Kirby
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今日みたいな晴れていて穏やかな日には、間違っても外に出てはならない。日には焼けるし、虫は出るし、風で巻き上がった土が顔に直撃して目に砂が入る事だってあるだろう。良い事なんか全然ないので家に籠もるのが最適解なのである。よってお昼寝をするのも安心安全が保証されている我が自宅が一番。
布団に潜って我が安寧の地を堪能する。あぁ、誰にも邪魔される事なく惰眠をむさぼる至福のひととき。布団の温もりに引っ張られ、微睡んでいたときであった。
「ナマエー!おはよー!」
「イヤァアアア!出てって!!?」
だが、最近そんな私の安寧の地が脅かされつつある。……なんでコイツはいつもいつも、いきなりドアを開けて入ってくるんだ!びっくりしてイヤな感じに心臓が跳ねる。そのついでに眠気もどこかに行く。返してくれ。これから私は寝るんだ。
「外はいい天気だよ、一緒に遊ぼう!」
「いやだよ、私外嫌いだし。そもそも約束してないし」
「じゃあ今!これから外で遊ぶ約束しよ!」
マジでフザけてるだろコイツ。私は外が嫌いって言ってるのに!まるでコチラの話を聞く気がないカービィは私が被っていた布団をぐいぐい引っ張っている。あ〜やめてください〜……カバーが伸びる〜……早く帰って!私はアンタがキライなの!!
私がカービィを“キライ”と思う理由は色々あるが、理由の一つはやはり、突然行われる“吸い込み”にあろう。
「カービィに悪気はないんだよ」とはバンダナワドルディのセリフであるが、悪気ないからって唐突に人のこと飲み込むの許せるか?無理だろ、普通。
誰だよ、アイツのことザコって言ったの。平然と友達吸い込むヤツと一緒に居続けてる時点で相当の猛者だろ。もはや、優しいとか心が広いとかの次元ではない。
吸い込みに対して、何故皆カービィに協力的なのだろうか、と良く思う。ナックルジョーあたりは自分から吸い込む提案をしているし。どう考えても覚悟が決まり過ぎている。私は絶対にイヤだ。理由はシンプルに吸い込まれる時と吐き出された後の気分が悪いからだ。目が回るし、知らない間に時が進んでいるあの感じはなんとも不気味である。
初めて吸い込まれたあと吐き出され、不快かつ状況が良く分かっていない状態でナマエ、ゴーストだったんだね!と言われたときは喧嘩売ってんのかと思った。私のコピー能力の話だったらしい。いや、だとしてもいやだわ。なんでゴースト??幽霊みたいなヤツってことか?フザけやがって……なんならスカのがマシまである。コピー能力さえ無ければカービィに吸い込まれる心配無いし。
「ナマエ知ってる?カワサキのお店に新しいメニューが増えたんだよ。それがとっても美味しくってナマエにも食べてほしいんだ!それにね、ぼくこの間散歩中にナマエが好きそうなお花を見つけたんだよ。一緒に見に行こう!あと、それからそれから……」
私がカービィと関わらない世界線について真剣に考えている一方で、そんなことを知りもしないカービィは矢継ぎ早に言葉を飛ばしてくる。悪いヤツじゃないのは、知ってる。他の誰に言われなくたって、悪気がないことくらい知ってんだ。楽しそうに話すカービィを肘をついてぼんやりと見つめる。わざわざ遠い私の家まで足を運んでまでして、私に美味しい料理を食べさせたいのも、見せたい花があるのも本当なんだろう。
それでも、それらの行動は私一人だけにさせたいことではないのだろう。カービィには友達が私以外にも沢山いて、その子たち全員とやりたいこと、見せたいものがあるのだと私は知っている。
「それが終わったら二人でお昼寝しよう!ほら、約束!」
私との遊びの予定を全て組み終わったのだろうカービィがこちらに向かって手を伸ばす。
