shooting star!!
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢の切り替わりとは突然なのが当然だと思っていたので、私はアレも夢だとばかり思っていた。
しかし、“ドロッチェ”という名前が出てきたことでその考えは脆く崩れ去る。
先程団長さんの名前を呼んだ鳥の人はメタナイトさんから戻るように指示されるとうやうやしく礼をして去って行った。
それから十分もしない内にデデデ城前にズラリと盗賊団がやってきた。
全員の顔を見て改めて思う。夢じゃなかった。夢じゃなかったんだ。
団長さんは責任感のあるひとだ。きっと行方不明になった私をずっと探してくれていたのだろう。
「げぇえええ!?ドロッチェ団ではないか!」
「ああ、彼がナマエを探していたんだ」
「ええ?ドロッチェってシチュー出身だったの!?いいなあ!お腹いっぱいシチュー食べれるんだぁ……ぼくも行ってみたいなあ」
「色々と違うと思うが」
「……ナマエ?」
周囲が騒がしくなる中、様子が変わったナマエに思わずワドルディが名前を呼んだが当のナマエは固まったまま動けなかった。
ナマエはドロッチェに嫌われている。
ナマエがパワーもなく、鈍臭く、頭も良くない役立たずだからだ。
団長さんの目の前で派手にすっ転んで気まずい時間が流れたこともある。あれほど胃が痛んだときは他にない。
転んだのは私が悪いし助けてくれなくてもいいけどせめて笑って欲しかった。
更に言えば二人で会話もそんなにしたことがない。あっても業務的なものばかりで世間話のようなものはなかったように思う。
そう。ドロッチェとナマエはどう贔屓目に見ても仲が良いとは言えない関係だった。
“ナマエは何もしなくていい”
そんな相手から告げられたソレは、どうにか役に立とうと必死だったナマエにとって、あまりにも残酷な見限りであった。
そういった事情があったのでナマエは出会いでこそ助けてもらったものの、ドロッチェ団長がものすごく苦手になってしまった。
与えられた自室でひとり、歌を歌って自らを無理やり鼓舞していたのを思い出す。夜中変な時間に目が覚めてしまってそのまま寝付けないなんてこともザラにあった。今思うと確実にストレスである。
「見つけたぞナマエ。はやく飛行船に乗るんだ」
心臓がかつてないくらい早鐘を打つ。
何か話さなければ。そう思うのに喉が引き攣って言葉が出てこなかった。
どうしよう。どうしよう。どうしよう……
息が上手く出来ない。目眩がして自分がちゃんと立っていられているのかも分からない。
ただジッと目を見開き、あの時のトラウマで動けずにいた私の目の前に飛び込んできたのは見覚えのある真っ赤なガウンだった。
「フン。仲間だかなんだか知らんが今のナマエの上司はオレ様だ。オレ様の許可なく連れ去れると思うなよ。……ナマエもだ!まさか仕事をほっぽって勝手に出て行く気じゃあるまいな!」
大王様がハンマーを担ぎ、声を荒げて言った。
「……オレのいない間ナマエが世話になったようだな。後で礼にホールのケーキをひとつ寄こそう」
「そんなモンでかわいい部下を渡せるか!ナマエの働きはそんなモンでは釣り合わんわい!」
「だ、大王様……ッ!」
「……まあ、それにナマエのような泣き虫に付き合ってやれる心の広い優しい上司はオレ様くらいだろうしな」
優しさに思わず弾んだ声を出した私をチラリと一瞥すると大王様はそうやって意地悪そうに言った。
「お前まさかナマエを泣かせたのか!」
「わ、私が勝手に泣いただけです!」
団長さんが大声を張り上げた。
助けに入ってくれた大王様がワルモノの勘違いをされそうになって、恥を忍び情けなくも叫んだが全く聞く耳を持ってもらえなかった。は、恥ずかしい……
「ふ、二人ともやめてよ!戦うなんてよくないよ!」
カービィが焦りを滲ませた声で叫んだ。
盗賊団の団員がそわそわ、落ち着かなさそうにしている。
