Kirby
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固く目を瞑り、眉間にしわを寄せる。
一体どちらの方が自らにとって有益なのか。頭の中で天秤がぐらぐらと揺れていた。
「団長〜〜……」
情けのない団員の声が聞こえた所でようやく揺れ動き続けていた天秤の皿に決着が着く。
「……わかった」
ため息を吐きつつ、了承の旨を伝えるとさすがだのかっこいいだの実にありきたりで使い古された褒め言葉が上がる。先程まで泣きそうだったのに全く調子の良いヤツらだ。
「でも本当に大丈夫っチュか?相手はあのナマエっチュよ?」
心配そうな顔をして告げるスピンに思わず顔をしかめる。
ナマエはトレジャーハンターだ。
トレジャーハンターといってもよくあるロマン溢れた、数ある罠を掻い潜り、死にそうになりながらやっとの思いでお宝を掴むような、応援しがいのあるヤツではない。
何の苦労もしていないのに、いつも運だけで宝を手に入れるいけ好かないヤツだ。散歩に出かけて偶然道に落ちていたガラクタを拾ってみたらソレが有名な古代遺跡の謎を解くための鍵だった、ラッキー!というような事をもう何十回と繰り返している、実にお宝発見のロマンも夢もない女である。
そんなんでトレジャーハンターを名乗りどっちゃり稼いでいるのだから、盗賊団を名乗りながらも日夜バイトをして生計を立てているドロッチェからすればふざけるなという話であった。
そんな訳でドロッチェからナマエに対する好感度は地面を突き抜けてもまだ表せないくらいに低いのだが、なんの因果かナマエの方は自身を好いているらしい。
「よければデートに付き合ってくれませんか!」
ドロッチェの方は全く、これっぽっちも、ナマエに好意なんて抱いていないのだが、折角の機会だ、貢がせるだけ貢がせて存分に利用してやろう、との思いでその誘いに乗ってやった。
ナマエがきゃあ!やった!うれしい!と叫んだかと思うと彼女の愛車であるバイクに縛り付けられそこから猛スピードでプププランドを3周はした。もっとも、振り落とされないよう必死だったので3周というのは覚えている最低限度の数である。未だに誰も正確な周回数は分かっていない。
ようやっと降ろされた時にはドロッチェには自分が今どっちの方向を向いているのかさえ分からなかった。
「今日は楽しかったですねぇ。次のデートはどこにしましょう?」
「誰が行くか!!」
頬を赤らめながらもじもじ2度目を誘うナマエは知らないヤツの瞳には恐らく魅力的に映るのだろうが、地獄のドライブデートを味わったドロッチェは一も二もなく拒絶の叫び声をあげた。
ドロッチェのナマエ嫌いはこのド派手なドライブによって、団員のみならずプププランドの住民皆が知る事実である。にも関わらず、当事者であるナマエは諦めずにデートに誘ってくる。
「世界高級スイーツ大試食会のペアチケットを貰ったんです!その、良かったら一緒に……」
「行かねぇ」
今日も今日とていつもの如く、トレジャーハンターとしての能力をもってして掴み取ったらしいチケット片手にもじもじとデートに誘ってきた。
当然今回も例に漏れず、すげなくナマエの誘いを断ったのだが、その数時間後にストロンが持ってきたチラシが問題を引き起こす。
“おかわり&お持ち帰り自由”
世界高級スイーツ大試食会の文字と共に紙面に躍るそれはドロッチェ団にとって大変魅力的なものであった。
ドロッチェ団は深刻な資金難に陥っている。初めこそ真面目に盗賊団をやっていたが、カービィを初め、邪魔されてばかりで一向に儲からないので今ではせっせとコンビニだの海の家だので働いて日々細々と日銭を稼いでいた。
毎日、節約・節制の繰り返しで、デザートなどという高級品もう2ヶ月は食べれていない。
