないのか」
「そんな下らない理由で家出みたいなことしないわ。それに私が甘いのそんなに好きじゃないの知ってるでしょ」
どうやら自分のせいで私が出ていったのではないかと思っていたらしい。だったらもっと申し訳なさそうにしろ、と思わないでもないが、バルは私に対していつもこんな感じなのでわざわざ噛みついたりはしない。
ちょっとバツが悪そうにしてるしこれ以上言うのは意地悪だろう。バルは安心したようにため息を吐いた後、今までの騒々しい大声と打って変わって落ち着いた声で私に尋ねた。
「メタナイツに戻る気はないんだな?」
「うん」
「……今戻ればワシのお小遣いでコーヒーゼリーくらいなら買ってやる」
「いいよ、そんな事しなくても。それに後輩たちも十分立派になったし、私はもうお役御免でしょ」
「はぁ。……お前は昔からそういうヤツだったな」
「可能性の種を芽吹かせるのが好きなんだよ」
私はまだまだ成長途中のものを自分の手で育てるのが大好きだ。私がメタナイツに入ったのも当時メタナイツがまだまだ出来たばかりの、それこそメタナイト様とバルくらいしかいないルーキーだったから。マニュアルも何もない状態での仕事は目が回るほど忙しかったが、それ以上に楽しかった。
後輩たちがメキメキ育って私の仕事が無くなってきたな、と思っていたときにバトルキャッスルで評判の悪いトロコロ星の話を聞いた。たくさん野菜がある割にどれもとても食えたものじゃないらしい。およそ伸びしろしかない酷く魅力的なその農場がどうしても気になり私はメタナイツを辞めた。農場改善の作業が楽しすぎるので今のところメタナイツに戻る気はない。
「……死ぬなよナマエ」
「どうした、急に」
全く予想していなかった言葉が聞こえて思わず動揺してしまった。
「いくらメタナイツ副艦長と言ってもお前は女だ。オマケに今はワシらも側に居れん」
「そんな心配しなくてもここは戦いなんかとは無縁の地だよ。周り畑と田んぼぐらいしかないもん」
「だからといって絶対争いに巻き込まれないとは言えんだろう」
おや、バルにしては本当に珍しいことに、素直に心から心配の言葉を口にしているようだ。およそ初めてみる幼馴染の様子に思わず片眉を上げた。
「まさかバルに心配される日がくるとはね。昔は敵うわけない相手に噛みついて結局私に回収されてメタナイト様の足引っ張ってただけのバルが……」
「いい、い、いつの話をしているんだきさまは!!そもそもナマエに邪魔さえされなきゃあんな相手ワシが簡単に捻ってやったわ!」
「嘘つけ。変な見栄張んなよ。ボロボロだったじゃないか」
バルに限らず、メタナイツのメンバーは皆たとえ刺し違えてでもお前だけは倒す……!ってヤツらばっかだったから初期は相手さん方の実力によっては回収が大変だった。ウチの連中妙に血の気が多いの一体何でなの??トップ?トップがアレだから??
昔を思い出して遠い目をしているとバルが大げさに咳払いをした。
「とにかく!何かあったらすぐ連絡するんだぞ!」
「はいはい」
「ちゃんと寝る前に歯を磨けよ!」
「はいはい」
「健康にも気をつけること、特にお前は昔から食事が偏りがちだから……」
「わ〜かったてば!もういい!?」
このままだと小言が一生終わらない。遮るように叫び通信終了のボタンに手を伸ばしたとき、焦ったように「それから!」とバルが叫んだ。
「お前が死んだらワシは悲しい。……じゃあな!」
バルがそう言って通信は切れた。思い出すのはメタナイツ結成当初の戦いだ。
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「はいはい。メタナイト様来たからケガ人は大人しくする」
「離せ!ナマエ!ワシはまだやれる!」
「私相手にロクに抵抗も出来てないくせして何言ってんスか」
「それでもメタナイト様が戦っているのに部下のワシが前線に出なくてどうする!メタナイト様の面子を潰すわけにはいかんのだ!」
「くだらん面子の為にアンタが死んだら私は悲しいよ」
そう言うとバルはぐぅっと押し黙った。敬愛するメタナイト様の面子をくだらん呼ばわりしたことに怒ったのだと当時は解釈して少しギクシャクした気持ちになったのを覚えている。バルを引きずりながら涙を堪えて歩いていた。
だが、今思えば、バルが無茶をすることはなくなったのはあれからだった様な気がする。
もしかしてずっと覚えていたのだろうか。お節介な女の差し出がましい口出しを。
「あぁ〜〜〜!もう!」
なんでだか胸の辺りがむずむずする。気持ち悪いったらありゃしない。口角が上がっているのも顔が熱いのも全部気の所為だ!!
とにかく今日はもう歯を磨いて寝てしまおう。そうして起きたら久々にハルバードにお土産でも用意しようか。特に今回バルに渡す贈り物は少し考えないといけない。一体何が良いだろう。
……どうしよう。バル宛の贈り物を考えるの、過去一楽しいかもしれない。
そうやってナマエが寝る支度をしていた頃、ハルバードでは通信を盗み聞きしていたメタナイツたちに顔の赤さを再三からかわれるバル艦長がいたのだが、それはまた、別の話である。
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