その様子にハッとしたのか、団長さんは深呼吸をしてから今までより一際静かに低く言葉を発した。
「……ナマエは弱い。ウチの船にいれば団員が守ってやれるんだ」
「お前たち結局ナマエを守れていないではないか。異空間ロードに巻き込まれたと聞いたぞ」
「こんな失態はもうしない。二度とだ」
「フン、どうだかな」
「落ち着け、二人とも」
割って入ったメタナイトさんがたいへん呆れたように首を横に振った。
諌めてもまた喧嘩の空気になる二人に辟易としているようだ。
彼は二人から目線を外すと私に向き直った。
「ナマエ、これは君が自分で決めなければいけない問題だ。なに、ドロッチェは選ばなかったところで手を出すような男ではないさ。君のすきに選べばいい」
そんな事を言われても……助けられた義理を通すなら役に立たなくても盗賊団に戻るべきで……
デデデ大王様は引き留めてくれたけど、元々デデデ城の仕事はワドルディさんだけで間に合っていたようだし、私が居なくても何も困らない。
……やっぱり私、戻るべきなんだ。
ぐるぐる回った思考がやがてひとつの答えに辿り着きそうになったとき、
「あの、あのね、ナマエ」
カービィが口をまごつかせながら言った。
「ぼくもナマエが本当に居たいと思う方についていったほうがいいと思う。でも……でもね。うまく言えないんだけど……」
言葉を選んでいるのか、ずいぶん長い時間がかかった。
目が合う。
何の心配もしていない、いつもの、私が大好きなヒーローの目だった。
「ぼくはナマエと一緒におひるねするの、だいすきなんだ」
視界が滲んでぼやけた。
それは私に対価を求めていない、純粋な友達としての言葉だった。
私はずっと自分を必要としてくれる人を探していた。
何も出来ない自分を許して側にいてくれる人を探していた。
それはきっと、ここ……プププランドにいる。
「うん……私もカービィと一緒におひるねしたい」
鼻の奥がつん、としたがグッと堪えて前を向いた。
「団長さん、貴方に助けてもらったのにすみません。私、プププランドに残ります」
怖かったけれど言わなければならない。
彼の目を見て言ったあと、上半身をぐい、と倒し地面を見つめた。
何時間とも思える沈黙の後、「……わかった」と団長さんの声が聞こえた。
「今ナマエを連れ戻すのは諦めよう」
「ほ、ほんと!?本当にいいの!?ドロッチェ!」
「本人がそう望んでいるからな」
団長さんが帽子のつばをさげて言うと、カービィとワドルディさんが手を取り合って喜んだ。
「じゃあナマエがプププランドで暮らすことを認めてくれるんだね!」
「いやだ」
間髪入れずに告げたので周囲がどよめいた。もちろん私も混乱した。
ど、どういうことだ……?
「ええ!?」
「でもさっき諦めるって……」
「オレはナマエが“一時的に”ここに残ることを認めただけで連れ戻すのを諦めた訳ではないさ」
二人が戸惑いの声をあげるなか、団長さんは私に近付いた。
「オレは盗賊だ。いつかきっとまた、お前を盗みにくるぞ」
不敵に笑ってそう言うと団長さんはマントを華麗に翻して去っていった。
「団長!待って下さい!……ナマエ!またな!」
「いつか絶対戻ってくるんじゃぞぉ!読み聞かせてやりたい本がたくさんあるんじゃ!」
「……体調に気をつけてな」
「チュ!チュー!」
続くようにして団員たちはそれぞれナマエに振り返り、声をかけながら走った。
足の早い団長を見失わないように急いで追う彼らの背中を呆然と見ながらナマエはふと思い出した。
『……ッナマエ!!』
______空にぽっかり空いた星型の穴。その底知れない恐ろしさに気を取られて今まで思い出せなかったが、異空間ロードに飲み込まれる直前に聞いた私の名を呼ぶ必死なあの声は団長さんのものだったのではないか。
……私は私が思っているより嫌われていなかったのかもしれない。
それどころか、もしかしたら団長さんは責任感だけで私を連れ戻しに来た訳ではなくて本当に私と旅をしたかったのかも。
だとしたらあの人はなんて不器用で言葉足らずなんだろう……
