Kirby
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「さあ、ワドルディちゃんたち!今日も大人しく私にもちもちされな!」
「きゃあ〜」
「ナマエさんやめてください〜!」
「たすけてくださ〜い!大王様、バンダナせんぱい〜!」
ふははは。いくら抵抗しようと公式ザコのワドルディでは私を退けることなんて出来ぬのだ。無駄よ無駄無駄。分かったら大人しく私を癒すコトね。
ワドルディのほっぺたをムニムニもにもにしながら私が出てきた場所、すなわちデデデ城のクローゼットを眺めた。深い紫色をしたいかにも何か吸い込みそうな渦がぐるぐると回っている。
その法則を見つけたのは本当に偶然であった。いつも通り仕事に疲れて帰ってきた私は、非常に喉が渇いていたので冷蔵庫を開けてジュースを手に取る。蓋を開けてさあ、飲もうとした所で足元のコードに引っ躓いて、結果、盛大に中身をぶち撒けた。
疲れているのにそんな最悪なやらかしをした私はもう全部イヤになって部屋を飛び出し、すっかり暗くなった外へ出る。とにかく何処か遠いトコロへ。強く現実逃避をしながら車のドアを開けたところその奇妙な渦に自ら飛び込むことになった。
全くもって信じられないことだが、その時繋がってしまったのだ。“星のカービィ”の世界に。最初のころはお城の中にワドルディが一人しか居なかったり、他の僅かな違和感がゲームやアニメと乖離していて不思議に思っていたが、デデデ大王はいるしワドルディたちはいつの間にかちゃんと増えていたのでやっぱり気の所為であった。
それから二度三度と繰り返して分かったのだが、どうやら強く現実逃避をしながら車へ乗ろうとするとコチラへ来られるらしい。優しいワドルディくんに仕事の疲れを癒してもらう事にすっかり味を占めた私はこうしてデデデ城に入り浸るようになったのだった。ちゃんちゃん。はい、回想終わり。現在のワドルディちゃんたちモチモチタイムに戻る。
「もうやだよう、辞めたいよ〜!」
確実に疲れているのに精神も体も健康そのもの故に休めない。健康は良いことだけど、マジで仕事行きたくない時はやたらに丈夫な自分の体が憎い……!
何度か退職を申し出てるけどさり気に話題を逸らされるし、なんなら追加で仕事押し付けてくるので本当にこの世はクソ。退職代行が流行るのもわかるね。
未だ地味に抵抗を続けているワドルディちゃんたちをかわるがわるモチモチしながら延々と会社の愚痴を吐くことを続けていたら次第にわにゃわにゃした動きが止まり、皆心配そうな顔になってきた。泣き出しそうになっている子もいる。
「それは大丈夫なんですか……?」
「なにか、ぼくたちに出来ることはありますか……?」
「お菓子食べます……?」
や、優しい……同情してくれている……こちらは勝手に乗り込んで勝手にもちもちして呪詛振り撒いてる圧倒的不審者なのに……モチモチさせてくれるだけで十分です……お菓子は食べる、ワドルディちゃんのお菓子おいしいから。
「ナマエ!来てたの!?」
「あ!バンダナせんぱい!」
ワドルディちゃんたちの優しさに申し訳なさと嬉しさで涙ぐみつつ、お菓子を頬張っていると騒ぎを聞きつけたらしいバンダナワドルディくんがやってきた。こちらに駆け寄って顔を覗き込むように見られる。
「また酷いことを言われたの?」
「バンダナくん……ううん、大丈夫」
バンダナをしたこのワドルディくんは、初めてこちらにお邪魔した時に大変お世話になった。具体的に言うと、ワドルディが一人しか居なかったのでずっと私にもちもちされていた不憫な子である。
優しい子ゆえ、会えば逐一心配してくれるのだが、正直に話すのは憚られた。本音を言えば一等優しいこの子に話したいことは山程あるのだが、このバンダナワドルディくんはいつの間にか増えた皆のリーダーポジションになってしまっていて、最近忙しそうなので遠慮して意図的に会話を避けている。
「ナマエさん全然大丈夫じゃないんです!バンダナせんぱい!」
「このままじゃ死んじゃいます〜〜!」
「ははは。いやいや、ちょ〜元気」
「こら!ちゃんと頼らないとダメですよ!」
そうは言っても良識のある大人は空気を読んで配慮しなくてはならなくてね……あ〜〜ワドルディちゃんたちがおしくらまんじゅうのようになって慰めてくる〜〜……あったかくるしかわいい。
