Kirby
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大抵の人は、告白してフラレたら諦めるものではないか。好きな相手の本当の幸せを願ってとか、脈が無いなら次の出会いを探そうとか。そもそも当然傷付くだろうし、その傷付けた相手なんて顔も見たくないと思うのが普通だろう。フラレた際に酷い目に遭ったなら尚のこと。
「マホロア!あなたの為にクッキーを作ってきたの!」
だというのにこの女はどういう訳か、ボクの側を離れずにいる。
始まりは数ヶ月ほど前のこと。もとより、ナマエがボクに対していわゆる慕情を抱いていることはわかっていたが、その心を述べるときは唐突に来た。ラブレターを携えてやってきたナマエを前に暫し考え込む。どういう立ち回りが最適解か。
盲目的にコチラを信用してくる存在は便利なので上手く躱しても良かったが、最終的にはいつもボクに対して柔和な態度を崩さないナマエが他でもないボクのせいで傷付いたとき、一体どういう顔をするのか、という興味が勝った。
手酷く罵り、何日も考えて書いたというラブレターを開くこともせずに破り捨て、さてどんな顔をしているかとウキウキで見るとナマエは千切れて宙を舞う紙切れを追うようにして呆然と見つめていた。
なんだ、そんなものか。思っていたよりもナマエの反応は凡常で期待していたよりも味気なく、ツマラナイものであった。その後は完全に興味を失い、サッサと帰っテ。と追い返したのだ。こんな事で便利な駒を失うくらいならヤッパリ止めたほうが良かったかナァ、と柄にもなく後悔していると、次の日。以前と全く態度の変わらないナマエが以前のようにやって来た。まるで昨日の事など無かったかのように。
「あのさァ、ナンデ今日も来てるワケ?」
「え?会いたいから」
「そうじゃなくてさァ……ボク、キミにハッキリとキライって言ったヨネェ?ついでにラブレターも読まずに破り捨てたシ、普通会いたくはならないデショ」
「良く思ってない相手からもらった手紙なんて読みたくならないよなって。だからまずは私のこと知ってもらうために会いに来た」
何を言っているんだコイツは。なぜそんな事を聞くのか、と不思議そうな顔をしているが、その顔をしたいのはどちらかと言うとこっちだ。理由を聞いたのにまるで理解が出来ない。理解出来ないものは正直ニガテだ。それはマホロアが理論を元に相手の心理を利用し、裏をかく性格だからだろうか。ソレが通じないものには正直薄ら寒い恐怖すら覚える。
だがこんな非力な女一人の存在が弱みになるのはマホロアのプライドが許せなかったので“理解出来ないものを理解する”ために、ナマエが側にいることを許した。要するに以前と同じように利用しているのである。
思い返して改めてナマエの差し出したクッキーを見た。すぐに切れると思っていたその関係は、なんだかんだで今日まで続いている。
「ボク、キミの作ったものナンテ食べたくないナァ」
「そんなこと言わないで。頑張って作ったのよ。これとか」
そうして袋から一つ取り出したのはボクの形をしたクッキーであった。この女は自分で自分の形をしたクッキーを食べたいやつがいると本気で思っているのだろうか。そこで、ふと気が付く。そういえば、ナマエの行動でボク以外の為に動いているのを見たことがない気がする。ボクの観測できる範囲が狭いからだろうと言われればそれまでだが、少々気にかかった。
思いつきで湧いて出た疑問を口に出す。
「ナマエサァ、この先ボクが居なくなったらどうするノ?これまでボクにしてきたコト全部、ムダになる訳だケド」
「そしたら死ぬよ。ムダになること自体は別にいいけど、貴方のいない世界に意味なんてないもの」
何でもないことのようにナマエは即答した。もしかしたらこの女は脳みそを介して会話をしていないのかもしれない。
考えて話していたにしても貴方がいない世界なら死んだ方がマシなどと陳腐で安売りされた言葉、いつもだったら鼻で笑うだろう。皆、ホントウは自分が一番かわいいのだ。自分以外の他のヤツがいないから死ぬなんて馬鹿げたこと、あるはずがない。