空に浮かぶ飛行船はどんどん小さくなっていく。
私はそれを見えなくなるまで見つめていた。
しかし、“ドロッチェ”という名前が出てきたことでその考えは脆く崩れ去る。
先程団長さんの名前を呼んだ鳥の人はメタナイトさんから戻るように指示されるとうやうやしく礼をして去って行った。
それから十分もしない内にデデデ城前にズラリと盗賊団がやってきた。
全員の顔を見て改めて思う。夢じゃなかった。夢じゃなかったんだ。
団長さんは責任感のあるひとだ。きっと行方不明になった私をずっと探してくれていたのだろう。
「げぇえええ!?ドロッチェ団ではないか!」
「ああ、彼がナマエを探していたんだ」
「ええ?ドロッチェってシチュー出身だったの!?いいなあ!お腹いっぱいシチュー食べれるんだぁ……ぼくも行ってみたいなあ」
「色々と違うと思うが」
「……ナマエ?」
周囲が騒がしくなる中、様子が変わったナマエに思わずワドルディが名前を呼んだが当のナマエは固まったまま動けなかった。
ナマエはドロッチェに嫌われている。
ナマエがパワーもなく、鈍臭く、頭も良くない役立たずだからだ。
団長さんの目の前で派手にすっ転んで気まずい時間が流れたこともある。あれほど胃が痛んだときは他にない。
転んだのは私が悪いし助けてくれなくてもいいけどせめて笑って欲しかった。
更に言えば二人で会話もそんなにしたことがない。あっても業務的なものばかりで世間話のようなものはなかったように思う。
そう。ドロッチェとナマエはどう贔屓目に見ても仲が良いとは言えない関係だった。
“ナマエは何もしなくていい”
そんな相手から告げられたソレは、どうにか役に立とうと必死だったナマエにとって、あまりにも残酷な見限りであった。
そういった事情があったのでナマエは出会いでこそ助けてもらったものの、ドロッチェ団長がものすごく苦手になってしまった。
与えられた自室でひとり、歌を歌って自らを無理やり鼓舞していたのを思い出す。夜中変な時間に目が覚めてしまってそのまま寝付けないなんてこともザラにあった。今思うと確実にストレスである。
「見つけたぞナマエ。はやく飛行船に乗るんだ」
心臓がかつてないくらい早鐘を打つ。
何か話さなければ。そう思うのに喉が引き攣って言葉が出てこなかった。
どうしよう。どうしよう。どうしよう……
息が上手く出来ない。目眩がして自分がちゃんと立っていられているのかも分からない。
ただジッと目を見開き、あの時のトラウマで動けずにいた私の目の前に飛び込んできたのは見覚えのある真っ赤なガウンだった。
「フン。仲間だかなんだか知らんが今のナマエの上司はオレ様だ。オレ様の許可なく連れ去れると思うなよ。……ナマエもだ!まさか仕事をほっぽって勝手に出て行く気じゃあるまいな!」
大王様がハンマーを担ぎ、声を荒げて言った。
「……オレのいない間ナマエが世話になったようだな。後で礼にホールのケーキをひとつ寄こそう」
「そんなモンでかわいい部下を渡せるか!ナマエの働きはそんなモンでは釣り合わんわい!」
「だ、大王様……ッ!」
「……まあ、それにナマエのような泣き虫に付き合ってやれる心の広い優しい上司はオレ様くらいだろうしな」
優しさに思わず弾んだ声を出した私をチラリと一瞥すると大王様はそうやって意地悪そうに言った。
「お前まさかナマエを泣かせたのか!」
「わ、私が勝手に泣いただけです!」
団長さんが大声を張り上げた。
助けに入ってくれた大王様がワルモノの勘違いをされそうになって、恥を忍び情けなくも叫んだが全く聞く耳を持ってもらえなかった。は、恥ずかしい……
「ふ、二人ともやめてよ!戦うなんてよくないよ!」
カービィが焦りを滲ませた声で叫んだ。
盗賊団の団員がそわそわ、落ち着かなさそうにしている。
その様子にハッとしたのか、団長さんは深呼吸をしてから今までより一際静かに低く言葉を発した。
「……ナマエは弱い。ウチの船にいれば団員が守ってやれるんだ」