なぜこんな希少な機会を棒に振ったのか、どうにかナマエとデートに行ってもらえないか、団員たちに詰められたところで冒頭に戻る。
スピンの心配する通り、ドロッチェは相変わらずナマエが嫌いだし正直顔も合わせたくないが、背に腹は代えられない。
「まあ、なんとかなるだろ」
ドロッチェ含め団員は皆高級スイーツが食べたいのだ。
誘いを一度断りはしたものの、まさかあのナマエがドロッチェからの誘いを断る訳がないだろうし、それよりもどうしたらどれだけ多くのスイーツを持って帰れるか考えたほうが良さそうだ。そう楽観的に考えていたのだが……
「ご、ごめんなさい。他の人と行く約束をしてしまって……」
「な、なにィ!?」
そのまさかであった。おろおろ申し訳なさそうにしているナマエに開いた口が塞がらない。
「お友達が最近落ち込んでいるようだったので、私が誘ったんです。話を聞くって言ってしまったので私の分のチケットをお譲りするわけにも……その、先にドロッチェさんが行かないっておっしゃられたので今回は……ごめんなさい」
「ぐ、ぐぅ……ッ」
正論である。正論ではあるが断られるはずがないと思っていた相手に振られた、という事実はドロッチェのプライドに傷を付けた。
「……どうしてもオレは連れていけないんだな?」
「え、ええと……はい……」
「なるほど、わかった」
すんなり引いたドロッチェにナマエはホッとしたように笑った。しかし当然このまま黙って引く気はない。泣く子も黙る盗賊、ドロッチェ団。こうなったら悪党らしく、チケットを奪い取ってやる!
決行日は会の当日である。
突然すぎるような気もするが、チケットを会場に入る直前で奪ってしまえば会場に入ったドロッチェにナマエたちが追ってこれる手段は無いので邪魔の心配がないのである。
ナマエとその連れは現地集合らしい、というのは優秀な部下に掴ませた情報だ。丁度いいのでナマエがドロッチェより優先したお友達とやらもついでに顔を拝んでおこう、と思った次第である。
会場外でもたくさんのスイーツのいい匂いが立ち込めているのがわかる。
こんな試食会、カービィがやってきてめちゃくちゃにしてしまうのでは、と当初心配したが、彼はどうやら反対方向にある世界のおかず大試食会へ行っているようだ。その会場の食べ物を食べ尽くすまではこちらへは来ないだろう。
早速辺りを見回すとそこそこ人が集まっているにも関わらず、意外にも簡単に見つかった。一際大きな樹の下でこちらに背を向けて誰かと話しているようだ。こっそり近くの茂みに隠れて様子を窺う。
……気の所為かもしれないが、いつもより服装に気合いが入っているような気がする。それに聞こえてくる声音も妙に楽しげだ。
心臓の辺りが妙にざわざわしてきた。いや。いやいやいや。別にオレはナマエが誰と仲良くしようが関係ないし、興味もない。
そう。そうだ。まだ相手が男と決まったわけでもないし。いや別に男でも女でも関係ないが。
……関係なんてないが、やっぱりちょっとだけ気になる。ナマエと休日一緒に出掛ける友達なんてどんな物好きだ。ナマエと渡り合えるようなトンチキ野郎か、それとも、ナマエのヤバさをまだ知らないのか……
どちらにせよ、あの女を恋愛対象として見るようなヤツはいないだろうな。そう考えつつ、会話を続ける二人にバレないようにそうっと茂みから顔を出した。
「悪いな、ナマエ。」
「いえ、気にしないでください!ギャラさん、スイーツ大好きですもんね。今日は全部わすれて楽しみましょう!」
「……ギャラクティックナイトじゃねぇか!!」
「あれ、ドロッチェさん?」
そう。ナマエと一緒に話していたのはプププランドで唯一ナマエを恋愛対象としてみそうな、女好きで有名のギャラクティックナイトであった。
「お前らまさかとは思ったが、デートか!」
