Kirby
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毎日毎日、厳しい修行に耐えてきた。全てはこの日の為。そりゃまぁ、私はか弱い女の子なので、強くなるにも限界はあるけれど、それでも不意を突きさえすれば一瞬怯ませるくらいは出来るだろう。
息を潜めて、その時を今か今かと待ち望む。焦ってタイミングを早まり過ぎてはいけない。こんなチャンスはそう無い。そうして影から覗き見るのは、我が愛しの恋人様である。
「お覚悟!」
「甘い」
気配を消し、計算された死角から飛び掛かる。完璧だった筈なのに怯むどころか、最小限の動きでひょい、と避けられる。嘘でしょ、なんでこの人気付けるの?天下のメタナイト様だからですか、そうですか。でもわざわざ反応しずらい作業中を狙ったのに……。あ、手段は選ばない主義なんで。汚いとか言わないでね。まぁ最も、この奇襲成功してないんだけど。
「これで三回目だが、諦める気になったか?」
「絶対やだー!仮面取ってよー!」
欲しいオモチャを買ってもらえない幼児の如く床でジタバタすると呆れた様にため息を吐かれた。見苦しいのは承知の上だが、悔しいのだ。散々メタナイツに修行に付き合ってもらったのに、このザマでは示しがつかない。あとその修行のお礼に私のおやつが一ヶ月分犠牲になったのも理由の一つである。そうまでして頑張ったのに!ここまで手も足も出ないなんてことあるか!
「気付いてるなら、ちょっとは手加減してくれても良いじゃん!ケチんぼ!」
「生憎、恋仲と言えど本気でかかってくるなら手加減はしない主義でな」
悔しさで叫ぶと、そう素気なく言われる。畜生。そういう、どんな下らないことでも相手が本気ならリスペクトの姿勢を崩さないところ、大好きだ。惚れた弱みをしみじみと実感しつつ、よよよ、と涙で床を濡らしていると少々心配した様子でメタナイトが声を掛けた。
「大体なぜ急にそんな事を仕出したのだ。以前はそんな事、なかったろうに」
「え、あぁ、ちょっと思うところがあって……」
ギ、ギクゥ……!いやまぁ、彼の強さをちゃんと知ってる恋人である私がなぜ無謀にも仮面を力付くで取るという行為に挑み始めたのかという疑問に、もちろん理由はあるけれど、言えない……とても私の口からは言えませんわ……一応乙女だし恥ずかしいので……どうやって誤魔化そうかとモゴモゴと口ごもっているとメタナイトが俯いた。
「……のか」
「ん?ごめん、聞こえなかった」
彼にしては珍しく小声で話されたので問い返すと一瞬、怯えたように肩を震わせた。何か変だ、と私が思ったのと同時、一つ決心した様子で顔を上げると、すぅっと息を吸ったメタナイトは、今度ははっきりと言葉を放った。
「恋人に弱み一つ晒せない男に愛想が尽きたのかと聞いている」
「へ?」
予想打にしない発言に呆気にとられているとそれを肯定と取ったのか、彼は声を低くして続けた。
「……君が言ったのだろう。仮面を取らないくらいで嫌いにはならない、と」
まさかその言葉を反故にする気か、とこちらに背を向け詰るメタナイトはその強い言い方とは裏腹に、私の目には悲しげに見えた。珍しく隙だらけだ。
「なにをっ……!」
メタナイトは私を傷付けることは決してしない。メタナイトどころか、部下のメタナイツにも敵わないような非力な私には抵抗出来ない。
修行で鍛えた通りに距離を詰め、グローブを掴む。そのままグッと顔を近づけ、仮面に口付けた。
想像していた通り、つめたい。
「そりゃあね。素顔が見れないくらいで嫌いになんてなりませんよ。でも恋人なんだからキスの一つぐらい、ちゃんとしてみたいのよ」
ただ、呆然と二つの黄色い目が私を見つめている。こんな事を面と向かって言うのは恥ずかしいけれど、好きな人が自分のせいで悲しんでいるのに何も言わないなんて事、出来るはずがなかった。気まずさから顔を逸らす。
あーあ、でもこれで私が仮面を取れる可能性は万に一つも無くなるだろうな。メタナイトは恋人らしいことはきっと好きじゃないだろうし、今度からは本気で逃げられるだろう。だが、誤解されて悲しまれるよりは幾分マシだ。私の愛を疑われるのは悲しいし、信用されてないようで寂しい。だったら恥ずかしくても本音を語って、本気で逃げられた方がいい。
あ、でも私だけこうやって恥をかいたのは悔しいから、別の作戦でも練ろうかな。また、おやつ一ヶ月分で相談に乗ってもらえるだろうか。
「……待ちたまえ」
メタナイツの面々にどう切り出すか考えながらメタナイトに向かって背を向けると、室内で普段聞くことの無い翼をはためかせる音が聞こえ、思わず驚いて振り返る。
やわらかい。
あまりにも近くてピントを合わせるのに時間がかかったが、どうやら仮面を上にずらしたメタナイトが私にしたらしい。
その、口付けを。あまりの事に脳がショートし、呆然とする私をよそに彼はそそくさと仮面を元の位置に戻した。
「……今のところはこれで勘弁してくれ」
らしくない事をして照れているのであろうメタナイトが、さっさと背を向け歩き出す。そんな彼を見て、私が十秒も経たない内にもう一回をねだったのは、まぁ、仕方ない事だと思う。
息を潜めて、その時を今か今かと待ち望む。焦ってタイミングを早まり過ぎてはいけない。こんなチャンスはそう無い。そうして影から覗き見るのは、我が愛しの恋人様である。
「お覚悟!」
「甘い」
気配を消し、計算された死角から飛び掛かる。完璧だった筈なのに怯むどころか、最小限の動きでひょい、と避けられる。嘘でしょ、なんでこの人気付けるの?天下のメタナイト様だからですか、そうですか。でもわざわざ反応しずらい作業中を狙ったのに……。あ、手段は選ばない主義なんで。汚いとか言わないでね。まぁ最も、この奇襲成功してないんだけど。
「これで三回目だが、諦める気になったか?」
「絶対やだー!仮面取ってよー!」
欲しいオモチャを買ってもらえない幼児の如く床でジタバタすると呆れた様にため息を吐かれた。見苦しいのは承知の上だが、悔しいのだ。散々メタナイツに修行に付き合ってもらったのに、このザマでは示しがつかない。あとその修行のお礼に私のおやつが一ヶ月分犠牲になったのも理由の一つである。そうまでして頑張ったのに!ここまで手も足も出ないなんてことあるか!