そうしてかわいいワドちゃんたちにニヤけていると、遠くからドタドタという足音が聞こえた。それはコチラに向かって次第に大きくなってきている。
「まっずい。デデデだ……」
私は勝手に城に入り込んでワドルディちゃんたちをムニムニしている不審者なので、城主でありワドルディちゃんたちの上司であるデデデには完全に敵視されている。う〜ん、当然の帰結。さすが大王。
名残惜しいが去らねば。さもなくば私の命が危ない。いやまあ、完全に私の自業自得なんですけど。
「じゃあね!ワドルディちゃんたち!」
私を取り巻く全てのワドルディに言い放つ。急いで開きっぱなしのクローゼットに飛び込むとそこはもう見慣れた車の運転席だった。今日もワドルディちゃんたちのお陰で十分癒されたし、明日も仕事頑張るかぁ。全然仕事イヤだけども。あ〜〜、辞めたいなぁ。……そういえばバンダナワドルディくん、何か言いたげだったような。彼も何かと苦労性だからなぁ。今度会ったら話聞いてあげようかな。
「逃がしたか……ナマエのやつめ。次こそは絶対とっちめてやる!」
怒りで顔を真っ赤にした大王様はその場で地団駄を踏んだ。これまで何度も城への侵入を許し、その上一度も捕まえられていないので余程腹が立っているのだろう。
そのまま怒りを引きずるのでは、と思われたがしかし、大王様は深呼吸をして落ち着きを取り戻すと残っていたワドルディたちに「今度ナマエが現れたらすぐオレ様に言うように」と伝え、すぐにお昼寝に戻ってしまった。流石の大王様も春の陽気には勝てないらしい。
「さあ皆。持ち場に戻って?」
「「「はぁーい!」」」
ぼくの言うことに素直に従い、沢山のワドルディたちが散り散りになって仕事へ戻っていく。ぱらぱら散っていくワドルディたちの気配を感じながらクローゼットを見つめナマエとの会話を思い返した。
「……ぼくが最初だったのになぁ」
他のワドルディたちがいなくなったのを確認した後でぽつりと呟いた。ナマエが最初に現れたときはワドルディはこのデデデ城にひとりだけだったので、当然ぼくが応対していた。
突如クローゼットから現れた彼女を初めこそ警戒していたが、ナマエに一切の邪気がないことと、ぼくの頬に触れる指が酷く優しかったので当初はともかく、今ではすっかり心を許してしまった。
彼女のふにゃふにゃした笑顔を一番多く、近くで見ていたのは間違いなくぼくだし、愚痴を聞いて励ましたのだって他のどのワドルディでもない、ぼくである。それなのに、ナマエはぼくにだけ何も相談してくれなくなった。
お城にワドルディは増えたけど、バンダナを巻いてぼくだと一目でわかるように目印をつけたし、他のワドルディとわからなくなったと言うこともないはずだ。……でも、ならなんでぼくには何も話してくれないんだろう。今日も結局聞けなかったことを頭の中で何回も何回も考える。
「ぼくじゃ癒されなくなっちゃったのかな……」
バンダナワドルディは自身のほっぺたをムニムニ触りながらため息を吐いた。最近は戦うようになったから、ちょっと雰囲気が強そうになっちゃったのかもしれない。ナマエは怖がりだから今のぼくも怖いのかも。以前に比べてほっぺも柔らかくなくなった気がする。
でもだからといってカービィや大王様ほどは強くない。そんな風に中途半端だからナマエもぼくに構ってくれなくなったのかもしれない。じんわり視界がぼやける。
「ううん、弱気になっちゃダメだ。こうなったら癒しキャラを目指すんじゃなくて、ナマエがぼくを頼ってくれるようにもっと強くなろう!」
滲んできた涙を拭って決心した。ナマエや皆を守れるように、もっともっと強く。そしたら多分、以前のようにぼくにだって相談してくれるはず。そしたら……
「前みたいに頭を撫でてくれるかな」
細く長い指が頭を往復する感触とふんにゃり笑う顔を思い出す。“ワドルディくん”と言う自分だけを示す柔らかい呼び方も。じわじわと熱が顔に集まってきた自覚があったので熱を分散させるためにぶんぶん首を横に振った。残念ながら効果は薄い。
「ようし!今日もお仕事がんばるぞ!」
誤魔化すように大声を上げた。とにもかくにもまずはお仕事を片付けなくちゃ!それから皆に内緒で特訓しよう。今日の予定を頭の中で組み上げると、ぼくは広く長い廊下を駆け出した。