約束、ね。初めて遊んだ時にした約束もどうせ覚えてはいないくせに呑気なモンだ。世界に危機が迫ったら私の事よりもそっちを優先するくせに。いつか黙って私の家に来なくなるくせに。
知ってるよ。だってアンタはヒーロー。他のなにより無邪気で、優しくて、残酷で、大切なものが多すぎるひと。私を特別にはしてくれないひと。だから嫌いだ。私だけを見てくれない人なんて大っきらい。
「いいよ、行こう。外」
「ほんとう!?やったー!」
はしゃぎ倒すカービィを横目に布団を退けて、のそりと起き上がる。私は幽霊。いつか誰にも気付かれずそっと消えゆくのなら。その時は一番楽しいと思った瞬間がいい。素敵な思い出を最後にして消えたい。本当の幽霊も成仏するときってそうでしょう。ベッドサイドテーブルの引き出しを開ける。くだらない好意だとか、執着だとかと一緒にこんなもの、捨ててしまおう。いつまでも取っておくのはあまりに不毛だ。
「あれナマエ、それなぁに?」
バレた。私の後ろめたい気持ちと裏腹な無邪気な声が胸を突き刺す。イヤな感じに心臓が跳ねる。そのついでに持った石が私の手からこぼれ落ちた。コロコロと転がってカービィの元へ辿り着く。返してくれ。それは、私のだいじな、
「あっ、これ。ぼくがナマエにあげたキレイな石……まだ持っててくれてたんだ!」
そうだよ。お前がくれたんだ、持っているに決まっているだろ。カービィにとってはただの石なのかもしれないけど私にとっては違うんだ。もう、忘れられてしまった約束の形見だ。お守りなんだ。私が成仏するのに必要な、宝物なんだ。カービィは私の焦燥なんて知らないように笑った。
「懐かしいなぁ。あの時ナマエが寂しいときは絶対に一人にしないって約束したよね」
ナマエってば寂しがりやさんだから!ととんでもなく失礼なことをなぜだか嬉しそうに言う。うるさい。当時ひとりぼっちだったんだからしょうがないだろ。友達なんて、それまで一人もいなかったんだ。……いや、待て。それよりも、今、コイツ、なんて言った?
「は……カービィ、あんた、覚えて……?」
「約束のこと?うん、当たり前だよ。ぼくの大好きなナマエとの最初の約束だもん!忘れるなんてこと、絶対ないよ!」
突然どうしたの?と首をひねるカービィになんとも言い難い感情が湧き出てきてその消化に苦労する。もしかして、コイツ暇だから遊びに誘ったんじゃなくて私が寂しいだろうと思って来たのか。わざわざ、とおい、私の家まで。
「っ……ばーーーか!!もう、今日はやっぱり遊ばない!」
「ええ〜〜!!なんで〜〜!?」
私が長い間ずっとずっと考えて思い悩んでいたというのに、コイツ……コイツは……ッ!被った毛布を引き剥がそうとするカービィに決して負けないよう、強く毛布を握り込んだ。私を寂しがらせないために今日はずっと居てくれるんだろうが、今だけは絶対に顔を見せてやるもんか。
ヒーローに、私だけを見て欲しいなんて、ほんとう、馬鹿みたい。
布団に潜って我が安寧の地を堪能する。あぁ、誰にも邪魔される事なく惰眠をむさぼる至福のひととき。布団の温もりに引っ張られ、微睡んでいたときであった。
「ナマエー!おはよー!」
「イヤァアアア!出てって!!?」
だが、最近そんな私の安寧の地が脅かされつつある。……なんでコイツはいつもいつも、いきなりドアを開けて入ってくるんだ!びっくりしてイヤな感じに心臓が跳ねる。そのついでに眠気もどこかに行く。返してくれ。これから私は寝るんだ。
「外はいい天気だよ、一緒に遊ぼう!」
「いやだよ、私外嫌いだし。そもそも約束してないし」
「じゃあ今!これから外で遊ぶ約束しよ!」
マジでフザけてるだろコイツ。私は外が嫌いって言ってるのに!まるでコチラの話を聞く気がないカービィは私が被っていた布団をぐいぐい引っ張っている。あ〜やめてください〜……カバーが伸びる〜……早く帰って!私はアンタがキライなの!!