「気付いてるなら、ちょっとは手加減してくれても良いじゃん!ケチんぼ!」
「生憎、恋仲と言えど本気でかかってくるなら手加減はしない主義でな」
悔しさで叫ぶと、そう素気なく言われる。畜生。そういう、どんな下らないことでも相手が本気ならリスペクトの姿勢を崩さないところ、大好きだ。惚れた弱みをしみじみと実感しつつ、よよよ、と涙で床を濡らしていると少々心配した様子でメタナイトが声を掛けた。
「大体なぜ急にそんな事を仕出したのだ。以前はそんな事、なかったろうに」
「え、あぁ、ちょっと思うところがあって……」
ギ、ギクゥ……!いやまぁ、彼の強さをちゃんと知ってる恋人である私がなぜ無謀にも仮面を力付くで取るという行為に挑み始めたのかという疑問に、もちろん理由はあるけれど、言えない……とても私の口からは言えませんわ……一応乙女だし恥ずかしいので……どうやって誤魔化そうかとモゴモゴと口ごもっているとメタナイトが俯いた。
「……のか」
「ん?ごめん、聞こえなかった」
彼にしては珍しく小声で話されたので問い返すと一瞬、怯えたように肩を震わせた。何か変だ、と私が思ったのと同時、一つ決心した様子で顔を上げると、すぅっと息を吸ったメタナイトは、今度ははっきりと言葉を放った。
「恋人に弱み一つ晒せない男に愛想が尽きたのかと聞いている」
「へ?」
予想打にしない発言に呆気にとられているとそれを肯定と取ったのか、彼は声を低くして続けた。
「……君が言ったのだろう。仮面を取らないくらいで嫌いにはならない、と」
まさかその言葉を反故にする気か、とこちらに背を向け詰るメタナイトはその強い言い方とは裏腹に、私の目には悲しげに見えた。珍しく隙だらけだ。
「なにをっ……!」
メタナイトは私を傷付けることは決してしない。メタナイトどころか、部下のメタナイツにも敵わないような非力な私には抵抗出来ない。
修行で鍛えた通りに距離を詰め、グローブを掴む。そのままグッと顔を近づけ、仮面に口付けた。
想像していた通り、つめたい。
「そりゃあね。素顔が見れないくらいで嫌いになんてなりませんよ。でも恋人なんだからキスの一つぐらい、ちゃんとしてみたいのよ」
ただ、呆然と二つの黄色い目が私を見つめている。こんな事を面と向かって言うのは恥ずかしいけれど、好きな人が自分のせいで悲しんでいるのに何も言わないなんて事、出来るはずがなかった。気まずさから顔を逸らす。
あーあ、でもこれで私が仮面を取れる可能性は万に一つも無くなるだろうな。メタナイトは恋人らしいことはきっと好きじゃないだろうし、今度からは本気で逃げられるだろう。だが、誤解されて悲しまれるよりは幾分マシだ。私の愛を疑われるのは悲しいし、信用されてないようで寂しい。だったら恥ずかしくても本音を語って、本気で逃げられた方がいい。
あ、でも私だけこうやって恥をかいたのは悔しいから、別の作戦でも練ろうかな。また、おやつ一ヶ月分で相談に乗ってもらえるだろうか。
「……待ちたまえ」
メタナイツの面々にどう切り出すか考えながらメタナイトに向かって背を向けると、室内で普段聞くことの無い翼をはためかせる音が聞こえ、思わず驚いて振り返る。
やわらかい。
あまりにも近くてピントを合わせるのに時間がかかったが、どうやら仮面を上にずらしたメタナイトが私にしたらしい。
その、口付けを。あまりの事に脳がショートし、呆然とする私をよそに彼はそそくさと仮面を元の位置に戻した。
「……今のところはこれで勘弁してくれ」
らしくない事をして照れているのであろうメタナイトが、さっさと背を向け歩き出す。そんな彼を見て、私が十秒も経たない内にもう一回をねだったのは、まぁ、仕方ない事だと思う。
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