だが何度冷たくあしらわれてもどんなに酷い言葉を浴びせられてもナマエが決してその好意を曲げないことを身を以て知っているボクにはもはやナマエのその言葉は冗談やただの口説き文句とは思えなかった。フーン……ナマエはボクが居なくなったら死ぬんだ。へぇ。
「キミって本当にバカでかわいいよネェ」
「え!?それってプロポーズ!?」
「そんなコトは一言も言ってないヨォ」
頬に手を当ててしみじみとため息を吐くとそんなもの見えていないかの様にナマエはフザけた事を抜かす。
相変わらずコチラが同情しそうになるほど一途である。もちろん、利用されていることに気付いていないナマエのバカさ加減に対する皮肉であるが。
相変わらず理解は出来ないがナマエのマホロアに対する態度は一応気に入っていないこともない。万が一にも付き合ってやるつもりなんて無いが、彼女が愛を語らなくなったり、その愛が他に向くことがあったのなら、ボクは一切の躊躇なくナマエを殺すだろう。
だってそんなのはナマエではなく真っ赤なニセモノに違いないからだ。そして、わざわざ他者の姿を借りてこの虚言の魔術師の前に現れるような奴は大体、己に害を為そうとする害虫である。やられる前にやるが吉、というわけだ。
仮に本物のナマエだったとしたら?それでもやっぱりナマエを殺すだろう。ボクに愛を囁かない彼女はきっとツマラナイ。ツマラナイ存在のまま生きることになるならば。それならばやっぱり、殺してやった方が幾分か良いだろう。バカなだけでなくツマラナイ存在のまま生きていくのはあまりに可哀想だ。
これはマホロアなりの慈悲であった。不服だが、共に長く過ごしてきたのだ。ある程度の情は湧いている。出来れば、殺したくないナァと思ってしまうほどに。
「だからキミはズーット、バカで愚かなままでいてネ」
「それでマホロアが私をかわいいと思ってくれるなら、喜んで!」
ボクの言葉に一切裏を探るようなこともせず、ただニコニコ笑顔で答えるナマエに向かってボクは、やっぱりバカだナァと目を細めるのだった。
「マホロア!あなたの為にクッキーを作ってきたの!」
だというのにこの女はどういう訳か、ボクの側を離れずにいる。
始まりは数ヶ月ほど前のこと。もとより、ナマエがボクに対していわゆる慕情を抱いていることはわかっていたが、その心を述べるときは唐突に来た。ラブレターを携えてやってきたナマエを前に暫し考え込む。どういう立ち回りが最適解か。
盲目的にコチラを信用してくる存在は便利なので上手く躱しても良かったが、最終的にはいつもボクに対して柔和な態度を崩さないナマエが他でもないボクのせいで傷付いたとき、一体どういう顔をするのか、という興味が勝った。
手酷く罵り、何日も考えて書いたというラブレターを開くこともせずに破り捨て、さてどんな顔をしているかとウキウキで見るとナマエは千切れて宙を舞う紙切れを追うようにして呆然と見つめていた。
なんだ、そんなものか。思っていたよりもナマエの反応は凡常で期待していたよりも味気なく、ツマラナイものであった。その後は完全に興味を失い、サッサと帰っテ。と追い返したのだ。こんな事で便利な駒を失うくらいならヤッパリ止めたほうが良かったかナァ、と柄にもなく後悔していると、次の日。以前と全く態度の変わらないナマエが以前のようにやって来た。まるで昨日の事など無かったかのように。
「あのさァ、ナンデ今日も来てるワケ?」
「え?会いたいから」
「そうじゃなくてさァ……ボク、キミにハッキリとキライって言ったヨネェ?ついでにラブレターも読まずに破り捨てたシ、普通会いたくはならないデショ」
「良く思ってない相手からもらった手紙なんて読みたくならないよなって。だからまずは私のこと知ってもらうために会いに来た」