私がカービィを“キライ”と思う理由は色々あるが、理由の一つはやはり、突然行われる“吸い込み”にあろう。
「カービィに悪気はないんだよ」とはバンダナワドルディのセリフであるが、悪気ないからって唐突に人のこと飲み込むの許せるか?無理だろ、普通。
誰だよ、アイツのことザコって言ったの。平然と友達吸い込むヤツと一緒に居続けてる時点で相当の猛者だろ。もはや、優しいとか心が広いとかの次元ではない。
吸い込みに対して、何故皆カービィに協力的なのだろうか、と良く思う。ナックルジョーあたりは自分から吸い込む提案をしているし。どう考えても覚悟が決まり過ぎている。私は絶対にイヤだ。理由はシンプルに吸い込まれる時と吐き出された後の気分が悪いからだ。目が回るし、知らない間に時が進んでいるあの感じはなんとも不気味である。
初めて吸い込まれたあと吐き出され、不快かつ状況が良く分かっていない状態でナマエ、ゴーストだったんだね!と言われたときは喧嘩売ってんのかと思った。私のコピー能力の話だったらしい。いや、だとしてもいやだわ。なんでゴースト??幽霊みたいなヤツってことか?フザけやがって……なんならスカのがマシまである。コピー能力さえ無ければカービィに吸い込まれる心配無いし。
「ナマエ知ってる?カワサキのお店に新しいメニューが増えたんだよ。それがとっても美味しくってナマエにも食べてほしいんだ!それにね、ぼくこの間散歩中にナマエが好きそうなお花を見つけたんだよ。一緒に見に行こう!あと、それからそれから……」
私がカービィと関わらない世界線について真剣に考えている一方で、そんなことを知りもしないカービィは矢継ぎ早に言葉を飛ばしてくる。悪いヤツじゃないのは、知ってる。他の誰に言われなくたって、悪気がないことくらい知ってんだ。楽しそうに話すカービィを肘をついてぼんやりと見つめる。わざわざ遠い私の家まで足を運んでまでして、私に美味しい料理を食べさせたいのも、見せたい花があるのも本当なんだろう。
それでも、それらの行動は私一人だけにさせたいことではないのだろう。カービィには友達が私以外にも沢山いて、その子たち全員とやりたいこと、見せたいものがあるのだと私は知っている。
「それが終わったら二人でお昼寝しよう!ほら、約束!」
私との遊びの予定を全て組み終わったのだろうカービィがこちらに向かって手を伸ばす。
約束、ね。初めて遊んだ時にした約束もどうせ覚えてはいないくせに呑気なモンだ。世界に危機が迫ったら私の事よりもそっちを優先するくせに。いつか黙って私の家に来なくなるくせに。
知ってるよ。だってアンタはヒーロー。他のなにより無邪気で、優しくて、残酷で、大切なものが多すぎるひと。私を特別にはしてくれないひと。だから嫌いだ。私だけを見てくれない人なんて大っきらい。
「いいよ、行こう。外」
「ほんとう!?やったー!」
はしゃぎ倒すカービィを横目に布団を退けて、のそりと起き上がる。私は幽霊。いつか誰にも気付かれずそっと消えゆくのなら。その時は一番楽しいと思った瞬間がいい。素敵な思い出を最後にして消えたい。本当の幽霊も成仏するときってそうでしょう。ベッドサイドテーブルの引き出しを開ける。くだらない好意だとか、執着だとかと一緒にこんなもの、捨ててしまおう。いつまでも取っておくのはあまりに不毛だ。
「あれナマエ、それなぁに?」
バレた。私の後ろめたい気持ちと裏腹な無邪気な声が胸を突き刺す。イヤな感じに心臓が跳ねる。そのついでに持った石が私の手からこぼれ落ちた。コロコロと転がってカービィの元へ辿り着く。返してくれ。それは、私のだいじな、
「あっ、これ。ぼくがナマエにあげたキレイな石……まだ持っててくれてたんだ!」
そうだよ。お前がくれたんだ、持っているに決まっているだろ。カービィにとってはただの石なのかもしれないけど私にとっては違うんだ。もう、忘れられてしまった約束の形見だ。お守りなんだ。私が成仏するのに必要な、宝物なんだ。カービィは私の焦燥なんて知らないように笑った。
「懐かしいなぁ。あの時ナマエが寂しいときは絶対に一人にしないって約束したよね」
ナマエってば寂しがりやさんだから!ととんでもなく失礼なことをなぜだか嬉しそうに言う。うるさい。当時ひとりぼっちだったんだからしょうがないだろ。友達なんて、それまで一人もいなかったんだ。……いや、待て。それよりも、今、コイツ、なんて言った?
「は……カービィ、あんた、覚えて……?」
「約束のこと?うん、当たり前だよ。ぼくの大好きなナマエとの最初の約束だもん!忘れるなんてこと、絶対ないよ!」
突然どうしたの?と首をひねるカービィになんとも言い難い感情が湧き出てきてその消化に苦労する。もしかして、コイツ暇だから遊びに誘ったんじゃなくて私が寂しいだろうと思って来たのか。わざわざ、とおい、私の家まで。
「っ……ばーーーか!!もう、今日はやっぱり遊ばない!」
「ええ〜〜!!なんで〜〜!?」
私が長い間ずっとずっと考えて思い悩んでいたというのに、コイツ……コイツは……ッ!被った毛布を引き剥がそうとするカービィに決して負けないよう、強く毛布を握り込んだ。私を寂しがらせないために今日はずっと居てくれるんだろうが、今だけは絶対に顔を見せてやるもんか。
ヒーローに、私だけを見て欲しいなんて、ほんとう、馬鹿みたい。
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