「何言ってんだ、オレさま男とデートする趣味なんてねぇぞ」
「は?いや、ナマエはどう見ても女だろ……」
「な、なにぃ!?ナマエ女の子だったのか!?」
「気付いてなかったのかよ!!」
驚き様から察するにマジで気が付いていなかったようだ。確かにナマエは動きやすさを重視した服装をすることが多いから勘違いしてても仕方ない、のか?……いや、流石に気付くだろ。可愛いし。
思わず横切った全く関係ない感想を頭をブンブン振って追い出し、それよりも、と思考を戻す。ナマエが女子だと知らなかったなら彼にとって今日のお出かけは本当にちっともデートなんかじゃなかったんだろう。完全に飛び出し損だ、クソッ!二人の前に飛び出してしまった事を後悔していると、驚いたまま固まっていたギャラクティックナイトが突然もじもじ、としだした。
「たしかに前からカワイイとは思っていたがまさか女の子とは……ナマエ、オレと結婚してください!」
「は!?」
いや、コイツ女だと分かったとたんの変わり身が早すぎるだろ。発覚十秒も経たない内にプロポーズとか正気かよ。急カーブすぎる。と思ったのも束の間、先程感じたざわざわとした胸の不快感がまた襲ってきた。
確かにギャラクティックナイトの告白は突然だが、ストレートな好意の示し方は相手の心を動かしてしまう。それは多分ナマエとて例外ではない。アイツの方が、全く靡く気配のないオレなんかよりよっぽど……
「あ、お断りします」
「なんだとォ!?」
「私はドロッチェさん一筋なので」
ノータイムで答えると、ナマエはこちらを向いてはにかんだ。それは誰がどう見ても恋する少女の顔であった。
「お、おう……」
思わず言葉に詰まる。ナマエがオレを好きなのは知っているが、まさか告白を一蹴するとは思っていなかったので、つい狼狽えてしまった。一緒に出掛けるほど仲が良いなら少しは交際を考えたりするものじゃないのか。
……そんなにオレのことが好きなのか。
「ぐッ……チクショー!またフラれたぜー!」
「……ハッ!?今日は第203回フラれたギャラさんを慰める会だったのに傷付けてしまった!?ど、どうしましょう……謝らないと……」
「ほっとけ、アイツなら勝手に元気になるだろ」
駆け出していったギャラクティックナイトを心配そうに見やるナマエに素気なく言い放つ。事実200回も振られてるのならまたすぐ懲りずに違うヤツにプロポーズするだろう。
「それより、そのチケットどうするんだ」
「あっ、ドロッチェさん、行きたいんでしたっけ。……はい、差し上げます」
「……あ?おい、なんで二枚ともオレに渡す?」
「私はギャラさんが心配なので追ってきます!会場へはチケットを持っていれば入れますから是非他の方と楽しんできてください!」
「ダメだ。お前も一緒にこい」
今ナマエに行かせてはならない。アイツなんかを追わせては、ならない。なぜだか瞬間的に強くそう思った。それはきっと、コイツのいい子ちゃんぶりが気に食わなかったからだ。ただ、それだけ。
「え?でも……」
「チッ……このオレがデートしてやってもいいと言ってるんだ!!行かないのか!」
「え!えぇ!?行きます!」
「……フン」
ナマエは面倒な女だが、今日くらい付き合ってやるのもまあ、刺激になって良い。たまには、こうやって飴をやることも必要だろう。またドロッチェ団に有益なイベントに招待してくれるかもしれないしな。こうして二人で並んで歩くのも悪くはない……かもしれない。
そうしてナマエがギャラクティックナイトではなく、自分とのデートを選んだことに安心している事実には見えないふりをしたまま会場へ入った。
____入場してわずか三分後、世界のおかず大試食会を食べ尽くしたらしいカービィがこっちの会場もめちゃくちゃにしたので、持ち帰るどころか、ろくに食べれもしなかった。あのピンク玉、やっぱり許せねぇ。
一体どちらの方が自らにとって有益なのか。頭の中で天秤がぐらぐらと揺れていた。