「きゃあ〜」
「ナマエさんやめてください〜!」
「たすけてくださ〜い!大王様、バンダナせんぱい〜!」
ふははは。いくら抵抗しようと公式ザコのワドルディでは私を退けることなんて出来ぬのだ。無駄よ無駄無駄。分かったら大人しく私を癒すコトね。
ワドルディのほっぺたをムニムニもにもにしながら私が出てきた場所、すなわちデデデ城のクローゼットを眺めた。深い紫色をしたいかにも何か吸い込みそうな渦がぐるぐると回っている。
その法則を見つけたのは本当に偶然であった。いつも通り仕事に疲れて帰ってきた私は、非常に喉が渇いていたので冷蔵庫を開けてジュースを手に取る。蓋を開けてさあ、飲もうとした所で足元のコードに引っ躓いて、結果、盛大に中身をぶち撒けた。
疲れているのにそんな最悪なやらかしをした私はもう全部イヤになって部屋を飛び出し、すっかり暗くなった外へ出る。とにかく何処か遠いトコロへ。強く現実逃避をしながら車のドアを開けたところその奇妙な渦に自ら飛び込むことになった。
全くもって信じられないことだが、その時繋がってしまったのだ。“星のカービィ”の世界に。最初のころはお城の中にワドルディが一人しか居なかったり、他の僅かな違和感がゲームやアニメと乖離していて不思議に思っていたが、デデデ大王はいるしワドルディたちはいつの間にかちゃんと増えていたのでやっぱり気の所為であった。
それから二度三度と繰り返して分かったのだが、どうやら強く現実逃避をしながら車へ乗ろうとするとコチラへ来られるらしい。優しいワドルディくんに仕事の疲れを癒してもらう事にすっかり味を占めた私はこうしてデデデ城に入り浸るようになったのだった。ちゃんちゃん。はい、回想終わり。現在のワドルディちゃんたちモチモチタイムに戻る。
「もうやだよう、辞めたいよ〜!」
確実に疲れているのに精神も体も健康そのもの故に休めない。健康は良いことだけど、マジで仕事行きたくない時はやたらに丈夫な自分の体が憎い……!
何度か退職を申し出てるけどさり気に話題を逸らされるし、なんなら追加で仕事押し付けてくるので本当にこの世はクソ。退職代行が流行るのもわかるね。
未だ地味に抵抗を続けているワドルディちゃんたちをかわるがわるモチモチしながら延々と会社の愚痴を吐くことを続けていたら次第にわにゃわにゃした動きが止まり、皆心配そうな顔になってきた。泣き出しそうになっている子もいる。
「それは大丈夫なんですか……?」
「なにか、ぼくたちに出来ることはありますか……?」
「お菓子食べます……?」
や、優しい……同情してくれている……こちらは勝手に乗り込んで勝手にもちもちして呪詛振り撒いてる圧倒的不審者なのに……モチモチさせてくれるだけで十分です……お菓子は食べる、ワドルディちゃんのお菓子おいしいから。
「ナマエ!来てたの!?」
「あ!バンダナせんぱい!」
ワドルディちゃんたちの優しさに申し訳なさと嬉しさで涙ぐみつつ、お菓子を頬張っていると騒ぎを聞きつけたらしいバンダナワドルディくんがやってきた。こちらに駆け寄って顔を覗き込むように見られる。
「また酷いことを言われたの?」
「バンダナくん……ううん、大丈夫」
バンダナをしたこのワドルディくんは、初めてこちらにお邪魔した時に大変お世話になった。具体的に言うと、ワドルディが一人しか居なかったのでずっと私にもちもちされていた不憫な子である。
優しい子ゆえ、会えば逐一心配してくれるのだが、正直に話すのは憚られた。本音を言えば一等優しいこの子に話したいことは山程あるのだが、このバンダナワドルディくんはいつの間にか増えた皆のリーダーポジションになってしまっていて、最近忙しそうなので遠慮して意図的に会話を避けている。
「ナマエさん全然大丈夫じゃないんです!バンダナせんぱい!」
「このままじゃ死んじゃいます〜〜!」
「ははは。いやいや、ちょ〜元気」
「こら!ちゃんと頼らないとダメですよ!」
そうは言っても良識のある大人は空気を読んで配慮しなくてはならなくてね……あ〜〜ワドルディちゃんたちがおしくらまんじゅうのようになって慰めてくる〜〜……あったかくるしかわいい。
そうしてかわいいワドちゃんたちにニヤけていると、遠くからドタドタという足音が聞こえた。それはコチラに向かって次第に大きくなってきている。