「お前たち結局ナマエを守れていないではないか。異空間ロードに巻き込まれたと聞いたぞ」
「こんな失態はもうしない。二度とだ」
「フン、どうだかな」
「落ち着け、二人とも」
割って入ったメタナイトさんがたいへん呆れたように首を横に振った。
諌めてもまた喧嘩の空気になる二人に辟易としているようだ。
彼は二人から目線を外すと私に向き直った。
「ナマエ、これは君が自分で決めなければいけない問題だ。なに、ドロッチェは選ばなかったところで手を出すような男ではないさ。君のすきに選べばいい」
そんな事を言われても……助けられた義理を通すなら役に立たなくても盗賊団に戻るべきで……
デデデ大王様は引き留めてくれたけど、元々デデデ城の仕事はワドルディさんだけで間に合っていたようだし、私が居なくても何も困らない。
……やっぱり私、戻るべきなんだ。
ぐるぐる回った思考がやがてひとつの答えに辿り着きそうになったとき、
「あの、あのね、ナマエ」
カービィが口をまごつかせながら言った。
「ぼくもナマエが本当に居たいと思う方についていったほうがいいと思う。でも……でもね。うまく言えないんだけど……」
言葉を選んでいるのか、ずいぶん長い時間がかかった。
目が合う。
何の心配もしていない、いつもの、私が大好きなヒーローの目だった。
「ぼくはナマエと一緒におひるねするの、だいすきなんだ」
視界が滲んでぼやけた。
それは私に対価を求めていない、純粋な友達としての言葉だった。
私はずっと自分を必要としてくれる人を探していた。
何も出来ない自分を許して側にいてくれる人を探していた。
それはきっと、ここ……プププランドにいる。
「うん……私もカービィと一緒におひるねしたい」
鼻の奥がつん、としたがグッと堪えて前を向いた。
「団長さん、貴方に助けてもらったのにすみません。私、プププランドに残ります」
怖かったけれど言わなければならない。
彼の目を見て言ったあと、上半身をぐい、と倒し地面を見つめた。
何時間とも思える沈黙の後、「……わかった」と団長さんの声が聞こえた。
「今ナマエを連れ戻すのは諦めよう」
「ほ、ほんと!?本当にいいの!?ドロッチェ!」
「本人がそう望んでいるからな」
団長さんが帽子のつばをさげて言うと、カービィとワドルディさんが手を取り合って喜んだ。
「じゃあナマエがプププランドで暮らすことを認めてくれるんだね!」
「いやだ」
間髪入れずに告げたので周囲がどよめいた。もちろん私も混乱した。
ど、どういうことだ……?
「ええ!?」
「でもさっき諦めるって……」
「オレはナマエが“一時的に”ここに残ることを認めただけで連れ戻すのを諦めた訳ではないさ」
二人が戸惑いの声をあげるなか、団長さんは私に近付いた。
「オレは盗賊だ。いつかきっとまた、お前を盗みにくるぞ」
不敵に笑ってそう言うと団長さんはマントを華麗に翻して去っていった。
「団長!待って下さい!……ナマエ!またな!」
「いつか絶対戻ってくるんじゃぞぉ!読み聞かせてやりたい本がたくさんあるんじゃ!」
「……体調に気をつけてな」
「チュ!チュー!」
続くようにして団員たちはそれぞれナマエに振り返り、声をかけながら走った。
足の早い団長を見失わないように急いで追う彼らの背中を呆然と見ながらナマエはふと思い出した。
『……ッナマエ!!』
______空にぽっかり空いた星型の穴。その底知れない恐ろしさに気を取られて今まで思い出せなかったが、異空間ロードに飲み込まれる直前に聞いた私の名を呼ぶ必死なあの声は団長さんのものだったのではないか。
……私は私が思っているより嫌われていなかったのかもしれない。
それどころか、もしかしたら団長さんは責任感だけで私を連れ戻しに来た訳ではなくて本当に私と旅をしたかったのかも。
だとしたらあの人はなんて不器用で言葉足らずなんだろう……
空に浮かぶ飛行船はどんどん小さくなっていく。
私はそれを見えなくなるまで見つめていた。
6/10ページ