「団長〜〜……」
情けのない団員の声が聞こえた所でようやく揺れ動き続けていた天秤の皿に決着が着く。
「……わかった」
ため息を吐きつつ、了承の旨を伝えるとさすがだのかっこいいだの実にありきたりで使い古された褒め言葉が上がる。先程まで泣きそうだったのに全く調子の良いヤツらだ。
「でも本当に大丈夫っチュか?相手はあのナマエっチュよ?」
心配そうな顔をして告げるスピンに思わず顔をしかめる。
ナマエはトレジャーハンターだ。
トレジャーハンターといってもよくあるロマン溢れた、数ある罠を掻い潜り、死にそうになりながらやっとの思いでお宝を掴むような、応援しがいのあるヤツではない。
何の苦労もしていないのに、いつも運だけで宝を手に入れるいけ好かないヤツだ。散歩に出かけて偶然道に落ちていたガラクタを拾ってみたらソレが有名な古代遺跡の謎を解くための鍵だった、ラッキー!というような事をもう何十回と繰り返している、実にお宝発見のロマンも夢もない女である。
そんなんでトレジャーハンターを名乗りどっちゃり稼いでいるのだから、盗賊団を名乗りながらも日夜バイトをして生計を立てているドロッチェからすればふざけるなという話であった。
そんな訳でドロッチェからナマエに対する好感度は地面を突き抜けてもまだ表せないくらいに低いのだが、なんの因果かナマエの方は自身を好いているらしい。
「よければデートに付き合ってくれませんか!」
ドロッチェの方は全く、これっぽっちも、ナマエに好意なんて抱いていないのだが、折角の機会だ、貢がせるだけ貢がせて存分に利用してやろう、との思いでその誘いに乗ってやった。
ナマエがきゃあ!やった!うれしい!と叫んだかと思うと彼女の愛車であるバイクに縛り付けられそこから猛スピードでプププランドを3周はした。もっとも、振り落とされないよう必死だったので3周というのは覚えている最低限度の数である。未だに誰も正確な周回数は分かっていない。
ようやっと降ろされた時にはドロッチェには自分が今どっちの方向を向いているのかさえ分からなかった。
「今日は楽しかったですねぇ。次のデートはどこにしましょう?」
「誰が行くか!!」
頬を赤らめながらもじもじ2度目を誘うナマエは知らないヤツの瞳には恐らく魅力的に映るのだろうが、地獄のドライブデートを味わったドロッチェは一も二もなく拒絶の叫び声をあげた。
ドロッチェのナマエ嫌いはこのド派手なドライブによって、団員のみならずプププランドの住民皆が知る事実である。にも関わらず、当事者であるナマエは諦めずにデートに誘ってくる。
「世界高級スイーツ大試食会のペアチケットを貰ったんです!その、良かったら一緒に……」
「行かねぇ」
今日も今日とていつもの如く、トレジャーハンターとしての能力をもってして掴み取ったらしいチケット片手にもじもじとデートに誘ってきた。
当然今回も例に漏れず、すげなくナマエの誘いを断ったのだが、その数時間後にストロンが持ってきたチラシが問題を引き起こす。
“おかわり&お持ち帰り自由”
世界高級スイーツ大試食会の文字と共に紙面に躍るそれはドロッチェ団にとって大変魅力的なものであった。
ドロッチェ団は深刻な資金難に陥っている。初めこそ真面目に盗賊団をやっていたが、カービィを初め、邪魔されてばかりで一向に儲からないので今ではせっせとコンビニだの海の家だので働いて日々細々と日銭を稼いでいた。
毎日、節約・節制の繰り返しで、デザートなどという高級品もう2ヶ月は食べれていない。
なぜこんな希少な機会を棒に振ったのか、どうにかナマエとデートに行ってもらえないか、団員たちに詰められたところで冒頭に戻る。