「まっずい。デデデだ……」
私は勝手に城に入り込んでワドルディちゃんたちをムニムニしている不審者なので、城主でありワドルディちゃんたちの上司であるデデデには完全に敵視されている。う〜ん、当然の帰結。さすが大王。
名残惜しいが去らねば。さもなくば私の命が危ない。いやまあ、完全に私の自業自得なんですけど。
「じゃあね!ワドルディちゃんたち!」
私を取り巻く全てのワドルディに言い放つ。急いで開きっぱなしのクローゼットに飛び込むとそこはもう見慣れた車の運転席だった。今日もワドルディちゃんたちのお陰で十分癒されたし、明日も仕事頑張るかぁ。全然仕事イヤだけども。あ〜〜、辞めたいなぁ。……そういえばバンダナワドルディくん、何か言いたげだったような。彼も何かと苦労性だからなぁ。今度会ったら話聞いてあげようかな。
「逃がしたか……ナマエのやつめ。次こそは絶対とっちめてやる!」
怒りで顔を真っ赤にした大王様はその場で地団駄を踏んだ。これまで何度も城への侵入を許し、その上一度も捕まえられていないので余程腹が立っているのだろう。
そのまま怒りを引きずるのでは、と思われたがしかし、大王様は深呼吸をして落ち着きを取り戻すと残っていたワドルディたちに「今度ナマエが現れたらすぐオレ様に言うように」と伝え、すぐにお昼寝に戻ってしまった。流石の大王様も春の陽気には勝てないらしい。
「さあ皆。持ち場に戻って?」
「「「はぁーい!」」」
ぼくの言うことに素直に従い、沢山のワドルディたちが散り散りになって仕事へ戻っていく。ぱらぱら散っていくワドルディたちの気配を感じながらクローゼットを見つめナマエとの会話を思い返した。
「……ぼくが最初だったのになぁ」
他のワドルディたちがいなくなったのを確認した後でぽつりと呟いた。ナマエが最初に現れたときはワドルディはこのデデデ城にひとりだけだったので、当然ぼくが応対していた。
突如クローゼットから現れた彼女を初めこそ警戒していたが、ナマエに一切の邪気がないことと、ぼくの頬に触れる指が酷く優しかったので当初はともかく、今ではすっかり心を許してしまった。
彼女のふにゃふにゃした笑顔を一番多く、近くで見ていたのは間違いなくぼくだし、愚痴を聞いて励ましたのだって他のどのワドルディでもない、ぼくである。それなのに、ナマエはぼくにだけ何も相談してくれなくなった。
お城にワドルディは増えたけど、バンダナを巻いてぼくだと一目でわかるように目印をつけたし、他のワドルディとわからなくなったと言うこともないはずだ。……でも、ならなんでぼくには何も話してくれないんだろう。今日も結局聞けなかったことを頭の中で何回も何回も考える。
「ぼくじゃ癒されなくなっちゃったのかな……」
バンダナワドルディは自身のほっぺたをムニムニ触りながらため息を吐いた。最近は戦うようになったから、ちょっと雰囲気が強そうになっちゃったのかもしれない。ナマエは怖がりだから今のぼくも怖いのかも。以前に比べてほっぺも柔らかくなくなった気がする。
でもだからといってカービィや大王様ほどは強くない。そんな風に中途半端だからナマエもぼくに構ってくれなくなったのかもしれない。じんわり視界がぼやける。
「ううん、弱気になっちゃダメだ。こうなったら癒しキャラを目指すんじゃなくて、ナマエがぼくを頼ってくれるようにもっと強くなろう!」
滲んできた涙を拭って決心した。ナマエや皆を守れるように、もっともっと強く。そしたら多分、以前のようにぼくにだって相談してくれるはず。そしたら……
「前みたいに頭を撫でてくれるかな」
細く長い指が頭を往復する感触とふんにゃり笑う顔を思い出す。“ワドルディくん”と言う自分だけを示す柔らかい呼び方も。じわじわと熱が顔に集まってきた自覚があったので熱を分散させるためにぶんぶん首を横に振った。残念ながら効果は薄い。
「ようし!今日もお仕事がんばるぞ!」
誤魔化すように大声を上げた。とにもかくにもまずはお仕事を片付けなくちゃ!それから皆に内緒で特訓しよう。今日の予定を頭の中で組み上げると、ぼくは広く長い廊下を駆け出した。
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