何を言っているんだコイツは。なぜそんな事を聞くのか、と不思議そうな顔をしているが、その顔をしたいのはどちらかと言うとこっちだ。理由を聞いたのにまるで理解が出来ない。理解出来ないものは正直ニガテだ。それはマホロアが理論を元に相手の心理を利用し、裏をかく性格だからだろうか。ソレが通じないものには正直薄ら寒い恐怖すら覚える。
だがこんな非力な女一人の存在が弱みになるのはマホロアのプライドが許せなかったので“理解出来ないものを理解する”ために、ナマエが側にいることを許した。要するに以前と同じように利用しているのである。
思い返して改めてナマエの差し出したクッキーを見た。すぐに切れると思っていたその関係は、なんだかんだで今日まで続いている。
「ボク、キミの作ったものナンテ食べたくないナァ」
「そんなこと言わないで。頑張って作ったのよ。これとか」
そうして袋から一つ取り出したのはボクの形をしたクッキーであった。この女は自分で自分の形をしたクッキーを食べたいやつがいると本気で思っているのだろうか。そこで、ふと気が付く。そういえば、ナマエの行動でボク以外の為に動いているのを見たことがない気がする。ボクの観測できる範囲が狭いからだろうと言われればそれまでだが、少々気にかかった。
思いつきで湧いて出た疑問を口に出す。
「ナマエサァ、この先ボクが居なくなったらどうするノ?これまでボクにしてきたコト全部、ムダになる訳だケド」
「そしたら死ぬよ。ムダになること自体は別にいいけど、貴方のいない世界に意味なんてないもの」
何でもないことのようにナマエは即答した。もしかしたらこの女は脳みそを介して会話をしていないのかもしれない。
考えて話していたにしても貴方がいない世界なら死んだ方がマシなどと陳腐で安売りされた言葉、いつもだったら鼻で笑うだろう。皆、ホントウは自分が一番かわいいのだ。自分以外の他のヤツがいないから死ぬなんて馬鹿げたこと、あるはずがない。
だが何度冷たくあしらわれてもどんなに酷い言葉を浴びせられてもナマエが決してその好意を曲げないことを身を以て知っているボクにはもはやナマエのその言葉は冗談やただの口説き文句とは思えなかった。フーン……ナマエはボクが居なくなったら死ぬんだ。へぇ。
「キミって本当にバカでかわいいよネェ」
「え!?それってプロポーズ!?」
「そんなコトは一言も言ってないヨォ」
頬に手を当ててしみじみとため息を吐くとそんなもの見えていないかの様にナマエはフザけた事を抜かす。
相変わらずコチラが同情しそうになるほど一途である。もちろん、利用されていることに気付いていないナマエのバカさ加減に対する皮肉であるが。
相変わらず理解は出来ないがナマエのマホロアに対する態度は一応気に入っていないこともない。万が一にも付き合ってやるつもりなんて無いが、彼女が愛を語らなくなったり、その愛が他に向くことがあったのなら、ボクは一切の躊躇なくナマエを殺すだろう。
だってそんなのはナマエではなく真っ赤なニセモノに違いないからだ。そして、わざわざ他者の姿を借りてこの虚言の魔術師の前に現れるような奴は大体、己に害を為そうとする害虫である。やられる前にやるが吉、というわけだ。
仮に本物のナマエだったとしたら?それでもやっぱりナマエを殺すだろう。ボクに愛を囁かない彼女はきっとツマラナイ。ツマラナイ存在のまま生きることになるならば。それならばやっぱり、殺してやった方が幾分か良いだろう。バカなだけでなくツマラナイ存在のまま生きていくのはあまりに可哀想だ。
これはマホロアなりの慈悲であった。不服だが、共に長く過ごしてきたのだ。ある程度の情は湧いている。出来れば、殺したくないナァと思ってしまうほどに。
「だからキミはズーット、バカで愚かなままでいてネ」
「それでマホロアが私をかわいいと思ってくれるなら、喜んで!」
ボクの言葉に一切裏を探るようなこともせず、ただニコニコ笑顔で答えるナマエに向かってボクは、やっぱりバカだナァと目を細めるのだった。
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