スピンの心配する通り、ドロッチェは相変わらずナマエが嫌いだし正直顔も合わせたくないが、背に腹は代えられない。
「まあ、なんとかなるだろ」
ドロッチェ含め団員は皆高級スイーツが食べたいのだ。
誘いを一度断りはしたものの、まさかあのナマエがドロッチェからの誘いを断る訳がないだろうし、それよりもどうしたらどれだけ多くのスイーツを持って帰れるか考えたほうが良さそうだ。そう楽観的に考えていたのだが……
「ご、ごめんなさい。他の人と行く約束をしてしまって……」
「な、なにィ!?」
そのまさかであった。おろおろ申し訳なさそうにしているナマエに開いた口が塞がらない。
「お友達が最近落ち込んでいるようだったので、私が誘ったんです。話を聞くって言ってしまったので私の分のチケットをお譲りするわけにも……その、先にドロッチェさんが行かないっておっしゃられたので今回は……ごめんなさい」
「ぐ、ぐぅ……ッ」
正論である。正論ではあるが断られるはずがないと思っていた相手に振られた、という事実はドロッチェのプライドに傷を付けた。
「……どうしてもオレは連れていけないんだな?」
「え、ええと……はい……」
「なるほど、わかった」
すんなり引いたドロッチェにナマエはホッとしたように笑った。しかし当然このまま黙って引く気はない。泣く子も黙る盗賊、ドロッチェ団。こうなったら悪党らしく、チケットを奪い取ってやる!
決行日は会の当日である。
突然すぎるような気もするが、チケットを会場に入る直前で奪ってしまえば会場に入ったドロッチェにナマエたちが追ってこれる手段は無いので邪魔の心配がないのである。
ナマエとその連れは現地集合らしい、というのは優秀な部下に掴ませた情報だ。丁度いいのでナマエがドロッチェより優先したお友達とやらもついでに顔を拝んでおこう、と思った次第である。
会場外でもたくさんのスイーツのいい匂いが立ち込めているのがわかる。
こんな試食会、カービィがやってきてめちゃくちゃにしてしまうのでは、と当初心配したが、彼はどうやら反対方向にある世界のおかず大試食会へ行っているようだ。その会場の食べ物を食べ尽くすまではこちらへは来ないだろう。
早速辺りを見回すとそこそこ人が集まっているにも関わらず、意外にも簡単に見つかった。一際大きな樹の下でこちらに背を向けて誰かと話しているようだ。こっそり近くの茂みに隠れて様子を窺う。
……気の所為かもしれないが、いつもより服装に気合いが入っているような気がする。それに聞こえてくる声音も妙に楽しげだ。
心臓の辺りが妙にざわざわしてきた。いや。いやいやいや。別にオレはナマエが誰と仲良くしようが関係ないし、興味もない。
そう。そうだ。まだ相手が男と決まったわけでもないし。いや別に男でも女でも関係ないが。
……関係なんてないが、やっぱりちょっとだけ気になる。ナマエと休日一緒に出掛ける友達なんてどんな物好きだ。ナマエと渡り合えるようなトンチキ野郎か、それとも、ナマエのヤバさをまだ知らないのか……
どちらにせよ、あの女を恋愛対象として見るようなヤツはいないだろうな。そう考えつつ、会話を続ける二人にバレないようにそうっと茂みから顔を出した。
「悪いな、ナマエ。」
「いえ、気にしないでください!ギャラさん、スイーツ大好きですもんね。今日は全部わすれて楽しみましょう!」
「……ギャラクティックナイトじゃねぇか!!」
「あれ、ドロッチェさん?」
そう。ナマエと一緒に話していたのはプププランドで唯一ナマエを恋愛対象としてみそうな、女好きで有名のギャラクティックナイトであった。
「お前らまさかとは思ったが、デートか!」
「何言ってんだ、オレさま男とデートする趣味なんてねぇぞ」
「は?いや、ナマエはどう見ても女だろ……」
「な、なにぃ!?ナマエ女の子だったのか!?」
「気付いてなかったのかよ!!」
驚き様から察するにマジで気が付いていなかったようだ。確かにナマエは動きやすさを重視した服装をすることが多いから勘違いしてても仕方ない、のか?……いや、流石に気付くだろ。可愛いし。
思わず横切った全く関係ない感想を頭をブンブン振って追い出し、それよりも、と思考を戻す。ナマエが女子だと知らなかったなら彼にとって今日のお出かけは本当にちっともデートなんかじゃなかったんだろう。完全に飛び出し損だ、クソッ!二人の前に飛び出してしまった事を後悔していると、驚いたまま固まっていたギャラクティックナイトが突然もじもじ、としだした。
「たしかに前からカワイイとは思っていたがまさか女の子とは……ナマエ、オレと結婚してください!」
「は!?」
いや、コイツ女だと分かったとたんの変わり身が早すぎるだろ。発覚十秒も経たない内にプロポーズとか正気かよ。急カーブすぎる。と思ったのも束の間、先程感じたざわざわとした胸の不快感がまた襲ってきた。
確かにギャラクティックナイトの告白は突然だが、ストレートな好意の示し方は相手の心を動かしてしまう。それは多分ナマエとて例外ではない。アイツの方が、全く靡く気配のないオレなんかよりよっぽど……
「あ、お断りします」
「なんだとォ!?」
「私はドロッチェさん一筋なので」
ノータイムで答えると、ナマエはこちらを向いてはにかんだ。それは誰がどう見ても恋する少女の顔であった。
「お、おう……」
思わず言葉に詰まる。ナマエがオレを好きなのは知っているが、まさか告白を一蹴するとは思っていなかったので、つい狼狽えてしまった。一緒に出掛けるほど仲が良いなら少しは交際を考えたりするものじゃないのか。
……そんなにオレのことが好きなのか。
「ぐッ……チクショー!またフラれたぜー!」
「……ハッ!?今日は第203回フラれたギャラさんを慰める会だったのに傷付けてしまった!?ど、どうしましょう……謝らないと……」
「ほっとけ、アイツなら勝手に元気になるだろ」
駆け出していったギャラクティックナイトを心配そうに見やるナマエに素気なく言い放つ。事実200回も振られてるのならまたすぐ懲りずに違うヤツにプロポーズするだろう。
「それより、そのチケットどうするんだ」
「あっ、ドロッチェさん、行きたいんでしたっけ。……はい、差し上げます」
「……あ?おい、なんで二枚ともオレに渡す?」
「私はギャラさんが心配なので追ってきます!会場へはチケットを持っていれば入れますから是非他の方と楽しんできてください!」
「ダメだ。お前も一緒にこい」
今ナマエに行かせてはならない。アイツなんかを追わせては、ならない。なぜだか瞬間的に強くそう思った。それはきっと、コイツのいい子ちゃんぶりが気に食わなかったからだ。ただ、それだけ。
「え?でも……」
「チッ……このオレがデートしてやってもいいと言ってるんだ!!行かないのか!」
「え!えぇ!?行きます!」
「……フン」
ナマエは面倒な女だが、今日くらい付き合ってやるのもまあ、刺激になって良い。たまには、こうやって飴をやることも必要だろう。またドロッチェ団に有益なイベントに招待してくれるかもしれないしな。こうして二人で並んで歩くのも悪くはない……かもしれない。
そうしてナマエがギャラクティックナイトではなく、自分とのデートを選んだことに安心している事実には見えないふりをしたまま会場へ入った。
____入場してわずか三分後、世界のおかず大試食会を食べ尽くしたらしいカービィがこっちの会場もめちゃくちゃにしたので、持ち帰るどころか、ろくに食べれもしなかった。あのピンク玉、やっぱり許せねぇ。
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